歯科医院のWeb広告戦略~媒体の種類・特徴と広告ガイドラインの注意事項~

歯科医院の広告は看板や新聞、雑誌などさまざまな媒体を通じて発信しています。
近年では、インターネットの普及によりWeb広告で情報提供をしている歯科医院が多数あります。ただし、そこには医療法による広告規制に従って出稿しなければなりません。
今回は歯科医院の集患に効果的なWEB広告の種類や特徴、そして広告ガイドラインによる注意事項を解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

1.患者さんが歯科医院を探す方法

現在、歯科医院はコンビニより多いと言われていますが、多岐にわたって各専門分野の医院が存在しています。その結果、競合歯科医院が多く自院の認知拡大のため広告戦略に注力している医院経営者が少なくありません。そのため集患に効果的な広告の打ち出しが重要なポイントとなってきます。
ここでは、患者さんはどのように広告を見て、そしてどのような効果が得られるのかみていきたいと思います。

  • 交通広告・・・駅や電車内などの人通りが多い場所での広告は視認性が高い。遠くからでも見えやすく印象に残る。
  • チラシ・・・手に取ることでじっくり見ることができる。コストは低く、特定の地域への情報発信ができる。
  • 看板・・・・街を歩いていた時に見かける。インターネットが苦手の方にも宣伝ができる。
  • Web広告・・何時どこでも情報量の多いWebで検索できるので早急に探し出せる。ターゲットを絞っての配信ができる。認知度の向上に期待が持てる。

患者さんが求めている歯医者を探す時は「知人から聞いた」「看板やチラシを見た」「インターネットで検索した
などがあります。情報量が多い昨今、Web広告の活用が多くなっていますが、ユーザーの目に留まる広告であることが重要です。

2.Web広告の種類と特徴

歯科医院の広告を打ち出す方法は多岐にわたってあると先述しました。ここではWeb広告の種類や特徴などを一部紹介していきます。

2.1 リスティング広告

リスティング広告とは、ユーザーがYahooやGoogleなどで検索したとき検索結果画面に表示され、そこに「広告」という表記されるテキスト広告のことです。「駅名+歯医者」「地域名+歯医者」などのキーワードを検索した時に表示されることで、ホームページへのアクセスで誘導できます。
リスティング広告は「ワンクリック課金制」でユーザーがクリックするごとに広告費が発生します。


〈特徴〉

  • ★地域限定で検索しているターゲットを絞ることができる。そのため、近隣に住む新規患者へのアプローチが可能。
  • ★広告出稿してすぐに配信可能なため効果が表れやすい。
  • ★低予算から始められる。

2.1 動画広告

今の時代、歯科医院も動画広告で配信することが多くなりました。動画広告は以下のような特徴がみられます。


〈特徴〉

  • ★視覚と聴覚から得られる情報なのでユーザーに伝わりやすい(わかりやすい)
  • ★幅広い年齢層まで届けられる
  • ★上手く運用できれば差別化が図れる
  • ★再生数、再生時間、クリック数などによる指数で検証しやすい

最近では、YahooやGoogleで知りたい情報を検索すると同時に動画で歯科医院の様子を見て決めるというユーザーも増えています。動画広告はYouTubeを中心に、Line、TikTok、FacebookなどのSNSで配信できるため、認知度の拡大が望めます。ただし、「動画をスキップされやすい」「運用に必要な戦略力を要す」「制作のクオリティによってはイメージダウンに繋がってしまう」などのデメリットもあるので、注意しましょう。

2.3 ポータルサイトでの広告

ポータルサイトは全国の歯科医院が登録しています。ユーザーがWebで検索するときに地域や駅名、診療内容などを入力すると複数ある中から求める歯医者を探しやすいので効果的です。
代表的なポータルサイト、EPARK歯科歯科タウンなどがありますが、スマホ・パソコンなどから閲覧ができ、24時間ネットからの予約もできるという優れものです。


特徴〉

  • ★歯科医院を探すユーザーは、専用サイトの利用率が高い
  • ★他の歯科医院と比較ができる
  • ★認知度が高い

メリットは多く存在していますが、「広告費用が高い」「オリジナリティに欠けてしまう」などといったデメリットもあります。ただし、閲覧数は非常に高いので効果は得られるでしょう。

2.4 SNS広告

今の時代、情報配信・広告配信のためのSNSを活用している企業が多く存在しています。SNS広告は多種多様で、InstagramやTwitter、Facebook、LineといったSNSプラットフォームで広告配信をします。
また、検索エンジンを利用するものではなく、ユーザー向けにタイムラインやストーリーズを活用しているので、ターゲット層を絞りやすいです。


〈特徴〉

  • ★低コストでスタートさせることができる
  • ★ターゲット層に拡散しやすい
  • ★コミュニケーションツールとして活用できる

ユーザーに寄り添った広告イメージがつきやすいのですが、「炎上リスク」や「集患効果が得られるまで時間を要す」などのデメリットがあるので注意しましょう。

3.医療法における広告ガイドラインの注意点

医療広告はガイドラインに従ったものでなければなりません。
他業界と同じように誇大・虚偽などの情報提供は禁じられています。医療法による広告ガイドラインに基づいた広告可能な表現方法で提供する必要があります。

サービスや診療内容など実際とは異なる表現を虚偽広告といい、実際とは著しく歯科医が有利な表現を誇大広告といいます。そして競合歯科医との比較において、自院が最も優れているという表現を比較優良広告といいます。これら3つ広告を中心とする表現は広告ガイドラインでは禁止されています。他にも禁止されている表現がありますが、広告規制の内容は下記の通りとなっています。

▼医療法における広告規制の内容

出典:国民生活センター「医療改正法!」

〈虚偽広告〉

  • 「必ず成功」や「絶対安全」など相手を誤認させること
  • 偽りのデータ提供(満足度100%など)
  • ビフォーアフターの加工や修正した画像などを提供する

上記はほんの一部ですが、例えば「痛くない治療」といった表現はNGで「痛みを軽減するために麻酔してから治療する」といった表現であれば可能になります。
表現が可能な部分とNG表現をきちんと把握する必要があります。


〈誇大広告〉

  • 〇〇治療法で治った事例がある!(根拠のない○○治療法を表現している)
  • サービスが実際より良い表現
  • 治療効果があった○○人の声を頂いている(実際以上の患者様の体験や口コミなど)

自院が有利になるように大げさな方法で表現し、患者さんを誘引することです。
患者さんに誤認させてしまう表現ですが、これも罰則があります。


〈比較優良広告〉

  • 国内(世界)No1」「国内(世界)初」「元祖」「当院だけ」などのキーワードはNG
  • この治療は当院が第一人者という表現

他の医院と比較して当院が優れているといった広告ですが、全てが禁止ではなく患者さんに誤認を与えてしまう表現が禁止されています。


虚偽広告および誇大広告、比較優良広告の3つの広告事例をあげましたが、このような広告規制に違反した場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を支払わなければなりません。歯科医院の広告は存在を認知させて集患を高めるためのツールです。誤った表現をしないように広告表現を学ぶことが必要です。ガイドラインに従った情報を提供することが患者さんに信用を与えることになります。

さいごに

いかがでしたか。Web広告は媒体の種類が多くあります。特徴を把握した上で決めていくことで、効果的な戦力が実現されます。その際に気をつけなければならないのが広告ガイドラインの規制内容に基づいた広告表現です。これは非常に重要なポイントとなるので、広告を発信するには問題がないか確認してから出稿するようにしましょう。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人