インバウンド対策の必要性【外国人観光客が求める飲食店づくりのポイントを解説!】

2020年初頭から始まった新型コロナウィルス感染症による世界的な拡大によって消費行動に変化が見られ、経済面での停滞が発生しました。特に飲食店の時短や酒類提供の制限などで大きな打撃を与えていたことは記憶に新しいと思います。そんな状況から、現在ではようやくコロナ感染者が緩やかではありますが減少傾向にあります。外国からの訪日観光客の受け入れ制限はあるものの再開となり、飲食店にとってもチャンス到来といえるのではないでしょうか。今回は集客や売上アップに繋がるインバウンド対策について解説していきます。ぜひ参考にしてください。

1.飲食店はインバウンドビジネスをどう見ている?

将来的に訪日外国人観光客数の拡大に向けて、政府は受入環境整備の取り組み「観光ビジョン」という新たな施策実行を目標としています。これは訪日外国人観光がストレスなく観光を満喫してもらうなどのビジョンですが、この目標が実現すればインバウンド客獲得に大きなチャンスを飲食店にも与えることになるでしょう。この目標を達成するために飲食店ができるインバウンド対策を実行していくことが大切です。
しかし、このようにインバウンド対策の必要性は理解していても、実際飲食店側はどう捉えているのでしょうか。インバウンド客を積極的に獲得するためにどこを重視しているのか既に取り組んでいる飲食店の意識調査をみてみました。

※引用:「飲食店リサーチ」

上記の通り、1位が「Wifiの導入」で71%の飲食店が取り組んでいますが、これは訪日観光客含めすべての来店客へのサービスの姿勢が強く見受けられます。次いで2位がキャッシュレス決済の拡大で69%、3位が60%で多言語対応の取り組みとなっています。
外国人観光客を獲得するためにはサービス・おもてなしの向上を検討した上で取り組みをしていると言えるでしょう。また、インバウンド客を獲得するために、これから検討したいことは以下の通りとなっています。

※引用:「飲食店リサーチ」

1位・2位ともにSNSや媒体掲載などによる情報提供を検討している飲食店が50~60%と高い数字になりました。先ずは獲得するためにお店を知ってもらうことに重視しているようです。

インバウンドビジネスの対策を既に導入済み、あるいはこれから検討したいという前向きな姿勢の飲食店が多く存在しています。その一方で、対策できることは始めたいが困難なことも多数ある、常連客の対応を優先したいなどの理由からインバウンド対策に消極的な飲食店も見受けられます。
後にインバウンド対策を詳しく解説しますが、できることから少しずつ始めてみるのも良いでしょう。対策準備のために参考にしてもらえたらと思います。

2.インバウンド客が飲食店に対して困ったこと

観光庁の調査によるとコミュニケーションや多言語表示で困った場所は飲食店が28.5%と数字になりました。日本に訪れる外国人観光客の目的の一つとして「日本食を食べること
「日本酒を飲むこと」など大きな期待を寄せています。そんな期待を裏切らないように、ここでは過去に訪れた外国人観光客が飲食店に対して困ったことを紹介していきます。

  • 料理を選ぶとき・注文するとき⇒65.8%
  • 自分の食べたい飲食店を探すとき⇒32.9%
  • 日本食の食べ方が分からない、または説明を受けるとき⇒32.3%

※観光庁:「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」(平成29年度)

上記の数字を見ても分かる通り、コミュニケーションを必要とする場面で困ってしまったという経験が多いです。オーダーしたが上手く伝わったか不安になったという外国人観光客も少なくありません。また、国によって飲食に関する文化の違いや宗教的な背景から様々な情報が対策に追いついていかないという状況にもあるようです。
このように訪日観光客が困ったことを把握することで、これから検討する際に最適なインバウンド対策が明確化してくることでしょう。

3.飲食店ができるインバウンド対策

インバウンドビジネスの対応を前述しましたが、ここではどのように対策に取り組んでいったらいいのか詳しく解説していきます。

3.1 SNSを活用

海外旅行をする上で飲食は必要不可欠ですね。多くの外国人は、SNSを使って情報を収集しながら楽しみのひとつである飲食店を探しています。SNSはFacebookやInstagram、Twitterなどがあります。なかでも言語をあまり必要としないInstagramは外国人へ店舗アピールをするには最適です。写真や動画を定期的に発信するだけなのでとても便利で外国人にもわかりやすく目に留まるきっかけを作ることができます。
過去の観光客数が最も多かった中国では、政府によって厳しいネット規制をしているため利用者がSNSにアクセスできないようになっています。訪日中国人をターゲットにしたい場合は、「Weibo(ウェイボー)」というアカウントでFacebookやTwitterのようなSNS、または「WeChat」というLINEとも言われているチャットアプリなどが主流になっているので、こちらを検討してみるのも良いかもしれません。

3.2 Wi-fi環境をつくる

現在ではWi-fi機器を導入している飲食店が多くなりました。とはいえ、海外のようにフリーWi-fiの設置が当たり前のような環境ではないのも事実です。Wi-fi環境が整っていないと、入店しないという外国人観光客も少なくありません。お店を選ぶ時に重要なポイントとなります。
インバウンド客の集客に向けてWi-fiの導入を検討してみましょう。そして導入したら、店内はWifi設置済みであるというアピールを表示することで外国人観光客は安心して来店してくれる可能性が高くなります。

3.3 口コミの拡散・トリップアドバイザー

トリップアドバイザーは世界最大のプラットフォームです。 外国人観光客は、このトリップアドバイザーのサイトにアクセスすることで入店した飲食店などの口コミ投稿ができて閲覧も可能です。また、飲食店側からも口コミ返信ができるので、多くの訪日外国人観光客とのコミュニケーションが取れます。登録することで以下のメリットがあるので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

  • 登録(無料)することで全ての外国人観光客にアプローチできる。
  • コミュニケーションをとることで安心・信頼感を与え、再来店のきっかけに繋がる。
  • 口コミを閲覧できるので自店舗の分析だけではなく、競合店のチェックも可能。

口コミを英語で返信する際には決まった文章が多く非常に簡単です。多少作業に時間がかかりますが、今はGoogle翻訳機などもあるので例文を真似て文章にするのも良いでしょう。

3.4 多言語対応の実践(料理・メニュー・接客)

多言語表示で困った場所は飲食店が最も多いと言われています。
飲食店ができるサービスの一つとして、メニュー表に英語も併せて記載しておきましょう。また、視覚的に伝わるように料理の画像やイラスト(ピクトグラム)も載せておくことで、外国人観光客が注文する時に指をさすだけで伝わります。料理に関しては、外国人向けにアレンジするより日本食そのものに興味があるので日本人客と同じものを求めていることが多いです。

外国人はコミュニケーションをとても大切にします。意思の疎通を図るために外国語を話せるスタッフを一人雇用する方法もありますが、多言語が話せるスタッフの採用が難しい場合は英語だけでも可能な人材を配置しておくと良いでしょう。英語対応が可能なスタッフが1名いるだけで外国人観光客のストレスが軽減され、再来店の可能性が高くなります。

3.5 食べられない食材の情報を得る

世界各国の文化や価値観によって多様な食習慣が存在しています。特に飲食は宗教や風習、嗜好、生活習慣など異なることが多く、それらの対応に配慮する必要があります。例えばムスリム旅行者(イスラム教徒)が「豚肉不可・その他動物性食材に規定あり」のように宗教上食材に制限がある観光客の来店も考慮した上で別メニュー(表)を作成することです。そこまでの必要性を感じていないという場合でも、メニュー表に掲載している料理に使用した食材を併記しておくと親切ですね。

団体旅行で旅行代理店やホテルを通して来店する場合は、予め添乗員やホテル側に食事制限の有無を確認しておくとスムーズに食材の調達が行えます。
個人客の場合でも出来る限り食べられない食材などがあるかなどオーダーを取るときにヒアリングしておきましょう。最後の会計時に、嗜好・食習慣などの違いが原因なのか、殆ど食べていなかったというケースも少なくありません。コミュニケーションを要する場面を必要としますが、外国人観光客に好印象を抱いてもらうためには、片言英語でもよいので出来る限りコミュニケーションをとるようにしましょう。

3.6 キャッシュレス決済の導入

キャッシュレス決済の導入効果はインバウンド集客に大きく影響します。
特に韓国や中国では日常的にスマホ決済を利用しているため現金を持ち歩く習慣が少ないです。訪日観光客の約7割以上がキャッシュレス決済の利用が可能であれば、「もっと多くお金を使った」という回答が得られています。(参考:経済産業省「キャッシュレス決済の現状及び意義」

キャッシュレス決済サービスはさまざまな種類がありますが、外国人観光客が利用しやすいものを選ぶと良いでしょう。

  • クレジットカード(VISA/MasterCard/JCBなど):日本に訪れる外国人観光客の過半数がクレジットカードを使用しています。
  • 電子マネー:SuicaやPasmoなど訪日外国人観光客向けに交通系ICカードが発売されています。
  • スマホ決済:QRコードやバーコードを利用した決済。特に中国大手の「Alipay」「WeChat Pay」、日本でも多く利用されている「Line Pay」は台湾やタイ、インドネシアでも多く利用しています。Line Payはlineと提携しているのでキャッシュレス決済サービスの強化を図っているため観光客にとって使いやすさが特長です。

海外旅行で面倒な両替をする必要がなくなれば、現金を持ち歩くことも少なくなります。当然キャッシュレス決済の導入によってインバウンド集客の拡大が見込めます。特にスマホ決済はより多くの外国人観光客が利用しているので導入をお勧めします。

さいごに

いかがでしたでしょうか。訪日外国人観光客の拡大が今後見込まれるなか、インバウンド対策を検討してみてはいかがでしょうか。飲食店側から見てインバウンドビジネスをどう捉えているのか、そして過去に来日した外国人観光客の困ったことを知ることで、対策の取り組むべき内容が明確に見えてきます。ぜひインバウンド対策を実現し集客・売上アップに繋げていきましょう。

この記事を書いた人

広田 淳