歯科医院を開業したい方必見!立地別による特性と選定方法を解説

歯科医院の立地選びは、開業後の経営に大きく左右するほど重要です。
立地条件によって集患力が異なるため、選定時に十分な調査をする必要があります。
自分が歯医者として何をなすべきか、どういう形で診療をしたいのか、そして将来のビジョンを持ったときに立地場所が決まります。
今回は、成功に近づくための立地選びについて解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

1.歯科医院のエリアの決め方

歯科医院の立地選びには順序があり、先ず自分が「どのような歯科医院にしたいのか」明確にする必要があります。コンセプトが決まると歯科医院の開業場所が明確にみえてきて、理想とする立地の調査に入ります。
調査した結果によって、目指す歯科医院像が浸透していきます。
ではここで、調査を行う上で基本的なポイントを解説します。


①ターゲット層による人口構成
ターゲットとする人口構成は非常に重要で、事前に調査する必要があります。
立地による年齢層や性別、富裕層などをチェックし、診療提供したいメインターゲットと一致していることが目指している経営層となります。


②競合歯科医院の有無
競合の歯科医院の存在は経営を大きく左右するので、確認をする必要があります。
求めている立地に競合歯医者が多い場合は、営業日や営業時間、診療サービスなどの差別化を図ることが必要となってきます。


③アクセスの良さ
アクセスの良さは集患に繋がります。複数の鉄道や路線バスなどが運行していることで人口の多さ、通院しやすい環境だと考えられます。もし、駅から少し離れた場所を希望しているのであれば、徒歩○○分以内と決めておくと良いでしょう。

2.立地別にみる特性

歯科医院の立地には、その場所なりの特性があります。
開業場所である立地を見極める条件として、その地域(人)の特性や利便性、競合状況などを調査します。そうすることで自分の目指す診療と集客のためにできることが一致します。ここでは先ず、開業場所を選ぶための立地別にまとめた特性を解説します。

2.1 駅周辺

人の流れが最も多い場所である駅周辺は、歯医者の存在を認知されやすいです。
歩行者の動線に沿った場所であることが前提ですが、以下を調査することで集患に繋げられます。

  • 改札が数か所ある場合、それぞれの人通りの多さと動き
  • 駅構内(商業施設内など)もしくは駅構外の比較
  • 競合歯医者の存在と比較

駅周辺の立地を選ぶ際には、上記の事項を調査しておきましょう。
ただし、駅周辺の立地は利便性が良いため賃料が高い物件が多いので、カバーできるぐらいの売上を確保しておく必要があるので注意しましょう。

2.2 商業立地

商業立地はショッピングモールやテナント、娯楽施設などが密集しているため賑わいをみせています。日祝を利用して買い物される人が、ついでに歯医者に通院される患者さんも少なくありません。
そのため、土日祝なども休まず診療を行っている歯科医院が多く見られます。
立地の特性から、賑わっているので人の流れをよく観察するようにしましょう。
日祝の営業を行うことで経営のメリットが望めます。ただし、人材を募集したときには不利になる可能性があるかもしれません。

2.3 オフィス街

オフィスが並ぶビルに歯科医院をよく見かけますが、ほとんどの患者さんは同じビルや周辺で働くビジネスマンが多いです。そのため土日祝の人口は少なく、平日は夜間まで人通りが多いです。オフィス街の立地を選ぶ場合、以下の事項を検討することで集患数を増やすことができます。

  • 診療日は主に平日(土曜隔週程度)で、土日祝はお休み
  • ビジネスマンは昼休みに来診することも多いので、歯科医院の休憩時間をずらす
  • 集患を狙っての早朝診療時間を設ける

オフィス街は周辺で働くビジネスマンが通院できる時間帯や曜日を合わせるようにしましょう。また、競合歯科医院の差別化を図るために早朝・夜間に診療するなどの施策を検討すると良いです。

2.4 住宅街

住宅街は子供から老若男女のさまざまな人が患者さんとなります。
その地域によってコミュニティの活性化の違いはありますが、口コミによる拡散が多いです。それだけに悪い評判は良い評判より早く広まるため経営に悪影響を及ぼすことがあるので注意しましょう。
技術はもちろんですが、サービスにも注意を払うことが必要となります。
特に地域密着型の歯科医院は、温かい接客が重要となります。

3.立地条件を把握して集患に繋げる

歯科医院の開業場所の特徴を先述しましたが、ここでは選んだ立地をさらに集患に繋げるために何をしなければならないのか、いくつか挙げてみました。

①ターゲット層の動線を知る
来診してもらいたい人の動きや人数の確認をします。そのためには駅の乗降数(タイプ)のチェックや人の流れ、活気などを調査します。
地域密着型もしくはビジネスマン対象なのかターゲット層はさまざまですが、求めている人の動線に沿った立地を把握しておくことで集患につながります。


②視認性の確認
「駅から近い」「人通りが多い」など聞くと好立地と判断する方が多いでしょう。ただし、このように好条件である立地をさらに集患力を付けることで売上向上に繋がります。
例えば、以下のようなことを十分に検討することで、立地の特性を活かすことができます。

  • ビルの1階と2階以上の物件比較
  • 看板の見せ方(例:デザインや色などによって歯医者としての信用度などが変わる)
  • 歯医者の存在をアピール(近年、歯科医院でもお洒落な物件が多くなったが、ここは何屋なのかと迷わせることなく、すぐ歯医者だとわかるようにアピールする)

③コンセプトの合った立地
経営をする上で、コンセプトは必ず把握しておく必要があります。ターゲット層やどのような診療サービスを提供するのかなど計画を立てます。コンセプトを再確認し、それらの条件に合った立地探しができればより集患に繋がります。

4.診療圏調査のアプリなどを利用する

歯科医院を開業するにあたり、自分の足で候補の立地場所に出向き、肌で感じ雰囲気を知り、そして目や耳で調査することが重要となってきます。ただし、開業準備に追われて自分はなかなか動けないという方もいらっしゃるかと思います。その場合には「診療圏調査」というWebやアプリを利用してみても良いでしょう。
診療圏調査は立地を探す時に、以下のような調査をWebやアプリで診断できます。

  • 地域の世帯構成(年齢層など特性)
  • 夜間と昼間の人口比較
  • 見込み患者の予測
  • 競合強度
  • 診療圏内での総患者数

★株式会社メディヴァ
診療圏調査アプリは開業場所の住所を入力することで、夜間・昼間人口のデータをもとに外来人数(推定)などを調査してくれます。スマートフォンで簡単に操作できます。
初期費用・月額費用:無料提供


★マップソリューション株式会社
高精度な商圏分析ができるサービスで、インターネット環境があれば簡単に利用できます。
立地候補について、あらゆるマーケティング法によって分析レポートを提供してくれます。
初期日費用:650,000円~


★シャープファイナンス株式会社
開業候補地の最新情報が常に得られ、競合歯科医院がどこにあるのかの商圏マップレポートを提供してもらえます。
初期費用・月額費用:無料提供


上記の他にいくつかの診療圏調査をサービス提供しているアプリがあります。
これら全てを頼り切るのではなく、開業立地である場所を自分で感じ取り、データに基づく診療圏調査を参考にする、両方の要素を取り入れて立地を決めでみてはいかがでしょうか。

さいごに

いかがでしたか。歯科医院の開業立地は経営に大きく影響します。
立地選びはその地域の特性を調査することから始まり、自分の理想とする歯科医院と一致することで決まります。自分の足で歩き雰囲気を感じて判断することが一番良いとされますが、データ分析から調査する診療圏調査を利用してみても良いです。
いろいろな角度から調査をすることで自分が理想とする立地選びができることでしょう。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人