接客従事者はクレームを受けやすい職業のため、ストレスが溜まることが多いと言われています。このクレームには改善要望から理不尽なものまでありますが、トリミングサロンもクレームが発生することもあり、対応に悩まれているトリマーが多くいらっしゃいます。
ここではトリミングサロンにおいて、なぜクレームが発生してしまうのか、どのように対応していけば再発防止に繋がるのか解説していきます。
現在トリマーとして働いている方やトリミングサロンの開業を検討されている方には、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
もくじ
1.クレームはなぜ発生する?
お客様は商品やサービスを得て、それに見合った対価を支払っているのになぜクレームは発生してしまうのでしょうか。実はお客様の思い込みによるものが多く、商品の欠損やサービス対応の悪さによって引き起ります。
- お客様が期待している基準に満たないとき(期待を下回る)
- お客様の勘違いによるクレーム
トリミングサロンでお客様が期待していることは「サービス、施術(商品)、価格」の3つがバランスよく提供されていることです。この3つのうち、ひとつでも欠けていると印象が悪くなり、二度と来店されなくなる可能性があります。
例えば施術後のペットが期待していたスタイルと違った場合には「違和感」から始まり「かわいくない」「気に入らない」「悲しさから怒り」という順番で感情の変化が現れます。これらを「一体感・自然」「かわいい」「好感」「喜び」に変えられれば期待通り(または以上)のものになり、お客様は満足して感謝の言葉に変わります。
期待とは思い込みの個人差はありますが、技術を買っているのでトリマーの腕を試されるチャンスのひとつでもあります。
お客様の勘違いによるクレームもあります。例えば施術前に「○○だから△△になってしまう」と説明したにもかかわらず「仕上がりがイメージ通りではない」などを理由に苦情を言われたというケースもあります。これもまたお客様が求めているものと違ったことで「説明なくこんなスタイルにされた」などの思い込みによるクレームです。お客様の思い込みによるクレームは大きな問題になり兼ねないので対応に注意が必要です。
2.トリミングサロンでよくあるクレーム
ここではトリミングサロンで起こりやすいクレームをみていきたいと思います。
クレームの原因を知ることで未然に防ぐ対策を講じることができます。
2.1 仕上がりが気に入らない
クレームが発生する要因とはどこのあるのでしょうか。先述した思い込みによるクレームの他、2つの理由が挙げられます。
・トリマーの技術不足
トリミングの技術不足(失敗)は早急に修復することを伝えますが、必ず責任者や先輩に相談しましょう。お客様に施術のやり直しの提案もしくは来店期間を設けて無料で施術ができるようにします。
・施術前に十分な説明を伝えていなかった
施術前に説明をしていたが不十分だったということもあります。説明とは施術時間がかかる理由、アレルギーの場合の施術法などがあります。この場合、サロン側に非があることでクレームが発生したと考えられるので、謝罪後にクーポン券を渡すなどして誠意を持って対応するようにしましょう。
2.2 ペットに対する扱い
命あるペットに対しても敬意を払って接することは当然のことですね。
あらゆる場面でお客様はペットに対するトリマーの行動を見ています。
- 飼い主からペットを渡す時のトリマーの受け取り方
- トリミング台に乗せるとき(投げるような仕草)
- 預けていたペットを迎えに行ったときにゲージから引っ張る
無意識で乱暴になってしまったということもありますが、意識することで優しく扱えるようになります。お店をリピートするかどうかはペットに対する態度を見て決めているといっても過言ではありません。
2.3 時間がかかる
トリミングの時間はペットの種類や大きさによって異なります。
- 小型の犬や猫⇒2時間半~3時間
- 中型の犬や猫⇒3時間~3時間半
- 大型の犬や猫⇒3時間半~4時間
犬や猫の毛の長さや身体の大きさによって施術時間が異なります。また、施術中に犬や猫が嫌がって暴れたりした時は中断してしまうため時間かかってしまうこともあります。お客様はトリミングする時間をある程度把握しているものの、前回より時間かかってしまったなどのクレームを言われる可能性もあります。予約時には混雑する土日やペットの状況を考えて余裕をもった施術時間(長くて○○時間ぐらいかかるなど)を伝えておいた方が良いでしょう。
2.4 スタッフの対応によるクレーム
予約時の電話や来店時の対応などあらゆる場面でお客様は無意識でスタッフの態度を感じ取っています。忙しくてもお客様への対応が雑になってはサロン側で損をします。
最悪な場合には口コミサイトにクレームを投稿されてしまいます。
口コミサイトのクレーム投稿は、サロンの印象が損なわれる可能性が高くなるため、接客力を身に付けるよう心がけることが大切です。
3.クレーム再発防止のための対応
クレームによる対応は再発防止策とも言われるほど非常に重要です。クレームが起きた後の対応によってトリミングサロンのイメージが大きく変わります。ここでは具体的にどのように対応していけばいいのかみていきましょう。
3.1 感情的にならず謝罪する
どんなに冷静でおとなしいお客様であっても、クレーム発生後のスタッフ対応が気に入らないと怒りを誘発させてしまいます。この気に入らないとはサロン側で謝らず反論する、逃げ越しになる、あやふやな態度などで、お客様に対して誠意がないと思われてしまいます。たとえ理不尽なクレームであっても、感情的にならないで先ずはお詫びをします。そしてクレームがあったことを冷静に受け止めましょう。
クレームがあった場合は相手に非があっても直ぐに謝罪します。
謝罪の仕方は以下のことを心がけましょう。
- 相手の目を見て詫びる(睨んだり、よそ見しての謝罪は避けましょう)
- 作業中でも必ず手を止めて詫びる
- 心から詫びる(心がない謝罪は口先だけだと見破られてしまいます)
誠意のこもった謝罪で相手は落ち着き始めます。印象悪かったトリミングサロンが良いイメージに変わります。
3.2 クレーム内容を聞く
クレームを起こすお客様は「言いたい」のです。先ずはどんなクレームでも聞いてあげましょう。サロンの改善要望によるクレームの可能性もあるので、クレーム内容を聞くことは非常に重要です。
- ヒアリングをしている時は適度に相槌を打つことで、お客様は安心感を持ち始めます。
- クレーム内容が聞き入られるような要望であれば、お客様とサロン側が不利にならないような問題解決のための提案をしてみましょう。そうすることでお客様は落ち着きを見せ始めます。
3.3 クレーム発生後には責任者を呼ぶ
いかなるクレームでも要望に応えられることと応えられないことがあります。
ヒアリングした後、スタッフであれば自分で解決しようとせず必ず経営者または責任者に相談しましょう。
- スタッフの場合は経営者や責任者を呼ぶ⇒怒りが低減される
- 責任者の場合はプロとしての対応をとる⇒例として「技量不足による謝罪と今後の改善」 責任者を呼ぶことでお客様は気が収まり、クレームの再発は避けられることが多いです。
4.サイレントクレーマーには注意を!
先にも少し触れましたが、一番厄介なクレームが口コミ投稿によるサイレントクレーマーです。このサイレントクレーマーとは、不満があるのにもかかわらずクレームを言わないが、お店の利用を控える顧客のことです。直接クレームを言ってもらえれば改善の余地もあるのですが、この静かなクレーマーはサロンに大きな悪影響を及ぼします。
- 口コミやSNSによるクレーム投稿をするため拡散される:口コミサイトの掲載物はずっと残ってしまうため、新規顧客にも目に留まりお店を避けてしまうことがあります。集客のためのSNSがマイナス要因によって悪影響を及ぼします。
- サロン側ではクレームによる問題点が見付けづらい:ネガティブな内容での口コミは見落としてしまう可能性があります。そうなると「問題解決ができていない店」「口コミに対しての返事がない」など誠意のないトリミングサロンだと思われてしまいます。サイレントクレーマーは表面化しません。アンケートによるFAQサイトをホームページで設置することで顧客の声が直接聞くことができます。サイレントクレーマーは放置しておくことで、サロンのイメージダウンに繋がってしまうので情報を得ること、そして顧客のニーズを把握することが大切です。
さいごに
いかがでしたか。この記事ではトリミングサロンでクレームが発生する原因と、その対応策を解説しました。どんなクレームでも対応力を身に付けることで顧客の態度が良い方向へと変化していきます。プロの見せどころは技術力だけではなく、クレームが発生したときの対応が適切であることではないでしょうか。