歯科医院の開業を目指している方必見!開業までのスケジュールと集患対策を解説

歯科医師が勤務医として働いてから数年が経ち、いつかは独立開業したいと考えていらっしゃる方が多いのではないのでしょうか。実は将来的に開業する歯科医師は非常に多く成功していらっしゃいます。
しかし、いざ開業しようとしても何から始めたらいいのか分からないなど戸惑ってしまう方も少なくありません。

この記事では予め計画的なスケジュールを立てられるように、さまざまな角度から見て解説していきたいと思います。また、開業後の集患対策の必要性なども紹介していきます。
ぜひ参考にしてみてください。

1.歯科医師の現状

歯科医院は都内のコンビニの店舗数より約20%多く、業界での競争が激化しているのが現状です。また、歯医者を開業する歯科医師は全体の約56%に及び、そのうち男性が約67%、女性が21%となっています。
先ずここで医院(医療施設)または診療所(開業医含)に従事する歯科医師の人数及び平均年齢別にまとめた割合をみてみます。

(出典:厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況)

病院や医育機関附属病院で働く医師は30~39歳、診療所では開業医含め50~59歳が最も多いことが分かりました。平均すると病院(医育機関附属病院を除く)は45歳、医育機関附属病院は36.5歳、診療所は54.3歳となっています。
歯科医師の独立は先ず病院で働いた後、歯科医院で勤務し、独立開業するというパターンが多いようです。
歯科医院を開業する年齢は35歳ごろが全体の20%で、その後50代までに70%の方が開業し、更に60代で80%まで増加傾向にあります。ただし、60代半ばがピークでその後70代以降で開業する医師はあまりみられません。歯科医師には定年がなく、特に開業医の場合は健康状態が良好、本人の意思次第で90歳でも働き続ける医師もいらっしゃいます。

2.開業までのスケジュール

歯科医院の開業を決めたら直ぐにでもオープンさせたいと思われている方も多いのではないでしょうか。しかし思い立ったら数か月で実行できるものではなく、具体的な計画を立てながら準備をすることは重要です。ここではどのような準備が必要で、そしてスケジューリングをしていったらいいのか解説していきます。

2.1 12か月前:事業計画書の作成・資金調達

歯科医院を開業する1年ぐらい前からスケジュールをしっかりと立てて準備を始めましょう。先ずはどのような医院にするのか、事業計画書の作成、資金調達のプランを立てていきます。

〈事業計画書の作成〉
歯科医師が開業する上で重要なのが事業計画書です。資金調達で金融機関から融資を受ける際に返済能力があるかなどの判断基準になるのが事業計画書です。
借り入れがどれぐらい必要なのか算出できる事業所計画書(概算)の下記サンプルを基に作成すると良いでしょう。(概算事業計画書サンプル)


〈資金調達〉
開業資金の調達方法として以下の方法があります。
日本政策金融公庫(日本公庫)
民間の銀行から融資を受けることが難しい方のための政府系金融機関です。特徴として無担保・無保証で借り入れが可能です。

②金融機関からの借り入れ(プロバー融資)
一般的に一番多い資金調達方法で、民間の銀行や信用金庫からの融資を受けることができます。ただし経営状態などの審査があります。

③銀行以外のリース会社などによる融資
歯科医で必要な設備機器などをリース会社が肩代わりをして購入し、歯科医が使用料をリース会社に支払うといった仕組みです。

2.2 8~6か月前:立地の選定(契約)・医療設備の決定

最低でも開業する6か月前までに立地の選定と医療設備の決定をします。

〈立地の選定(契約)〉
立地は経営する上で非常に重要なポイントとなります。
物件はテナント物件や居抜き物件などがあり、立地では住宅街や商業立地、オフィス街、駅前などがあります。立地を選ぶ際には以下を留意しておくと良いでしょう。

  • 人が多く流れる動線に沿っている場所
  • 看板は遠くからでも見えること、視界性が良い
  • 競合歯科の存在を調査。競争率が高い立地は差別化が必要

〈医療設備の決定〉
歯科治療するためにはユニットやバキューム、レントゲンなどの設備機器が必要となります。開業規模や機器の品質などによって価格は異なりますが、一般的な相場は1,200万~1,500万円程度の用意が必要となります。早い段階で設備機器の見積もりを出してもらうことで、具体的な数字を事業計画書に記入することができます。

2.3 4~5か月前:内装、外装工事

物件が決まり不動産と契約を結んだ後、約1~2か月間の内装・外装工事に取り掛かります。歯科医院の居抜き後であれば設備機器をそのまま利用できることもありますが、新築などの際は期間が長引く可能性があることも念頭に入れておきましょう。たとえばユニット(治療台)の給排水のため床上げをしなければならない状態だと工事が多少長引く可能性があります。物件を決定した際にあらゆる設備等の調査をしておきましょう。

2.4 3か月前:機器の設置・スタッフ募集・ホームページの開設準備

開業3か月前は大型機器の設置やスタッフの募集、ホームページ・SNS、備品などの準備を行います。

〈スタッフ募集〉
スタッフを募集する際には、予め診療時間や休診日、賃金などを決定しなくてはなりません。また、歯科助手や歯科衛生士、歯科受付などの職種がありますので明確にしておきましょう。

〈ホームページ開設準備〉
新規の集患に有効な手段となるのがホームページ情報です。口コミの来院も多いのですが、WEB検索をして上位に上がる歯科医院は目に留まりやすくなるため、早い段階で開設することが望ましいでしょう。

2.5 1か月前:スタッフの確定・内覧会・歯科医師会入会・保健所への開設届け

開業1か月前では、一層具体的になりスタッフの確定や内覧会、保健所へ開設届出書の提出・保健所の検査が行われます。

〈内覧会〉
内覧会は開業直前に行い、地域の住民に開業する歯科医院を知ってもらうための認知度アップ、そして新患の予約に繋がることを目的としています。なお、住宅地で3日間の内覧会を実施したところ、来場者の約20%が予約取得できたという効果が表れています。ただし、診療内容の理解度(共感)、医師への信頼を持ってもらうことが重要です。

〈歯科医師会入会〉
歯科医師会に入会していることで保険診療に関する最新情報や研修セミナーなどの参加が可能です。ただし任意加入となっています。(参照⇒日本歯科医師会の紹介

〈保健所への開設届け〉
歯科医院を開業する際には、保健所に開設届書の提出をします(開業後10日以内に提出)
開設届書は歯科医院の管轄する保健所の窓口で配布も行っています。

3.開業後の集患・増患方法

これまで歯科医院を開業するまでの準備・スケジュールを解説しました。ここからは開業後の経営を持続させるために集患・増患対策法を紹介します。

■先ず、来院のきっかけをみてみましょう

(出典:歯科タウン「来院のきっかけ」)

来院のきっかけとなることで最も多かったのが「ホームページを見て」47%、次いで「口コミ」「情報サイト
が22%となっています。以前は口コミが一番信頼できるということで来院数が多かったのですが、近年ではホームページやSNSといった情報発信することで新患・増患の効果が得られています。


■次に継続的に来院(受診)してもらうには、患者さんを確保しなければなりません。つまり「かかりつけの歯医者になることが必要で、それを望んでいる患者さんも多いのです。

(出典:公益財団法人日本歯科医師会 医科医療に関する生活者調査

かかりつけの歯医者があると答えた人のなかで、その理由として「通院に便利な場所」(61.6%)が最も多く、次いで「丁寧に診てくれる
(44.6%)、「歯科医師の治療技術に満足」(37%)、「歯科医師の信頼」(31.6%)という結果になりましたで。いずれも歯科医師に対しての技術や人柄・安心感を重視して決めていることが分かります。


■新規新患を増やし、医院経営を安定化させるためには「リコール率」を高める必要があります。リコール率とは口腔内のメンテナンス(定期健診)のことです。

  • 予防歯科の重要性を理解してもらうために丁寧に分かりやすく説明する。
  • 安心して受診が受けられること、信頼感を与えることで通える
  • 口腔内の定期的なメンテナンスをハガキやメールなどで案内する(この場合、定期健診の大切さと予防の必要性を詳しく伝える)

さいごに

いかがでしたでしょうか。多忙なスケジュールを乗り越えた後いよいよ歯科医院の開業まで辿りつきますが、オープンしてからが本番です。オープンしてから慌てないように開業前にやるべき事をスケジューリングしましょう。
計画と立てることで何が必要なのか具体的に見えてくるでしょう。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人