美容師アシスタントとして働き始めてからスタイリストになるまでの期間は約3年かかると言われています。アシスタントからスタートし、スキルを習得して一人前のスタイリストになるまでの期間、美容室の経営者は労力と時間を費やし店舗に適応できるために新人の育成を図ります。しかしながら、どのような方法で育成すれば早く一人前のスタイリストになれるのか頭を悩ませているオーナーも多いです。今回は、美容師アシスタントなどの育成に必要な教育カリキュラムについて解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
1.美容師のアシスタントが教育を受ける必要性
多くの一般企業では、新入社員が入社すると新人を育成するために研修を実施しています。その研修で必要となるのが教育カリキュラムの作成です。未来の生産性向上のために新人がステップアップを経て即戦力となるようなカリキュラム内容に仕上げます。美容室も同様で、新人はアシスタントから始まり実務研修を中心に接客マナーなどの教育を受け、現場で体験しながら学びます。
美容師の仕事は先輩の繊細な技術を見て盗むといった職人に近い部分はありますが、アシスタントからスタイリストへと段階的にスキルを身に付けることが求められています。そのため現場で「見て覚える」「独学で勉強する」だけでは非常に難しく、新人教育(研修)が必要となります。
新人教育は美容室に沿った教育カリキュラムを作成し、一つひとつ熟してもらいます。
教育を受けるということは最終的に顧客獲得、売上向上などに繋がるとても重要なステップです。成長していく過程には適切な教育を行うことが重要となります。
2.美容師の教育カリキュラムの内容
美容師は技術力を身に付けるとともに、接客やカウセリング、提案力なども必要です。技術力と接客スキルが揃うことでバランスのとれた一人前の美容師になります。
ここでは、アシスタントの教育カリキュラムを作る際に必要な「接客」と「技術」をどのように取り入れていけばいいのか紹介します。また、レベルアップしたスタイリトのカリキュラムも一緒に紹介していきます。
2.1 接客カリキュラム
美容師はいかにお客様とのコミュニケーションを取れるかが重要です。初めてのコンタクトは挨拶・笑顔・気遣いなどといったサービス業に欠かせない「顔」です。最初の印象で再来店に繋がるかどうか決まるといってもいいでしょう。
もちろん技術のスキルは重要ですが、接客の評価が高ければアシスタントからスタイリストになったとき、お客様の指名数が多くなり収入アップにも繋がります。接客力は一流スタイリストとして非常に重要なポイントとなります。
接客カリキュラムは、以下の手順に沿って実践業務で学ぶことが目的です。
- 清掃、道具の準備、挨拶、お出迎え、見送り、ドリンクの提供
- 来店時のご案内、電話対応、予約管理
- カウセリング、提案、会話
いずれもコミュニケーション能力を磨き、人間性の確立を目指します。
また、会話力や気遣いといったお客様のニーズに必要な魅力を高めるためのカリキュラム内容でもあります。③に関しては特にスタイリストからトップスタイリストにレベルアップしていくためのホスタピリティの高さを求められます。
2.2 技術カリキュラム
技術力は美容師にとって必要不可欠です。アシスタントには率先して練習をしてほしのですが、時間がない、技術がついていけないなどの理由でなかなか練習できないことが多いです。練習は強制ではないものの、美容室オーナーは早い段階で高い技術を習得してほしいと願っています。それには練習ができる環境作りと技術カリキュラムを用意する必要があります。ここでは先ずアシスタントからスタイリストへ、そしてトップスタイリストにステップアップするためのカリキュラム内容を紹介します。(ただし、美容室によってスタイリストデビューもしくはトップスタイリストになれるまでの期間は異なり個人差もあります。)
〈アシスタントの基本的な技術カリキュラム〉
- シャンプー⇒トリートメント・ヘッドスパ、タオルの巻き方や拭き方、マッサージ
- パーマ⇒パーマ液の塗布、ワインディング(ロット巻き)
- カラーリング⇒カラー知識(カラー薬剤の配合等)、カラーやヘアマニキュアの塗布
技術は約1年学んだ後、オーナーやスタイリストなどの最終チェックが入り、合格ができれば次のステップアップ応用編へと進みます。
〈アシスタントの応用編カリキュラム〉
- カット⇒ベーシック・ショート・レイヤー・メンズなどのスタイルカット、カウセリング理論(お客様の要望通りに仕上げるため)
- スタイリング⇒ブロー、アイロンセットなど
- パーマ・カラー⇒パーマスタイル、カラーリングの特徴とデザイン性
基本的な技術を習得後、再び応用編で約1年学びます。ここではハサミを使用してカットスキルを身につけます。年に数回程度の講習会を開くことでアシスタントはハサミの使い方などの理解が深まるので定期的に実施してみましょう。カリキュラム終了後に最終チェックが入り合格したらスタイリストへステップアップすることができます。
〈スタイリストのカリキュラム〉
- モデルカット(50人以上のモデルカット)、スタイル別・オリジナルヘアスタイルのセットアップ、着付けやメイク、サロンディレクター育成、後輩への指導力など
スタイリストになり、次なる目指すはトップスタイリストになりたいと思っている方も多いのではないでしょうか。サロンディレクターへのキャリアアップに繋がるように1年分のカリキュラムを作成します。
アシスタントからスタイリスト、そしてトップスタイリストになるまでの教育カリキュラムを紹介しました。早い段階でステップアップしてもらうためには、カリキュラムを与えるだけではなく各個人に合った指導やアドバイスを行うことも必要です。
3.教育カリキュラムを終えた能力をどう見るのか
美容室オーナーや先輩スタイリストは接客・技術カリキュラムを終えたアシスタントなどが、どれだけの能力が身に付いているか最終確認をします。ここでは、合否の判断は能力のどこをみているのか解説していきます。
- アシスタントの最終チェック:基本的な接客態度(言葉使いや気遣い)、先輩美容師のヘルプ作業がどれだけ出来るか、カラーやパーマの知識や技術力
- スタイリストの最終チェック:アシスタントの実務が全て習得できているか、全ての基本・応用の技術能力、お客様への提案力やカウセリング能力、アシスタントへの指導能力
以上の能力が備わったと判断されれば実力があると認められ、ワンランク上の美容師としての道が開けます。この能力を見極める力は、合否を決める経営者などにとっても必要です。また、最終チェックをする際には、良かった点・足りなかった点などをカリキュラム表に記入すると記録として残るのでとても良いです。
4.最後にカリキュラムの見直しをする
接客マナーや技術力を習得したアシスタントは次なるステップへと進みます。
しかし、残念ながら新人全員が同時にスタイリストデビューできるとは限りません。
アシスタントの期間が長くなると更に練習量が増えて精神的にも辛くなり辞めてしまう可能性が高くなります。見習いであるアシスタントからスタイリストになるまでの期間は一般的に3年と先述しましたが、長くて5年かかる人もいます。その間のアシスタントの仕事は先輩美容師のサポートが中心となります。下積みが長くなればなるほど見習いの仕事に慣れてしまいアシスタント自身が自分の成長が期待できなくなることもあります。辞める前、諦めてしまう前に美容室側も早くレベルアップできるように適切な教育カリキュラムにしなければなりません。全ての人がステップアップするためにもオーナーや先輩スタイリストは、カリキュラムの見直しをする必要があります。教育カリキュラムを経験したスタッフなども交えて、以下のような項目の改善ポイントなどについての話合いが必要となります。
問題点があった際には都度改善していきましょう。
- カリキュラム内容が受ける側にとって負担になっていないか
- 接客・技術の内容で分かりづらい箇所はないか
- 練習と実践のカリキュラム内容は充実していたかなどの意見を出してもらう
さいごに
いかがでしたでしょうか。カリキュラムは作成したら終了ではなく、ちゃんと理解しているか定期的にチェックをしてあげましょう。また、教える側にとっても学べることがたくさんあります。共に成長するつもりで新人育成に取り組んでいくと良いでしょう。