「行きたい店」と「行きたくない店」の違いはどこにある?【飲食店の印象】

開業から約7割の飲食店が3年で閉店すると言われています。「料理が美味しい」「接客が良い」「お店の雰囲気がいい」など、すべての条件を満たしているのに経営が芳しくないのは何故?と思われている経営者もいらっしゃいます。

飲食店は比較的参入しやすい業界ですが、実は難易度が非常に高い業種です。お店で良いパフォーファンスをしているつもりでも、来店客に伝わらなければ何もなりません。この記事では、「また行きたくなるお店」、「もう行きたくないお店」の違いやクチコミ(サイト)情報がどんな影響をもたらすのかなどを解説します。是非参考にしてみてください。

1.「また行きたくなる店」・「もう行きたくない店」の違いとは?

飲食店を経営していると、初めて来店したお客様が帰り際に「また来ます」とう言葉をいただいたことがあるのではないでしょうか。リピートして頂けるお店は、おそらく客商売としての基本をしっかり押さえたうえで、様々な工夫をされているのでしょう。その一方で、いろいろと施策はしているけれど成果がでない、お客様がリピートしてくれる様子が見受けられないなど嘆いている飲食店もあります。来店客の「また行きたくなるお店」という思いはどこで生まれるのか、また「もう行きたくないお店」と思わせる原因はどこにあるのか、それぞれみていきましょう。

<また行きたくなるお店>
①料理が美味しい
注文した料理をスピーディに提供してもらえれば、お店の印象はとても良くなります。食事の提供を長時間待たされると苛立ちが先行してしまい、料理の美味しさが半減してしまいます。「熱いものは熱いうちに」、「冷たいものは冷たいうちに」といった温度に着目している飲食店は、お客様がまた行きたいと思わせるキッカケになります。

②接客・サービスが良い
入店された時、笑顔で「いらっしゃいませ」のあいさつは接客業の基本です。お店の第一印象は、笑顔で迎えるあいさつで決まります。その印象次第ではリピーターに繋がる可能性が多いにあります。また、お客様のニーズに対応するため、常にアンテナを張っておくことも大切です。そして失礼にならない程度のフレンドリーな接客ができれば良い印象が残り、また来たいと思われることが多いです。

③居心地が良い
お店の雰囲気の良さは、来店客に大きな影響を与えます。お客様にとって居心地の良い場所での料理やサービスを提供されれば何度でも行きたいと思ってくれます。また、働いているスタッフがお店に興味を持っていることも大切です。スタッフがお店の良さを認知していることで、マニュアル通りの接客ではなく、素から出るレベルの高い接客ができるので、店内の心地良さがお客様に伝わり、また行きたいと思わせてくれます。

<もう行きたくないお店>
①料理がまずい
飲食店にとって料理が美味しくないというのは、とても残念ですね。「食材の質」や「味の完成度」は、今後来店するかどうかの判断材料になります。料理がまずいのはもちろんですが、食材の質が悪いと割高感があるので要注意です。

②接客態度が悪い
スタッフ同士でおしゃべりに集中していてオーダーを取りにこない、オーダーミスをしても謝罪がないなど接客が悪いと料理が美味しくても行きたくないお店となります。その他、キッチンからスタッフを怒鳴っている声が聞こえてくる、店員に笑顔がなく気遣いがないなどは悪い印象しか持たれず、もう行きたくないと思われてしまいます。

③店内が汚い
料理を提供する場として、衛生管理が行き届いていないと敬遠されてしまいます。テーブルやメニュー表が汚れている、食器の洗い残しがあるなどはお店のイメージダウンに繋がります。なかでもトイレが汚いのは、トイレに入った瞬間にお店の印象が悪くなるので料理が美味しくても、もう行きたくないと思われてしまいます。

2.グルメサイトのクチコミ評判が分かれ道

飲食店に足を運ぶ際、Googleマイビジネスやグルメサイト(食べログやぐるなびなど)やSNS、ブログなどの「クチコミ情報」を参考にしてお店を選ぶことが多くなりました。飲食店経営者の約8割がクチコミサイトで自店舗の評判を意識されて見ているようです。そのクチコミから拡散し、SNSの反響は今や見逃すことができないのが現状です。クチコミ情報によって「選ばれる店、選ばれない店」とはどこで判断しているのでしょうか。
クチコミサイトでの複数の料理写真や店内写真は、閲覧している人が気にいれば「行ってみたい」と思われ、「選ばれるお店」になります。グルメサイトの書き込みには、ユーザーが感じたことをそのまま投稿されます。料理が美味しい、接客が素晴らしいなどの評価が高いのは勿論ですが、ユーザーが「また来たい」と書き込むことで、サイトを見た人が安心して行ってみたいと思われることが多く、更に投稿された件数が多ければ多いほど、興味を持ってもらえる可能性が高くなります。

グルメサイトでの料理の写真が少ない、投稿の件数が少ないなどお店の情報源が得られないと決め手に欠ける、あるいは気付かれないことが選ばれない原因となってしまうことがあります。また、料理の盛り付けが雑だと、全体の量が少なく貧相に見えることが原因で、食欲が半減してしまいます。ユーザーは目に映ったそのままの状態で写真を投稿します。料理の写真は宣伝として大きな影響を与えるので十分注意しましょう。そして、サービスが悪い、店内がうるさいなどマイナス面が多い投稿は行きたいお店として選ばれません。
※ただし、あまりにも悪質・営業妨害になる投稿はサイト運営者に削除を依頼するなどの対策を考えたほうが良い場合もあります。

クチコミ情報は、良くも悪くも大きな影響力があります。ユーザーが、お店でアップした写真や書き込みを閲覧した人が「行きたい」と選んでもらえれば、お店にとっては良い宣伝になります。クチコミは未だ見ぬ来店客へのイメージ作りです。とは言え、クチコミ全ての情報を鵜呑みにする必要はありません。大切なのは「この店は選ばない」と思わせるコメントに、問題点を見つけ出し改善することです。そして、良いコメントがあった場合はスタッフにそのことを伝え、モチベーション向上に繋げることです。心のこもった料理や接客を継続していれば、お客様に選ばれるお店になるでしょう。

3.他店との差別化で印象が変わる

飲食店は、競合店が多いことでよく知られています。その中で「また行きたくなる店」と思わせるには、容易いことではありません。しかし、他店とは異なった自店の優れた商品やサービスの価値をお客様に提供することで、強い印象を与える方法があります。
他店との差別化を図るという基本的な戦略方法です。

●競合店を分析して自店の強みを知る
先ず、自ら足を運び競合店がどのようなサービスや商品を提供しているのか、客観的な視点で分析をします。更に価格やお店の内装・外装デザインなどの分析もしてみましょう。分析をすることで、他店にはなく自店にあるものを見出そうとします。その結果、お客様のニーズに応えるものが他店にはないことが見えてきて、それが強みの材料として使えることができます。その強みの材料を自店の“ウリ”として明確に差別化することができます。

●差別化のコンセプトを作る
競合店の分析結果をもとに差別化コンセプトを作ります。

  • 自店の強みを理解し、明確にする
  • 市場(業種)規模とターゲット層の需要を明確にする
  • 競合店の強みと弱みを把握する
  • 差別化されたコンセプトを完成させる(事業計画書の見直し)

以上のような①~③の要素を明確にし、④のコンセプトを作ります。差別化コンセプトの実現ができれば、一度来店していただいたお客様はもちろんですが、新規のお客様にもこの店は「他の店とは違う」という好印象を与え、リピート来店に繋がります。

また、ホームページやSNS集客、インスタグラムなどの様々な場所で差別化の効果を最大限に引き出せれば「行きたくなる店」となり、売上アップにも繋がります。

さいごに

いかがでしたでしょうか。初めて来店した時の印象で行きたい店、そうでない店に決まってしまうことがあるので、与える印象の影響力はとても大きいです。「また行きたいお店」と思わせるのは容易ではありませんが、お客様のニーズを理解したうえで、ワンランク上の工夫も必要ではないでしょうか。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人