飲食店の業態転換について~失敗しないための重要ポイントを解説~

近年、複数ある飲食店のなかで商品やサービスに付加価値をつけたり、ジャンルを変えたりする店舗が少なくありません。その背景には、様々な角度から見て判断した結果であったり、もしくは既存店舗の拡大による業態転換であったりすることが伺えます。

つまり、業態転換は経営難からの改善、またはお店のステップアップのために営業手法を変えるといった、二通りの施策になるということです。

今回は、飲食店が業態転換を実施するときの重要ポイントを中心に、メリット・デメリットなどを解説していきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください。

1.飲食店における業態転換の必要性

業態転換は、既に営業している商品やサービスの売り方(提供)を変更することを言います。この変更には二通りあり、現在の店舗をグレードアップする、もしくは経営不振の打開策を打ち出すためによるものが多くあります。店舗経営の状況によって業態転換(業態変更)を実施することになりますが、ここでは具体的にどんな時に業態転換を行うべきかみていきたいと思います。


①今までの営業スタイルで続行しても成果が出しにくい・通用しなくなったとき(ネガティブからの打開策)

これは外部的要素が含まれる食文化やライフスタイルの変化による影響で、やむを得ずお店の形態を変更することなるといことです。以下の要因が挙げられます。

  • 記憶に新しいコロナ禍での業務転換もそのひとつ
  • 競合店の出現により売上減少してしまった

また、経営不振による業態転換を検討する上で、内部のオペレーションが停滞している場合もあります。この場合は経営者側で業務改善を図る必要があります。この問題の解決策が見出せることによって業態変更の必要性がなくなるケースがあります。


②現在の飲食店をステップアップするとき

ステップアップのための業態転換は、繁盛経営の経験を新規店舗に活かす、または既存店舗を専門性の高いお店にするといったことです。売上を更に上げるための業態転換は十分に成果を出せる手法となるでしょう。

2.業態転換するときの重要ポイント

業態転換をするときには重要ポイントがありますが、理解をした上で実施することをお勧めします。ここでは、失敗しないために幾つかの重要ポイントを紹介していきます。

2.1 業態転換の目的を認識する

既存の営業スタイルから新たな業態に変更する場合、何をどのように変えるのかを書き出し、最終的に絞り込みます。例として以下のようなことが挙げられます。

  • 既存店舗がイタリアンレストラン:カジュアルなイタリア食堂⇒ファミリー層も狙う
  • 夜のみ営業:ランチ営業を始める⇒回転率を上げる(特にオフィス街の場合)
  • 客単価が高いお店:低価格でメニューを増やす⇒集客・来店頻度を上げる

上記の課題は、来店客の減少によるものからで、最終的に来店頻度・客数の増加を狙った業態転換です。業態転換するには課題がありますが、最終目的に達するためのプロセスがあります。何をどのように変更していくのかを把握することで最終目的が決まります。

2.2 業態転換による発想の転換

業態転換は市場環境の変化によって提供方法を変える、または需要に応じて既存店舗を更に質の向上を目指して運営することが考えられます。どちらにしても業態転換という力を借りて売り上げを確保し、順調に成長していくことを目指しています。
ここで重要となるのが店舗状況に応じた発想の転換です。つまり、発想の転換によってアイデアを上手に引き出すことも大切であると言えます。

★キッチンカーやポップアップストアでの販売
移動販売はコストが低く、需要の多い場所での営業をすることで成果が出せます。ポップアップストアは人通りが多いデパートやイベントスペースを短期間で借りて主力となる商品を提供することができます。場所のレンタル料はかかりますが、ブランド力を借りての成果が出やすいこともあり、一時的な利益が期待できる上、認知度も上がります。

★コンセプトのひとつであるターゲット層を絞る、あるいは広げる
ターゲット層の来店客が思ったような成果が得らないということは、さまざまな原因があります。例えば、「ターゲットが絞れていない」「アプローチ法が適切でない」「店舗の強みを把握していない」などが挙げられます。経営戦略の見直しをした上で、的を絞ったターゲット層に強くアプローチをかけるようにしましょう。
また、繁栄からのグレードアップのための業態転換は、既存店の主力食材を使用した料理から菓子も売り出すといった発想で、ターゲット層を広げるという施策を検討するのも良いでしょう。

2.3 業態転換のタイミングを知る

新たなビジネスを始めるとき、時代の流れや顧客ニーズなどを調査した上で実施します。
また、業態転換するときのタイミングを知るということも非常に大切です。
ここでは、そのタイミングを知るために、どのような分析をしていけば良いのかみていきます。

  • これから提供する商品やサービスが社会情勢や近隣状況にあっているか
  • 自店舗に資金余力があるか確認する(タイミングを図る)
  • 売上減少による業態転換は、実施するタイミングを見極めるためにも先ず店舗の見直しをすることが大切。ネガティブからの業態転換はできる限り最終手段として検討する

3.業態転換のメリット・デメリット

飲食店における業態転換は、既存店舗のステップアップのため、もしくは経営不振による打開策と先述しました。最大のポイントは、どちらも今ある営業スタイルを変えて再出発を図ることです。その大切な業態転換の方向を検討する上でメリット・デメリットを把握することも非常に大切です。


<業態転換におけるメリット>
●新規顧客の獲得
既存店舗のターゲット層と異なる新規顧客の開拓です。例えば夜営業中心の居酒屋がランチタイムを設け、限定(○○産)定食を限定50名様といったメニューを提供することで集客に期待がもてます。

●競合店との差別化を図れる
新たな業態転換は、コンセプトの見直しをすることで独自性のある商品やサービスを提供することができます。よって、競合店との差別化戦略を実現できるようになります。

●新たなブランドイメージ形成
既存店舗の持つブランドイメージとは異なるイメージを形成できます。今までと違った商品やサービスを提供することで、お客様にブランドイメージを根付かせて記憶に残るお店として作り上げることができます。

●人件費や家賃などといったコスト削減
たとえばカフェの飲食スペースを商品の販売スペースに縮小することで、料理人を減らすことができます。人件費の削減につながります。



<業態転換におけるデメリット>
▼リスクを伴うことがある
新しいい業態でお店を運営する際、市場調査していてもさまざまな問題を抱えてしまうことが多々あります。予測できないリスクを伴うことも念頭に入れておきましょう。

▼コスト削減になるとは限らない
業態転換は初期費用や設備の変更、人材確保のためのコストがかかります。売上が安定し成果が表れることでコスト削減に繋がりますが、初期段階では資金の確保が必要です。

▼既存店舗の価値が低くなる可能性もある
今ある飲食店のイメージが強い場合、新たな店舗のブランドが違い過ぎると今までのお客様が離れてしまう可能性があります。既存店舗のブランドをしっかりと理解した上で新たな価値を見出したブランドを形成するようにしましょう。

さいごに

いかがでしたか。業態転換はネガティブまたはポジティブから始まる施策で、目指すところは、集客や売上向上など同じ目標に達することです。
重要ポイントを把握した上で実施することが業態転換後に、結果間違っていなかったということになるでしょう。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人