ここ数年、「週末起業」という働き方が広まり、実際にサラリーマンの傍ら別の仕事をしている人が増えています。また、厚生労働省が「働き方改革」の一環として企業や働く側が積極的に他の仕事と兼業・副業を推進していることもあり、新しい働き方として注目されています。
以前から飲食店を経営したいけど、現在の仕事を辞めるリスクを避けたいと考えている方も多いでしょう。会社を辞めず低リスクで解決できるのが週末起業です。そこで今回は、飲食店経営者になれる週末起業のメリット・デメリットやおすすめの業種などを解説していきます。
ぜひ参考にしてみて下さい。
もくじ
1.週末起業と副業は違う
本業である仕事を辞めず、以前からやりたかった飲食店を開業したいと考えている方が多くいらっしゃいます。そこで考えられるのが週末起業や副業という働き方が挙げられます。ただし、週末起業と副業は一見同じようにみえますが、実は経営の仕組みが異なります。
週末起業は、本業を続けながら休日などを利用してビジネス(事業)を立ち上げることです。本業である安定した収入を確保しながら、自分のやりたいビジネスを始められる自由度の高い起業であることが大きな魅力と言えるでしょう。ただし、起業するためのコンセプト作りから利益を出すための仕組み作りまで行う必要があります。
週末起業は将来独立を考えている人が、準備段階として休日や空いた時間で起業を始めることが多いのも特徴です。
一方で副業も本業を続けながら、空いた時間を利用して他の仕事(アルバイト・パート含)で収入を得るという点では週末起業と変わりはありません。しかし、目的の違いがあり、週末起業は広い意味では副業と言えますが、自身でゼロからビジネスを立ち上げるため経営者(個人事業主)となります。
副業は雇用主の下で働くことで収入を得ているため将来的に起業する人は少ない傾向にあります。
2.週末起業のメリット・デメリット
週末起業で飲食店をスタートさせるためにメリット・デメリットを把握しておく必要があります。
〈メリット〉
- 本業を辞めずに起業できる、キャリアの幅が広がる
- 経済面でのリスクは低く、収入が得られるため余裕を持って独立準備ができる
- 週末営業した店舗の人脈が広がり、独立後もそのまま来店してくれる可能性がある
- 成功すれば独立できる可能性が非常に高い
本業の傍ら週末起業することで収入を増やすことができ、落ち着いて経営の勉強ができるのが大きなメリットと言えるでしょう。また、飲食店はお客様が来店してもらわなければ経営が成り立ちません。将来独立を考えた時、週末起業で築き上げた人脈は非常に重要なポイントとなります。自分のやりたいことを低リスクで始められ、週末起業が本業へとシフトできれば独立を願っていた人には大きなメリットであり魅力的ではないでしょうか。
低リスクで始められる週末起業ですが、デメリットも存在します。
〈デメリット〉
- プライベートの自由な時間が無くなる
- 体調管理をしっかりしなければ本業にも悪影響を及ぼす恐れがある
- 限られた時間の中での業務なので軌道に乗るまでの時間がかかる
休日などを利用して起業するとなれば、当然休みが少なくなるため精神的ストレスや身体の不調から本業に支障が出る可能性もあります。限られた時間内での経営だからこそ体調管理はしっかりとしなければなりません。メリットはもちろんですが、デメリットもあることを踏まえて週末起業の計画を立てることが大切です。
3.週末起業におすすめの飲食店の種類
ここでは、休日を利用した限られた時間で営業する飲食店について、おすすめの業種を紹介したいと思います。
3.1 キッチンカー(移動販売)
以前の記事「キッチンカーの出店場所を選ぶために【仲介業者別に徹底比較!】」で出店場所を探すための仲介業者を紹介しました。マッチングサイトを利用することで、自分の希望に近い出店場所が確保できます。
特に休日を利用したイベントやフェスなどは、キッチンカーの需要が多いため週末起業に適していると言えるでしょう。ただし、多くは出店場所によって集客や売上が大きく左右されるため、実際に出店する場所へ出向き客層や人が集まる時間帯などを調べておく必要があります。客層と自分が売りたい料理がマッチしているかなどのコンセプトに合った場所を探すことが重要です。
3.2 自宅で小規模飲食店
自宅の一部を飲食できるスペースとして開放するため、家賃はかからず最低限の工事で済ませられるので低コストで始められます。特にカフェを起業される方が多いです。将来実店舗を持ちたいという方には自宅で飲食店のノウハウやメニュー作り、マーケティングなどが学べられるので有効的な練習の場となるでしょう。
3.3 間借りして営業するシェアレストラン
間借りは既存店が営業時間外に店舗を貸しているため、厨房設備や備品なども揃っているので比較的気軽に起業を始められます。例えば夜から営業しているバーなどはランチタイムや土日だけ貸し出していることが多く、お昼時間も営業したいという方にとっては空いている時間を有効的に活用できます。また、通信販売やテイクアウト、デリバリーなども行っている経営者も多いです。開業希望者が間借りをする利用料金を支払えば営業できる仕組みとなっているので低コストで済みます。
※飲食店経営者と開業希望者をつなぐマッチングサイトを参照ください⇒シェアレストラン
4.失敗させない飲食店の週末起業
低リスクで始められる週末起業とはいえ、「失敗したらどうしよう」「低リスクでも失敗は怖い」など不安に感じている方も多いのではないでしょうか。起業には成功か失敗しかありません。誰もが成功させたいと思っているはずです。そのためには、週末起業で失敗しないコツやリスクを最小限に抑えることを把握しておくことが必要です。
では、ここで失敗を避けるためのコツを紹介します。
①明確な事業計画を立てる
週末起業は移動販売や間借りして営業を始めるなど複数のパターンがあります。業種によって初期投資は異なりますが、起業に必要な費用の見積もりを明確に出しておくと良いでしょう。本業との両立のため収入は安定しているとはいえ、予想以上に費用がかかることもあるので資金面を考えて無理のない業種を選択しましょう。
また、市場調査は必ず必要です。自分が開業しようとしている飲食店の業種がどれだけの需要があるのか、競合店の価格、立地による集客の見込みはあるかなどの調査をします。そうすることで飲食店による動向を見比べ把握することができます。
②本業との両立計画を立てる
本業と並行して飲食店経営者となるため、本業に支障をきたさないようなスケジューリングが必要です。スケジュールを詰めすぎて体調を壊し、本業に悪影響を与えてしまったケースがよく見られます。例えば小スペースを借りて週末だけラーメン店を開業し、オーナー自ら厨房でラーメンを作っていたが忙しすぎて体調を崩してしまったというケースがあります。回転率が高いお店は、オーナーが厨房に入って調理するより人を雇い動いてもらえるような仕組み作りが必要となってくるでしょう。どのような起業形態にするかにもよりますが、長期的な経営を目指すのであれば無理のないスケジュールを組むことが失敗しないコツです。
③ビジネスとして考えること
趣味を活かして週末だけ飲食店を始める人も少なくありません。ただし、好きなだけで経営を続けていくことが難しいのが飲食店です。趣味の域を越えなければならない場面があることを忘れないようにしましょう。料理が趣味で飲食店を開業したものの、その料理がターゲット層に刺さるものでなければ売上はアップしません。ターゲット層に見合った料理をいかにアピールできるかで、きっかけである趣味からチャンスを生むビジネスへと変わります。お店を継続させていかなければ好きな料理を提供することもできません。せめて失敗させないようにビジネスとして考えることが必要だと言えるでしょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか。本業を続けながら自分のやりたかった飲食店を週末だけ経営することは十分可能です。ただし、先ずは今置かれている状況で週末起業ができるか考えてみて、可能であれば本業の傍ら無理なく起業が行えるような業種を選択しましょう。成功させるためには、メリット・デメリットを知ることで失敗リスクが軽減できます。是非、好きな飲食店経営者として週末起業を始めてみてはいかがでしょうか。