歯科衛生士の離職率が高い原因とは?長く働いてもらうポイントを解説

  • 「せっかく歯科衛生士を採用してもすぐに辞めてしまう。」
  • 「問題を起こすスタッフは辞めてもらった方がよいのか?」
  • 「スタッフが働きやすい職場環境を作りたい」

このような疑問・お悩みを抱えている歯科医院経営者の声を多く聞きます。
この記事では、歯科衛生士が離職を決断した原因・歯科衛生士が長く働いている歯科医院の特徴を解説していきます。

この記事を読み終える頃には、ご自分の経営する歯科医院の離職原因が明確になり、今後の働きやすい環境作りがイメージすることができるでしょう。ぜひご参考にして下さい。

1.歯科衛生士の離職率は高い?

日本歯科衛生士会の調査によると、歯科衛生士全体の76.4%が転職を経験しているという結果が報告されています。働いている歯科衛生士の76.4%が転職を経験しているため、離職率が高い業界といえるでしょう。
離職を決断した原因を明確にし、定着率を上げるような対策を行うことが大切です。

2.歯科衛生士の離職率が高い原因とは?

離職原因1:職場での人間関係
どの年代、性別においても職場での人間関係の悪化が退職原因の上位に上ります。特に、歯科医院は小規模経営が多いため、少人数の限られたコミュニティの中、スタッフ同士が派閥を作って争うというケースはよく聞きます。人間関係が上手くいっていないと感じる職場の具体的な内容は、以下の通りです。

  • 経営者からのセクハラ、パワハラを受けている
  • 上司からのセクハラ、パワハラを受けている
  • 同僚とそりが合わない
  • 職場に相談をできる人がいない

離職原因2:給与・待遇に不満
給与や待遇に不満に思い、離職を検討する方は少なくありません。
歯科衛生士は、過酷な労働環境や残業が多い割には給与が低いと感じている方も多いようです。
また、有給休暇が取りにくい、早退が取りにくい環境も離職を検討する原因の一つとなります。



離職原因3:生活スタイルの変化(結婚、出産、育児)
歯科衛生士は女性の割合が高いため「結婚」「出産」「育児」といった生活スタイルの変化が離職原因として高くなります。小規模経営の歯科医院では、出産・育児休暇などの福利厚生が整っていない医院が多く、定着率が低くなるのは避けられない現状です。



離職原因4:スキルアップできない
キャリアアップを見通せないと将来に不安を感じて辞めてしまうケースもあります。歯科衛生士は、歯科医師の診療補助、予防処置など、アシスタント業務が多く、技術や知識を習得できない労働環境に不満を感じる方が少なくありません。日本歯科衛生士会の歯科衛生士の勤務実態調査報告書によると、歯科衛生士の52.0%の方が「教育研修棟・レベルアップの機会の充実」を改善してほしいと調査結果があります。


離職原因5:求人数が多く転職しやすい
一般財団法人全国歯科衛生士教育協議会による歯科衛生士教育に関する現状調査によると、歯科衛生士数に対して求人件数が多いという調査結果が報告されています。
令和4年6月一般社団法人全国歯科衛生士教育協議会による歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告

このように、歯科衛生士は、転職しやすい職種といえるでしょう。
職場に不満を抱えた場合、待遇の向上を求めて転職するケースが多いです。

3.歯科衛生士が長く働ける歯科医院の特徴とは?

3.1 職場の雰囲気が良い

雰囲気の良い職場とはどんな環境でしょうか。具体的には以下の項目に全てあてはまれば、働きやすい良い職場といえるでしょう。

  • 歯科医師、歯科衛生士、受付スタッフ、隔てなく意見交換ができている
  • スタッフ間、患者さん、挨拶が気持ちよくできている
  • 医院長先生が優しく話しかけやすい
  • スタッフ同士が仲が良い

上記のようにコミュニケーションの良さ・取りやすさが雰囲気の良い職場といえます。
そのためには、スタッフとしっかりコミュニケーションをとる時間を設けることが大切です。
円滑なコミュニケーションが取れて雰囲気の良い環境になれば、離職率が低くなるでしょう。

3.2 スキルアップの研修制度が整っている

前項で述べた通り、歯科衛生士は、スキルアップへの関心や意欲を高く持っています。
このことから継続的なスキルアップ研修会の開催は大切です。

具体的には、

  • 基礎研修・・・歯科衛生士として基本を見直す基礎研修は、新卒で入った方や復職で入った方に向けて基本的な知識や技術を見直す研修会。
  • 専門研修・・・歯科衛生士の関心のある専門分野をスキルアップしたい方に向けた研修会。

このようなスキルアップのための研修会を定期的に開催するのも良いですし、外部で開催されているスキルアップセミナーを活用するのもおすすめです。
歯科衛生士がスキルアップし、仕事へのモチベーションが向上することにより、患者さんの満足度向上に大きく影響するでしょう。

3.3 待遇の改善・整備

歯科衛生士が長く働き続けられる理由として待遇が整備されていることが大切です。
歯科衛生士が求める改善・整備して欲しい項目は以下の通りです。

  • 産休、育休制度がある
  • 定期昇給制度がある
  • 有給休暇が取りやすい
  • 残業が少ない

全ての項目を改善整備するのは難しいかもしれませんが、できる範囲で少しずつ取組んでいきましょう。

さいごに

いかがでしたか?
歯科衛生士の離職率・退職原因・長く働ける医院の特徴を具体的に解説しました。
歯科衛生士の離職率は高く、歯科医院経営に大きな影響を及ぼしています。

この記事を参考に、歯科衛生士の働きやすい環境を作り、離職率を改善していきましょう。

歯科医院経営で相談できる税理士が身近にいない場合、一度、BrancPort税理士法人にご相談ください。

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