トリミングサロンでトラブル発生!怪我を負わせてしまったときの対処法と未然防止策

近年、ペットの家族化が進むなか、人間と同様に美容や健康に気を使いペット専用サロンに連れて行くことが一般的になっています。愛犬や愛猫をケアするためのトリミングサロンですが、トリミング中に何らかの原因で怪我をさせてしまったなどのトラブルが発生するケースも少なくありません。今回は、トリミングサロンで怪我をさせてしまったときの対処法と未然防止策を紹介していきたいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。

1.トリミングサロンで起こるトラブル

ペットをお預かりしてトリミング中にトリマーが怪我をさせてしまった、あるいは犬や猫の様子が急変したなどのトラブルが発生したサロンが少なくありません。
愛犬や愛猫を心身ともにケアをするためのトリミングサロンにも関わらず、思わぬトラブルが発生してしまったらお客様からの信用は失い二度と来店してもらえない可能性があります。
下記のようにトラブルはあらゆる場面で起こります。怪我などによるトラブルが生じた際には原因究明を行うようにしましょう。

  • アレルギーに気付かずシャンプーなどで皮膚炎を起こしてしまった
  • バリカンやハサミなどの道具を用いたときに誤って傷をつけてしまった
  • 施術を嫌がって暴れるペットを「押さえ過ぎた」「毛を引っ張ってしまった」などで痣がついてしまった
  • 爪切りによるトラブルで深爪、爪が折れてしまったなど
  • 他のペットから動物由来の感染してしまった

施術中はさまざまなトラブルに見舞われることがありますが、そのなかでも怪我をさせてしまったということが多いのではないでしょうか。言葉を発せない動物は小さな傷を我慢してしまうことがあり、自宅に帰って飼い主様が傷を見つけてクレームを言われたというケースがあります。先ずはトラブルを未然に防ぐ対策を検討しましょう。

2.怪我によるトラブル時の対処法

トリミング中には様々な場面でトラブルが生じてしまうことがあります。
たとえば「毛のカットによる不注意」「シャンプーが合わず皮膚炎になった」「ペット自身が暴れたたね落下して骨折する」などがあります。いずれにしても怪我などによるトラブルはサロン側の責任が問われてしまうことが多くあります。
では、トラブルが発生したときにどのような対処をしていけばいいのかみていきましょう。

2.1 事情説明をする

トリミング中による怪我や体調不良に至るまでの事情を飼い主様に詳しく説明することが大切です。

  • 飼い主様に怪我をさせてしまったと速やかに連絡をする・・・トリミング中のペットがどういう状態だったのか伝えます。
  • トリマーがどのような施術をして怪我あるいは具合が悪くなったのかを伝える・・・原因不明であることが飼い主様にとって一番の心配事です。小さな事でもトリマーに心当たりがある場合はどんな些細なことでも伝えるようにしましょう。※ペットを動物病院に連れていかなくてはならない場合は飼い主様に許可を得ますが、急を要す場合には飼い主様に連絡する前に処置することがあります。
  • 怪我などしたペットを引き渡した翌日には必ず飼い主様に連絡を入れて状態を伺う
  • 一週間ほど経ったところで再度怪我や体調の再確認(状態)を聞くようにする

なぜそのような事態が起こってしまったのか、先ずは誠心誠意謝罪をして事情説明をすることで、飼い主様の気持ちも和らぐようになります。

2.2 損害賠償・慰謝料を請求されたとき

ペットに怪我を負わせてしまった場合は、損害賠償・慰謝料を請求される可能性があります。
トリミングサロンで「施術中の怪我についてはサロン側では責任を負い兼ねません」といった同意書を提出するケースもあります。しかし、この場合は飼い主様の同意書にサインを頂いても必ずしも治療費や慰謝料を請求できないということではないので注意しましょう。

ペットの怪我に対する慰謝料の支払い、損害賠償の責任を認めるか否かはトリミングサロン側で決定付けることがあります。トリミングサロンは、施術中には十分注意を払って仕事をする義務があります。このことを「善管注意義務」と言いますが、トリマーの不注意で怪我をさせてしまった場合、この「善管注意義務」に違反したとされ、損害賠償責任・債務義務があると認められることになります。しかしながら、施術中に十分配慮しているにも関わらず、ペットが突然暴れ出したため怪我をしたという場合には責任は認められません。
怪我をした時の状況によって、業務違反に値するかどうかがポイントになります。

下記は、債務責任がある場合に損害賠償・慰謝料を請求されたときの対処法です。

  • 飼い主か様から金額を聞いてから必要に応じて弁護士に相談
  • 軽度の怪我で病院に診てもらった場合は(自然治療でできる程度)、診察費・通院費のみを支払う
  • 怪我が酷く、病院での治療費や通院費などかかった場合は支払わなければならない

3.トラブルを未然に防ぐためにできること

トリミングサロンでの怪我によるトラブルは未然に防ぐことが重要です。
できる限り適切な予防策に取り組み、安心してペットを預けることができるサロンを目指しましょう。

3.1 飼い主様からのヒアリング

ペットをキレイで健康的な姿に仕上げてあげるためには、飼い主様からヒアリングを行うことが大切です。トリミング前には、カウンセリングシートを用意し、記入して頂きそのシートをもとにヒアリングを行います。
カウセリングシートの記入事項やヒアリングの内容は基本的なことで十分です。

  • 施術当日のペットの体調や皮膚の状態、アレルギーの有無
  • 持病の有無、狂犬病の予防接種の証明書を求める
  • 施術をするにあたってのコースや希望のカットスタイル

シャンプーやカット、爪切りなど細部までペットに触れるトリマーは皮膚や被毛の状態をチェックできますが、飼い主様とカウセリングシートによって共有することで更にペットの健康状態の再確認ができます。そのため、ペットの状態に沿った施術の内容に変化をつけることができ、怪我というトラブルを防ぐことができます。

3.2 ペット用の賠償責任保険に加入

トリミング中に怪我を負わせてしまった時に、治療費を補償してくれるのがペット用の「賠償責任保険」です。ペットビジネスにおいて「日本ペット事業者支援協力会」に加盟することで「受託者賠償責任保険」「施設賠償責任保険」の2つの賠償責任保険が付帯されます。

  • 受託者賠償責任保険・・・お預かりしたペットに怪我を負わせた、死亡または財物損害によって法的措置を受けた上で賠償責任を認められた場合に保険を補償する制度です。(例)トリミング中にテーブルから誤ってペットを落として、骨折させてしまったなど
  • 施設賠償責任保険・・・施設そのものの欠陥、管理の不備による事故や業務中のミス、他人の財物を破損・紛失した場合、損害賠償の責任を負担することになった際の保険を補償する制度です。(例)ペットの目を離した隙に逃げ出し、他人を噛んで怪我をさせてしまったなど

3.3 利用規約・同意書を用意する

トリミングサービスを提供するにあたり、利用規約を記入した同意書を用意しましょう。
飼い主様に読んでいただき理解されたらサインをしてもらいます。
下記は最低限の利用規約・同意書の内容です。

  • ▼狂犬病ワクチン接種は年1回および混合ワクチン接種が1年以内であること
  • ▼ノミやダニの駆除が済んでいること
  • ▼他の動物に対して攻撃的でないこと
  • ▼健康状態が良好(シニア犬の場合は別途、「シニア犬特別利用承諾書」への同意書が必要)※免責事項も記載します
  • ▼最善の注意を払って施術をしますが、不慮の事故や突然の体調不良などのトラブルがあった際には、飼い主様に同意なく病院に連れて行くことがあります。その際の診察費・治療費・はお客様負担になります。慰謝料・賠償責任に関しても一切責任を負いかねますことをご了承願います。

「トリミングご利用同意書」のテンプレートをご参考ください〉

3.4 新人トリマーの教育体制

ベテランのトリマーでも誤ってペットに怪我を負わせてしまったということもあります。新人社員であればなおさら慣れていないためトラブルを起こしやすいです。
例として起こしやすいトラブルを挙げてみました。

・飼い主様の要望を聞いても曖昧さが残る
例えば希望スタイルをヒアリングしても伝わってこない、理解できないなど思ったら写真画像を見せて選んでもらうことでイメージが湧きやすくなります。

・すべてのペットのトリミングを同じように扱ってしまう
ペットの性質は、おとなしい・暴れん坊などさまざまです。ベテラントリマーは感覚で理解している多いのですが、新人は扱い方がよく分からないため同じように接してしまいます。特に暴れるペットには無理しない程度に対応し、先輩のアドバイスを受けながらトリミングすることをお勧めします。

・飼い主様とのコミュニケーション不足によるトラブル
トリミングサロンはペットのケアを行う場所です。言葉で表現できない犬や猫は施術中にストレスを抱え込むことがあります。施術前の飼い主様とのコミュニケーションをとることでペットの状態が理解できます。


誰もが最初は新人です。緊張し過ぎてスキルが発揮できず適切な施術(対処)ができなかったなど嘆いている新人トリマーもいらっしゃいます。
「上手にトリミングできなかった」「謝って怪我をさせてしまった」などが起こらないように未然に対策を新人教育として取り入れることを検討してみましょう。

さいごに

いかがでしたか。トリミング中に起こる怪我はトリマーの不注意によるもの、あるいは不慮の事故によるものなどいろいろなケースがあります。先ずは、サロン側ができるトラブル防止策を取り入れ、それでも防ぐことができなかった場合には適切な対処をとることが大切です。ぜひ大事なペットを安心して預けられるサロンを目指していきましょう。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人