飲食店の待ち時間について【お客様にストレスを感じさせない工夫が大切】

長い行列に並ぶ日本人を見て、外国人は不思議な行動に見えることがあるようです。これは、価値があると判断している人が多いから並んでいるのでしょう。あるいは多くの人が並んでいるから価値があるのだろうと思って並ぶ人もいます。このように考えると行列での待ち時間はそう悪くはないと感じとれますね。飲食店で行列に並ぶ価値とは料理やサービス(接客)にありますが、待ち時間には限界があることを理解しておきましょう。
今回はお客様の待ち時間の許容範囲はどれぐらいなのか、そして待ち時間による短縮・お客様のイライラの解消法などを解説します。ぜひ参考にしてみてください。

1.待ち時間が発生する場面

飲食店において待ち時間の発生は、下記の通り3つの場面があります。業態や店内の状況によって異なりますが、待っている時のお客様の心理面に着目してみましょう。

①お店が満席のため入店するまで行列に並ぶ時間
回転が早いラーメン店や蕎麦屋など、そして話題性のある人気飲食店で行列をよく見かけます。回転が早いラーメン店などは直ぐに入店できるので待つことにイライラすることはありません。また、人気飲食店は毎回通っても「裏切らない味」、初めてでも話題性があるという理由から迷いなく行列に並ぶことが多いです。これは、行列に並ぶストレスより「この店で食べられる」という体験ができることの方が勝っているからです。
長い行列に並ぶという行為は「このお店だから並ぶ」という思いが強いのでしょう。

②オーダーから料理提供までの待ち時間
オーダーしてから料理提供までの時間が長いと、お客様は忘れられているのではないかと不安を感じてしまいます。一般的に席に案内されるまでの時間と料理を待つ時間の場合には差が生じます。料理を出される前は短時間しか待つことができません。料理提供の時間がお客様の許容範囲を超えてしまうとイライラから不安に変わり、最後にはキャンセルされてしまう可能性があります。

③レジが混雑しているとき会計するまでの待ち時間
通常お客様は会計が済んだら退店します。会計時に待たされると料金を払っていないという不確定な待ち時間を長いと感じてしまいます。ランチタイム以外は、可能な限りテーブル会計をおすすめします。

このように待っているお客様の心理状態を知ることで待ち時間の短縮が難しい場合にもどのような工夫をするべきなのか検討できるのではないでしょうか。

2.来店客の許容範囲の待ち時間

飲食店は、どうしてもあらゆる場面で待ち時間が発生してしまうことが多々あります。
来店客が食欲を満たすまで待てる時間には限界があります。ではどのくらい我慢ができるのか、許容範囲の時間をみていきましょう。

2.1 ランチタイムの待ち時間

ビジネス街のランチタイムは時間が限られている人が多いため、待ち時間にはシビアです。ランチタイムでは、席が空くまでの待ち時間および料理提供までの待ち時間は「10分程度」が限界と言われています。特に料理提供までの時間が10分を超えたところでイライラし始め、20分以上経つとキャンセルされるお客様も少なくありません。
また、ファストフードやラーメン店などは「3~5分」、ファミリーレストランは「10~15分」が許容範囲の時間であることが多いです。特にランチタイムは飲食店が混雑することが多いため待ち時間が発生してしまいます。待ち時間を短縮するための工夫が必要になります。

2.2 テイクアウトの待ち時間

テイクアウトの利用目的は以下の通りです。

  • 自宅・オフィスでゆっくり食事ができる
  • 値段が安い、商品の確保が早い
  • 店内の混雑を避けるため

さまざまな利用目的がありますが、商品確保までの時間を短縮したいという人が多いです。
注文から商品の受け渡しをして会計まで「10分」が許容範囲内の時間ですが、なかには店内で着席して待てる時間は「15~20分まで」は可能という人もいます。

2.3 注文から料理提供までの待ち時間

入店後に注文してから料理提供までの時間はランチタイムでは10分と解説しましたが、居酒屋など飲みの席では最初の乾杯まで「3~5分」がストレスなく待てると考えています。特に男性のほうが早く運ばれることを望んでいるようです。最初の乾杯が終わったことで、ひとまず安心感が広がり周りとの会話に意識が向くことが多いです。入店した直後のお客様には優先して先にドリンクを提供すると良いでしょう。
その他、一般的なレストランなどでは、「長くて10~15分」が限界だと考えられます。

3.待ち時間をイライラさせない方法

誰もが食欲と心を満たすために飲食店に足を運びます。お店の行列に並ぶかどうかの判断はお客様自身で決めますが、着席後オーダーしてから料理提供までの待ち時間はお店側の責任になってしまいます。待ち時間の短縮や待たせてしまうとき、どのような対応が適切なのかみていきましょう。

3.1 事前に待ち時間を伝え、一声かける

店頭で待ち時間が発生したときは、予めお客様に待たせてしまう旨伝えるようにしましょう。そうすることでストレスが解消されます。

  • 待ち時間(できれば具体的に○○分程度)を伝えることでお客様が並ぶか並ばないかの判断ができる。並んでも待たされているという意識が薄れる。
  • 注文を取らなければならないのにスタッフが忙しくて待たせてしまう場合は、必ず「ただいま参ります」と声をかけることでお客様は安心する。
  • 調理時間がかかる料理の注文があった際には「○○分程お待たせする」と伝えることで、待っている間に早く提供できる料理を注文してもらえる。

待たせてしまう前に待ち時間を伝えたことでストレス・イライラは軽減されます。また、待たされているときに一声かけることで好印象を与え、再来してくれる可能性も高くなります。

3.2 店舗オペレーションの見直し

飲食店を経営していく上で欠かせないのが作業をスピーディに効率化することです。それには適切なお店のルールを決める必要があります。しかし、時にはそのルールがお客様にとって不快にさせてしまうこともあります。
たとえば、店内は空席が目立つのに入店したら席を案内せずに待たしてしまうことがあります。この理由は人手不足によるものが多いです。忙しい日時を予測して人材を確保する、あるいはシフトの組み直しをすることで人手不足は解消できます。
また、各テーブル数と来店客数を合わせて案内しているため待たせてしまうこともあります。例えば4人席に2人の来店客を案内せず、4人の来店客を待っていることがあります。店内の状況により敢えて空席にすることを「席を捨てる」といいますが、店内が満席に近い状況であれば捨てることも必要になってくるでしょう。お客様の待ち時間を減らすためには店舗のルールを改善していくことも必要です。

3.3 順番待ちアプリを導入

お客様の待ち時間を避けるため、順番待ちの管理ができるアプリ「順番待ちシステム」という整理券を発行してくれるシステムがあります。お店の業務効率化を図るためやお客様の待ち時間の軽減などを目的としたシステムなので検討してみては如何でしょうか。

■matoca(マトカ)
Line上で整理券を発行でき、席が空いたらお客様に呼び出し通知を行えるサービスです。また、Lineアカウントを開設することでおすすめメニューやクーポンなどの情報を配信することができます。

■Airウエイト
店舗でお客様がQRコードを読み込むと待ち時間や順番が確認できます。発券後、メールで呼び出しすることが可能です。

4.待ち時間を利用して顧客満足度を向上させる

お客様は待ち時間や混雑状況によってお店を選択する判断の一つになります。
飲食店では避けられない待ち時間を短縮するためにさまざまな取り組みがなされています。更に待ち時間のストレスを解消するための対応だけにとどまらず、お客様の満足度を高める検討をして選ばれる飲食店を目指していくことも考えなければなりません。
たとえば長い行列に「並んでも食べたい」と思わせる料理を提供する、「接客・サービスが良い」といった魅力を感じさせるお店作りが必要です。

お客様が待つだけの価値がある料理・接客などを提供することで満足度が上がり、リピートにも繋がります。また、待っているときのイライラより、楽しみの一つとして待つことができます。待ち時間の短縮やストレスを減らす工夫と同時に、顧客満足度が上がるような料理の提供や気遣いを心がけることが重要です。

さいごに

いかがでしたでしょうか。今回は飲食店で発生する待ち時間について解説しました。飲食店は席への案内、注文・料理提供、会計時などの場面で待ち時間が発生することがあります。
待ち時間の短縮・対応はオペレーションの見直しやサービスの導入などさまざまな方法があります。自店で出来ることは取り組むだけ価値があると思います。
お客様のストレス・不満を最小限に抑え、待ち時間を楽しませるといった工夫をすることで顧客満足度を向上させることができ、売上アップに繋がることでしょう。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人