理美容業界の動向について【現状から今後の課題まで解説】

美容業界の職業といえば、美容師、理容師、エステティシャン、ネイリストなどの様々な技術やサービスを提供しているスペシャリストです。流行の変化によって消費者が求めるスタイルやサービスなどが多様化しているため、常に最新の美容情報(施術)を提供していかなければなりません。そのため美容業界で働く美容師や理容師などの働き方や店舗自体にも変化が生じています。
この記事では、理美容業界の現状と今後の動向(課題)などを取り上げていきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください。

1.理美容業界の現状

近年、美容室の市場規模が緩やかではありますが、拡大傾向にあります。出店数もこの10年で約5万軒増え、2019年には25万軒以上と増加の一途をたどっています。その一方で、理容室は10年で2万軒の減少傾向にあり、2019年には12万軒に満たない状況です。同じ美容業界であるのになぜ増加減少にあるのでしょうか。実は、美容室を利用する男性客の増加が理容室減少の一因のようです。

・理容は、頭髪の刈込、顔そり等により容姿を整える。
・美容はパーマやカラーリング、化粧法などにより容姿を美しくする。

上記の業務範囲が定められているように理容と美容は違います。特に若い男性の美(おしゃれ)に対する意識が高まっていることで、美容室へ行く頻度が高くなっていますう。また、理容師の後継者不足により高齢化が進み個人店の閉鎖も少なくはないことも原因の一つだと言われています。

2.消費者の動向を知る

美容室の利用は、昔と変わらず約9割を女性客が占めており、年齢が低い年齢ほど利用頻度が高いという認識がありました。しかし、現在では性別や年齢による美容への意識の変化が見受けられるようになりました。

2.1 消費者の年齢・性別などの割合

女性の9割以上が美容室を利用していますが、近年では男性客の増加傾向にあり、全体の3割弱の方が利用しています。ここでは、理美容室の利用状況に関する調査結果を紹介していきます。

①全体の62.7%が美容室、理容室は33%、理・美容室の使い分けが4.3%利用している。
②美容室の女性の利用率は97.3%、男性は28%となっている。(理容室は女性が0.7%、男性は65.3%)
③理・美容室を利用する頻度は2~3ヶ月に1回の割合が全体の56%。そのうち女性は2ヶ月に1回、男性は3ヶ月に1回が最も多い。
④女性の年齢が上がるにつれ美容室の利用頻度が高くなってきた。男性が美容室を利用する年齢層は20代が最も多く、次いで10代、30代と若い人が行く傾向にある。

2.2 利用頻度の高い施術

美容室の利用頻度の高い施術は年齢などによって異なります。
年齢とともに増えてくる白髪は個人差がありますが、男女ともに40代の約6割が目立ち始めています。そのため、特に女性の方が美容室でのヘアカラーの利用頻度が高く、白髪対策を始めた年齢は43歳頃からが過半数を超えており、カラーを維持するため美容室に通い続けていることがわかりました。また、最近では10~20代の若い世代でデザインカラーをする人が目立ってきています。そのため美容室を利用する人も増加傾向にあります。
美容室では圧倒的にカット目的での来店頻度が高く、次いでシャンプー67%、トリートメント41%、その他にヘッドスパ・ヘッドマッサージ20%と多く受けていることがみられます。ヘッドスパ・ヘッドマッサージは全体の約50%以上の人が興味を持っていることが分かりました。消費者はカット以外に髪質改善やリラックス効果のある施術を受けることも多くなり、興味も持っているようです。
その他、施術の利用が低くなってしまったのが、美容室でのパーマです。2005年では全体の約32%でしたが、2020年でわずか12%程までに減少しています。その理由のひとつとして、消費者の意識がカラーリングなどに向いていることだと言われています。

3.美容業界の変化

近年、カラーやカットなどの専門店が積極的な店舗展開をいるため、非常に目立ってきています。美容師・理容師の免許を活かした働き方の選択肢が広がったことは間違いありません。

3.1 働き方の多様化

消費者のニーズの変化にともない、理美容師の働き方も多様化してきています。

<シェアサロン>
雇われるのではなく、フリーランス(個人事業主)として施術メニューや料金を自由に決められる「シェアサロン」という場所を借りて営業できるケースが増えています。

<ヘアカラーリスト>
ヘアカラー専門店で働く「ヘアカラーリスト」という肩書きを持ち、働く美容師に注目を集めています。(※カラー専門店でも美容師免許は必要です)
その背景には、カラー市場が拡大しているためだと言えます。

<訪問美容>
訪問美容とは、自宅や介護施設へ福祉理美容師が訪問し、美容室で行うメニューを提供します。今後も高齢化が進み、需要はどんどん増えていくことが予想されます。訪問美容師は福祉のひとつとして捉えられることもあるので、介護の知識や資格・介護技術を習得しておくと良いでしょう。
【関連記事】
「美容師が出張する訪問美容は需要がある?独立・開業の始め方を解説!」参照

3.2 客単価(高級店・格安店)が両極端の店舗

現在、理美容業界の傾向として小資本でも独立できる低価格チェーン店(1,000円カットなどの理容室)と美容意識の高い層をターゲットにしている高級化路線の店舗と二極化が見受けられます。低価格チェーン店は駅前や好立地に進出しているため手軽に入店できて短時間で施術が受けられるのでとても便利です。その一方で高級化路線での店舗は、完全予約制やカウセリングの強化、そしてサービスに付加価値をつけてリピーター獲得が狙いでもあります。

4.今後の課題

ここまで、消費者と理美容師の現状を解説してきましたが、ここからは今後予想される課題を解説します。
美容業界の市場規模は拡大し、店舗数が増加しています。そのため今後さらに競争率が激しくなっていくことが予想されます。私達の身近にあるコンビニが全国で56,000軒以上あると言われていますが、美容室の店舗数はコンビニの約4倍近く全国に出店しています。店舗数が多ければ多いほど、競争率は高くなって客数が追いつかない状況になり、閉店や廃業に追い込まれてしまう可能性も少なくありません。
競争率の激しい中、どのように競合店との差別化が図れるかが重要となってくるでしょう。美容業界の多様化により、お客様の求めている施術やサービスを提供し、満足していただくことが競争に打ち克つ秘訣になります。また、常に最新のトレンドを察知し、施術やサービスを提供できるように技術力・接客力の向上が必要となってきます。

さいごに

いかがでしたでしょうか。この記事では理美容業界の現状から今後の課題まで解説しました。消費者のニーズの変化にともない、付加価値を付けたサービスや専門的な技術を提供していることがわかりました。また、理美容師自体の働き方も多様化しています。今後も店舗数が増え厳しい環境は続くと予想されますが、働き方の選択肢も増えてきています。改めて自分自身の働き方を見つめ直してみるのも良いかもしれません。

この記事を書いた人

広田 淳