
近年、ペットを飼うご家庭が多くなり、そのため家族化が進みトリミング需要も増加しています。その大半がペットの健康維持や美容のため、毎月定期的にトリミングサロンに通っています。ペットがリラックスしてトリミングを受ける目的でもあるサロンですが、施術中に攻撃的になりトリマーに噛みつくペットも珍しくありません。トリマーにとって攻撃的なペットを扱うことは悩み事のひとつでもあります。
ここでは、ペットがなぜ狂暴になるのか、噛みつかれた後の対処法を解説していきます。

もくじ
1.犬がトリマーに噛みつく理由
普段はおとなしい犬が、トリミング中に吠えたり、噛みついたりするケースは少なくありません。定期的にトリミングサロンに通っていた犬が、トリマーに噛みつくようになってしまったなども耳にしたこともあります。
なぜ攻撃的になるのか原因を知ることで、トリミング方法の改善の糸口が見つかるかもしれません。犬がトリミング中に噛みつく理由を挙げてみました。
- ▶環境の変化によるストレスや恐怖心からの防御
- ▶トリマーと良くない相性を感じている
- ▶触れられたくない、痛みを生じる部位を触らないでほしい時に吠える
- ▶トリミングに慣れていない、あるいはブランクがある場合に起こる警戒心
触れてみて過度の痛みや嫌がる場合は、何らかの健康問題が生じている可能性があります。一度病院に連れていくよう飼い主さんに促してみるのも良いでしょう。
また、犬は繊細な動物のため緊張感や恐怖心からの防衛反応で噛みつくことがあります。
ストレスを感じさせないように工夫をすることが必要です。
2.トリミング中に噛みつくペットの対応

トリミング中にペットがトリマーに噛みついた時、どのような対応をすればいいのか課題のひとつです。ペットはトリミングに恐怖を抱いたり、触れられるストレスなど自身を守ろうとする防衛本能が働いているのかもしれません。
そんなペットにどのような対応をすればいいのか、ここで解説します。
2.1 トリミングに慣れさせる
トリミングに慣れていない、またはトリマーとの相性によって噛みつくこともあります。
まずは、以下の方法でトリミングを慣れさせてみましょう。
- トリミング中に嫌がる場合は、無理に施術せず徐々に慣れさせる
- トリマーによる優しく声掛けしながられていく
攻撃的なペットは、トリミングに慣れてもらうことから始めます。多少の時間を要することもありますが、飼い主さんへの協力を得てもらったり、さまざまな工夫をすることが大切です。トリミングに慣れた後は、見違えるようにおとなしくなり、リラックスな状態で施術を受けさせてくれます。
2.2 事前に飼い主へのヒアリング
ペットに対してトリマーが行うことのひとつとして、飼い主へのヒアリングです。
以下のヒアリングを徹底化してみましょう。
- ペットの性格➡普段の状態やトリミングをする際の状態を聞く
- 過去のトリミング経験や噛み癖の有無
- 触れられて嫌がる、苦手な部位をヒアリング
- 口輪の使用に問題はないか(安全にトリマーを行うための)
特に初見のトリミングは未知の部分が多いため、事前に飼い主さんへヒアリングすることがスムーズにトリミングができます。
2.3 信頼関係を築く
噛み癖のあるペットには無理にトリミングをすることでストレスを与えてしまいます。
更に問題が悪化させる可能性があります。まずは信頼関係を築くことが先決です。
- やさしく触れて、声をかけて安心感を与える
- ペットのペースに合わせるため、休憩をとりながらトリミングをする
- ペットとの目線を合わる
トリミングをする際には、ペットを安心させることが大切です。そうすることで自然と信頼関係を育むことができます。
3.トリマ―がペットに噛まれたら

トリミング中に、もしペットに噛みつかれたらトリマーはどのような対処をしたらいいのでしょうか。ここでは、事後の対処法を解説していきます。
3.1 作業を中断して応急処置
犬に噛まれた時の程度によって異なりますが、まずは作業を中断して傷の応急処置をしましょう。
噛まれた時の状況は「毛をカットしている時に暴れてハサミやバリカンで切る」「器具の音や触れたことによって怖がって攻撃的になった」などあります。
まずは、以下の通りに応急処置を行いましょう。
- ①ペットら離れる⇒犬などが攻撃しないように、ゆっくりと離れる
- ②流水で流す⇒噛まれた箇所、引っかかれた箇所を清潔にするため水道水で洗う(出血した場合も、細菌が入ってしまわないように傷口を洗い流す)
- ③止血する⇒患部を消毒して止血する
- ④病院で受診⇒感染症が発症する可能性を考えて、外科または皮膚科で受診
ペットに噛まれたら、直ちにトリマーの安全確保のため応急処置をすることが必要です。
3.2 飼い主への報告
ペットに噛まれたら、トリミングサロンは飼い主さんへの適切な対応はどのようにしたらいいのでしょうか。
実は、重度の傷を負わない限り、飼い主さんへ報告をしていないサロンは少なくありません。ただし、業務に支障が出るほどの傷を負った場合には、飼い主さんへ明確な報告はした方が良いでしょう。伝え方として以下の順で報告すると飼い主さんも理解できます。
- ①どのような場面で噛まれ、引っかかれたのか説明する
- ②攻撃的になった原因(状況)を伝える
- ③トリミングを中止する必要がある場合、今後の対応として口輪などを使用していいか相談する
3.3 サロンでの記録管理をとる
トリミングサロンでは、事後報告としてスタッフとの共有のため記録をとります。
また、記録をとって共有することで他のスタッフが噛まれたトリマーへ声掛けすることで精神的ケアにも繋がります。
- ペットの種類(犬種など)、原因、状況、日時、応急処置方法などを記録する
- 飼い主さんへ報告した場合の説明内容と先方の反応を記録
- 噛まれた時の傷口を写真として記録
記録後の今後の方針を考えて、再度同じペットの施術の際には、口輪着用または担当変更などの対応を全体で情報共有をしましょう。
4.噛み癖のある犬との接し方
トリマーにとって噛み癖のある犬とどう接していけばいいのか、非常に繊細な課題のひとつです。トリマーとペットの安全の確保・信頼関係を築くにはどのような方法で接すればいいのか検討する必要があります。
- ◆優しい言葉で話しかけ、リラックスさせることで恐怖心を排除
- ◆犬が場所に慣れるまで時間を与え、心の余裕を持たせる
- ◆飼い主さんの協力によって落ち着かせる(飼い主さんが隣にいるだけでおとなしくなるなどの場合)
- ◆ハサミなどの器具を使用する時は休憩をとりながらトリミングを行う
- ◆必要以上に大声や器具の音を出さず、乱暴に扱わない
- ◆おとなしくなってきたら撫でるなどしてご褒美をあげる
犬などの噛み癖は先述したように、恐怖心からくる事故防御であることが多いようです。
トリマーの適切な接し方で、ペットも安心ができ自然と身を任せることができるでしょう。
さいごに
いかがでしたか。噛み癖のあるペットは皆無ではありません。とくに犬は吠え癖・噛み癖があると聞きます。本能的に自己防衛していることが多いので「落ち着かせる」「距離をおく」「優しく接する」ことが大切です。信頼できるという安心感からおとなしくなります。
ペットがトリマーを信頼することで、業務の楽しさを感じてくるのではないでしょうか。
