経営力向上計画とは?申請書の記載ポイントからメリットまで解説!

「経営力向上計画」は中小企業・小規模事業者等向けに事業計画を策定し、国から認定を受けることで税制・金融支援などの特典を活用できる制度です。後に詳しく解説しますが、この制度は経営の向上を目指すための計画なので、経営に関する大きな支援策が期待できます。今回は「経営力向上計画」について解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

1.経営力向上計画とは?

経営力向上計画とは冒頭にも触れましたが、中小企業者等が人材育成や財務管理、設備投資等の経営向上のために実施する計画です。策定した計画を事業所管大臣に申請し、認定されることで税制や金融などの支援が受けられる制度です。具体的には、事業分野別の経営指針(労働生産性、売上高経常利益率、付加価値額など)を3年から5年にかけて経営向上を目指すための計画書を作成することが要件となっています。
なお、計画の作成にあたっては、認定経営革新等支援機関のサポートを受けることも可能です。(経営革新等支援機関とは、商工会議所・地域金融機関・士業等の専門家等です。)

<経営力向上計画の概要>

2.経営力向上計画の作成方法とポイント

経営力向上に関する計画を申請様式に記載をして、各事業分野の主務大臣に提出した後に認定を受けるという流れですが、ここでは計画の作成方法(申請書)を解説していきます。
申請書を提出してから30日程度で認定されますが、記載漏れなどの不備があると手続きに時間を要してしまうので注意しましょう。また、国の指針に沿った計画であることを求められるので以下のポイントを抑えながら計画書を作成するとよいです。
計画書の記入方法は経営力向上計画策定の手引きに従って作成しましょう。また、認定の適用対象者の要件等も手引きに記載されているので、参考にしてください。

<経営力向上計画の作成方法のポイント>
先ず初めに、認定申請書は中小企業庁の申請書類から取得できます。

★手引きの申請様式にある手続き方法「4 現状認識」に記載する際、提出後に修正依頼を求められることもあるので、複雑に記載しないこと、要点をまとめて8行程度に納めるようにしましょう。尚、②欄を記入する際には、自社の弱みと強さが改善の方向性と整合がとれているか注意をしましょう。

「6 経営力向上の内容」の(1)と(2)は取組を行う目的、取組内容とその効果の3項目が基本方針や事業分野別指針に定められている取組内容を参考にしながら、自社の状況に合わせて記載しましょう。(3)は資金調達についての計画を記載しますが、具体的にどのように実行するのか明確なコンセプトを記載するように心がけましょう。

「7 経営力向上を実施するために必要な資金の額及びその調整方法」は、必要とする資金が同一の使途や用途であっても資金調達方法ごとに記載します。

以上のようにポイントを押さえながら、経営力向上計画策定の手引きを参考にして記載しましょう。なお、認定支援機関のサポートが必要な場合には、相談しながら作成することをお勧めします。
提出先に関しては、紙申請と電子申請があり、いずれかの方法で事業分野の関係省庁へ提出します。電子申請を行う場合は政府が発行しているGビズIDの取得が必要になります。

3.経営力向上計画のメリット

経営力向上計画によるメリットは多数ありますが、具体的にどのような支援措置があるのか、ここでは代表的な3つの支援策をご紹介します。

3.1 税制な優遇措置が受けられる

経営力向上計画が認定された際、中小企業の法人税(個人事業主は所得税)についての即時償却・税額控除の優遇措置があります。中小企業経営強化税制の即時償却又は取得価格の最大10%の税額控除の選択適用が可能です。但し、資本金3千万円超1億円以下の法人は7%の税額控除になります。即時償却とは、設備投資を行った際に初年度に全額経費として計上することができる制度です。
また、新規導入による設備の固定資産税が3年間にわたって2分の1(平成31年3月末までに取得分が対象)に軽減されます。

3.2 金融支援が受けられる

中小企業者にとっては、金融支援は事業を拡大するのに有効だと思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに経営力の向上を図る支援策なので、事業拡大に大いに関わってきます。特に政府系金融機関での融資が低金利で受けられます。

●日本政策金融公庫や商工中金による融資
設備投資に必要な資金について審査はありますが、基準利率から0.9%引き下げられた金利で融資が受けられます。

(出典:中小企業庁HPより)

●民間金融機関から融資
信用保証の別枠化や保証枠自体の拡大が受けられます。つまり、中小企業が金融機関から融資を受ける際、信用保証協会に債務保証をしてもらう金額を特別に増やすということです。

3.3 補助金の支援が有利になる

各種補助金の申請には審査があり、厳しい条件のクリアが必要です。経営力向上計画の
認定を受けていることで以下の補助金施策の審査時に加点対象になります。

  • ものづくり補助金
  • IT導入補助金
  • 小規模事業者持続化補助金

以上の補助金の事業計画は優秀でないと採択されない傾向があるため、加点は非常に重要な要素と言えます。経営力向上計画の認定は早めに補助金対策としても必要となります。

さいごに

いかがでしたでしょうか。今回は経営力向上計画の作成方法から様々なメリットを解説しました。経営力向上計画は中小企業等が経営向上のために作成する計画によって国からの認定を受け、税制や金融、補助金などの支援が受けられます。経営向上を目指して事業者の活性化に繋がるように計画策定を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人