サラリーマン生活に終止符を打ち、昔からの夢だった飲食店を開業したいあるいは定年後の生き方としてずっと憧れだった飲食店を始めたいと考えている方が多くいらっしゃいます。しかし、開業後に飲食店経営の難しさ・楽しさを実感し、そこで初めて「失敗」と「成功」とういう二つの道があると気づく人も少なくありません。
この記事では、飲食店開業後に深く関わる失敗と成功の要因などを解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
1.飲食店開業前に必要な準備(計画)
脱サラとは、会社員として雇われていた身から独立して商売や仕事を始めることです。開業後は、売上目標を立てながら生活費を稼がなければなりません。特に未経験から始めると、やるべき事が想像以上に山積みにあり慣れない経営に戸惑うことが多く、時間がいくらあっても足りません。脱サラ後に飲食店を開業すると決意をした段階は、未だ時間に余裕があるので下記の計画を必ず立てておきましょう。
準備段階で計画を立てるか立てないかで開業後の経営に大きく影響します。
①先ず事業計画書は必ず用意(特に融資を受ける方は必要になります)
②次にお店のコンセプトを決める(業態や業種・メニュー・ターゲットの順に決める)
③最後に立地条件に基づく出店場所を探す
事業計画は、お店の事業内容と収支計画をまとめた計画です。融資を受ける時の提出先は金融機関で、必ず必要になります。また、お店のコンセプトや立地についてはよく検討することがとても重要です。
2.開業した飲食店の失敗原因・成功のカギ
飲食店経営は難易度が高く、開業後1年目の閉店率は約30%、2年目で約50%、3年目では約70%もの飲食店が廃業しています。飲食店は比較的開業しやすいが、成功する確率が低いとよく言われています。ここでは、失敗・成功の分かれ道の違いはどこにあるのかを解説します。
〈失敗する原因〉
◆コミュニケーション不足・経営相談ができない
組織の中で働いていた会社員と違って、経営する立場になると運営に必要な事務処理や経営に関する課題や悩みなど全てひとりで向き合うことが多くなります。売上の伸び悩みに関する問題を自分ひとりで解決してしまって失敗したというケースもあります。このような失敗に至る前に、経営上のアドバイスをしてくれる存在はとても重要です。
経営の相談相手として多く挙げられるのが税理士や会計士です。的確なアドバイスをもらいながら事務処理を代行してくれる専門家の力を借りてみてはいかがでしょうか。
(前記事参考:飲食店に必要な専門家【税理士・社労士・司法書士・行政書士を徹底比較!】)
◆経営に関するリサーチのノウハウが不足
脱サラして飲食店を始める人の多くは料理に自信があることが多いです。しかし、料理以外に集客方法や競合店の分析、ターゲット選定、メニュー開発そして資金繰りなどの経営戦略を立てなければなりません。十分な知識や経営のノウハウがないまま開業して「なんとかなる」というような安易な考えでは失敗してしまう可能性があります。
そこで失敗を避けるために必要なのが同業者リサーチです。他店と比較した「料理」「ターゲット層」「価格」などを細かくリサーチを行います。
料理の知識も基本ですが、飲食店を継続させるには経営のことも兼ねてリサーチ・研究をすることはとても大切です。
〈成功させるカギ〉
◆顧客のニーズに合ったコンセプト作りがポイント
飲食店開業の準備で大切なのがコンセプトを決めることです。「お客様のニーズに合っているお店」であることが大前提で、さらに「また訪れたくなるお店」と思わせるようなコンセプトが明確であることです。明確なコンセプトに沿ったお店つくりをしていくことが成功させる近道です。お客様のニーズに合った店作りができている経営者は、たとえ経営の危機に陥った時でも、再生できる力を蓄えていらっしゃる方が多いです。
◆開業前に修行として経験を積む
飲食店未経験者は開業前に副業などで期限を決めて体験しておくと良いです。最近では、将来独立希望の方の求人広告を出している飲食店も増えています。そのような店舗で働くことで、開業に向けての有益な情報を得られる可能性があり、人脈の広がりも大いに期待が持てます。
※開業に融資を受ける際には、アルバイトでもいいので飲食業の経験があると有利になります。
◆2日間のプレオープンを実施
飲食店を開業する前の予行練習としてプレオープンの実施をお勧めします。
ポイントとしては以下の流れで、関係者やお世話になった方々のお披露目です。
・対象者
1日目は会社時代の同僚やお世話になった人、友人など。
2日目はターゲット層含む店舗の近隣の方
・価 格
1日目は無料で2日目は半額などの差をつける
・料理内容
開業後のメニューと同じものを提供
・発信方法
SNSやハガキなど
最後に来店していただいた方にアンケートを用意して回答をもらい、様々な意見を今後の参考にしてみましょう。開業に向けたプレオープンを実施することでお店の流れが把握できるので、店舗ビジネスにおいて成功のカギを握っていると考えられます。
3.脱サラ後におすすめ飲食店業態・業種
脱サラして飲食店を開業すると決めたものの、不安はつきものです。不安を解消することは難しいですが、先ずは未経験でも比較的開業しやすい業態・業種を選択肢にいれてみてはいかがでしょうか。
3.1 フランチャイズに加盟する
フランチャイズは様々な業種があるため、自分のやりたい業種を選んで開業している方が増えています。商圏調査や店舗開発、厨房オペレーション、売価・原価コントロールなどの準備をしてくれるので、開業後の失敗率を極限まで下げられる可能性が高いです。また、本部からの研修制度もあるので、未経験の方でも開業できるシステムになっています。大手チェーン店を展開している企業と契約を結ぶことで、ブランドイメージとして自店舗の知名度が高くなることもメリットのひとつになります。
3.2 キッチンカー(移動販売)開業
キッチンカーは家賃がかからず、初期費用も抑えられるのでおすすめです。また、自分ひとりで運営することが可能なので人件費もかかりません。ただし、出店場所や時間帯によって売上が大きく左右するので、自分の売りたいメニューやターゲット層と場所がマッチしているか、十分なリサーチをする必要があります。
(以前の記事参考:キッチンカーの出店場所を選ぶために【仲介業者別に徹底比較!】)
3.3 テイクアウト・デリバリー専門店
低資金および省スペースで無理なく開業することが可能で、料理もお弁当が多いのでメニューも比較的簡単な調理で済みます。また、イートインがないため客席用家具や設備投資も不要です。ただし、食するまでの時間を要するのでメニューの工夫が必要になります。また、使い捨ての容器・カトラリーは常に必要なので、思った以上に費用がかかります。お弁当などの価格設定のバランスをとるようにしましょう。
4.脱サラして飲食店を開業するときの心得
特に脱サラ後は独りよがりな目的を優先してしまいがちですが、自分がやりたいことと人に求められることとは必ずしも一致するとは限りません。求められていないが自分のやりたいことを押し通すと大抵失敗します。飲食店にとって大切なことは人との関わりです。求められる店作りへと柔軟な発想の転換ができることで、自ずと人が集まり売上アップにもつながります。お客様のニーズにあったお店作りを心得ておくことで成功の道に近づく第一歩となることでしょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか。本記事では、開業後の失敗と成功の要因などを解説しましたが、お店を継続させるためのヒントとしてもらえればと思います。ライフサイクルが180度変わり経営の軌道が乗るまで大変ですが、安定にはない何かを得る面白さがあります。
ぜひ、成功を目指したお店作りをしていきましょう。