美容サロンのBGMは著作権使用料が必要!著作権侵害にならない方法を紹介

美容院、エステサロンでお客様が心地よくリラックスできる空間を作るために、必ず必要なのが音楽BGMです。店内で音楽BGMを流す場合は、音楽著作権使用料を支払う必要があることをご存じでしょうか。

  • 「自分で購入したCDなのにお店でBGMとして流したら著作権侵害になる?」
  • 「ラジオ放送も著作権使用料が必要?著作権がない音源はある?」
  • 「著作権使用料は、どのように支払うの?」

このような疑問やお悩みを抱えている美容サロン経営者の声を多く聞きます。
そこで、今回は音楽著作権の基礎知識や著作権侵害にならない方法を詳しく解説してきます。
音楽の著作権について確認していきましょう。

1.音楽著作権とは?

著作権法では、音楽を利用するにあたり、「作詞者」「作曲者」「音楽出版者」など著作権者の許諾を得る必要があると定められています。この著作権者の権利を「著作権」といいます。以前は、著作権法は今ほど厳しくありませんでした。法が改定されたことにより、2002年4月より、どのお店でも無許可で音楽BGMを流すことが禁止されました。
著作権は、著作権者の権利を保護するためにとても大切な制度です。著作権がないと、著作権者は収入を得られず、生活ができなくなってしまいます。日本で著作権の管理している団体が、日本音楽著作権協会(JASRAC)です。原則的にはJASRACに著作権使用料を支払う仕組みになっています。

日本音楽著作権協会(JASRAC)
https://www.jasrac.or.jp/info/bgm/pr/index.html

■音楽著作権使用料分配の仕組み

日本音楽著作権協会(JASRAC)HPより参照

2.著作権侵害となる音楽とは?

著作権侵害になる音楽
■自分で購入したCDを使用する。
■スマホ、タブレット、パソコンにダウンロードした音源を使用する。
■YouTubeの音源を使用する。
■インターネットラジオを使用する。


上記にあてはまる場合、JASRACに申請の手続きが必要になります。

【JASRAC申請手続きの流れ】

STEP1:BGMオンラインライセンス窓口または申請書による手続き
・オンラインでの申請 https://www.jasrac.or.jp/info/bgm/online/index.html
・申請書をFAXor郵送or支部窓口に提出する
 申請書ダウンロード https://www.jasrac.or.jp/info/d_04.html
 問合せ先 https://www.jasrac.or.jp/info/local_b.html

STEP2:許諾通知および使用料の支払い
申請手続きが完了したら使用料請求の通知が届きます。支払い方法は、口座振替、銀行口座振り込み、コンビニ払い、スマホ決済サービスのいづれかを選ぶことができます。期限内に支払い手続きをしましょう。使用料支払いが完了しましたら、JASRAC利用許諾契約を締結している契約店であることを証明するステッカーが交付されます。お店の入り口などに貼付しましょう。

■JASRAC利用許諾ステッカー

3.音楽著作権使用料はいくらかかる?

音楽著作権使用料は、規程で定められています。美容サロンの場合、1店舗ごとの面積によって6つに区分されています。以下は、年間の使用料です。

1区分:店舗等の面積500㎡まで 6,000円/年間
2区分:店舗等の面積1,000㎡まで 10,000円/年間
3区分:店舗等の面積3,000㎡まで 20,000円/年間
4区分:店舗等の面積6,000㎡まで 30,000円/年間
5区分:店舗等の面積9,000㎡まで 40,000円/年間
6区分:店舗等の面積9,000㎡超える場合 50,000円/年間

【日本音楽著作権協会(JASRAC)HPより参照】
https://www.jasrac.or.jp/profile/covenant/pdf/royalty/rylty12.pdf

4.無許可で音楽を流したらどうなるの?

著作権の使用料を支払わず、無許可で音楽CDを流したらどうなるのでしょうか。
刑事罰と民事請求の責任が問われます。刑事罰の場合は、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、民事の場合は、損害賠償を請求されることになります。
過去にJASRACが提訴を起こし、損額賠償を請求されたケースが多数あります。「バレなければいいや」「知らないふりしていれば大丈夫」などは通じません。著作権を正しく確認し、きちんと支払いする必要があります。

5.著作権侵害にならずに音楽BGMを流す方法を紹介

5.1 著作権フリーの音楽をインターネットで探す

著作権フリーの音楽は、インターネットで検索すると一覧で出てきます。お店の雰囲気に合った音楽をダウンロードしてBGMとして使用することができます。難しい作業ではありませんが、時間と手間が必要になるので、忙しい方にはおすすめしません。

5.2 テレビやラジオの放送をそのまま流す

テレビやラジオは、放送者が著作権使用料を支払っているため、著作権使用料の支払いは必要ありません。ただし、インターネットラジオや放送を録音して流す場合は、著作権使用料の支払いが必要になりますので、注意してください。

5.3 有線放送を流す

有線放送(音楽放送サービス)を契約すると、その中に音楽著作権利用料も含まれているため、著作権使用料の支払いは必要ありません。有線放送は、「ジャンル」、「季節」、「業種別」等のプレイリストが豊富に用意されているため、多忙で音楽BGMの用意に時間を費やせない方におすすめします。

5.4 自分で作ったオリジナル音楽をCDにして流す

自分で作ったオリジナル音楽の場合は、JASRACが管理していない楽曲になりますので、著作権利用料は必要ありません。

さいごに

いかがでしたか?今回は、音楽著作権について詳しく解説しました。
自分で購入したCDであっても店内でBGMとして使用する場合は、著作権侵害になり、JASRACに申請の手続きが必要になります。「バレなけれ問題ない」「知らないふりしてれば大丈夫」というような考えは、とても危険です。JASRACに民事調停を申し立てられ、損害賠償請求されるようなことになれば、お店の信用問題にも発展します。音楽BGMを店内で流す場合は、著作権侵害にならないように、きちんと手続きし、著作権使用料を支払ってから利用するようにしましょう。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人