経営の見直しに必要な早期経営改善計画策定支援~メリットから利用までの流れ~

経営の見直しに必要な早期経営改善計画策定支援

中小企業・小規模事業者において経営面でのさまざまな課題を税理士などの専門家と共に見つけ出し、事業者の経営を見直しするための「早期経営改善計画」。その経営見直しによる改善方法は取引金融機関とともに経営構築を目指します。いわば3者間の関係性によって早期の経営改善の取り組みを促す支援制度です。
今回は経営改善のために早期経営改善計画策定支援事業の支援を受けるまでの流れやメリットなどについて解説します。
ぜひ参考にしてみてください。

1.早期経営改善計画策定支援とは?

早期経営改善計画策定支援とは?


早期経営改善計画策定支援とは、経営改善を必要とする中小企業・小規模事業者を支援する制度です。具体的には資金繰り管理や採算管理などの「経営改善計画の策定」を認定支援機関(税理士等の専門家)が作成した経営改善画書を金融機関と共有する制度です。ただし、中小企業・小規模事業者には、経営改善計画策定から1年間のフォローアップをすることが前提となっています。
※尚、認定支援機関とは経営相談が受けられるための専門知識や実務経験が一定レベル以上、すなわち経営状況の指導などの実務経験を3年以上(経営革新や支援業務1年以上含む)ある、または同等のレベルであることが必須です。

現在、経営状況の悪化は深刻ではないが、今後の経営に不安要素がみられる企業にもおすすします。経営が悪化する前に課題を見つけ出し早期に改善していくことを目的としています。

2.早期経営改善計画策定支援を活用してみよう

経営悪化の前兆は必ず存在します。以下のような気づきが少しでもあった場合は支援を受けることをおすすめします。

  • 売上や資金繰りが不安定
  • 専門家から経営についてのアドバイスがほしい
  • 経営改善の進捗についてフォローアップを依頼したい
  • 自社の経営状況を客観的に把握したい

経営の悪化状況による改善を図るためには、コンサルティング専門企業や税理士などの専門家に相談し、アドバイスを受けながら構築していくための相談料として報酬を支払います。
相談内容や期間などによって料金の変動はありますが、売上減少、利益が上がらないなどの状況で高額な相談料の支払いは厳しいという事業者もいらっしゃいます。
早期経営改善計画策定支援を活用することで、相談料(計画策定費用及びフォローアップ費用)などを支払った費用の一部が補助されるというしくみになっています。
中小企業活性化協議会(経営改善支援センター)から計画書等を作成した費用の最大30万円の2/3(20万円まで)が補助されます。

3.利用申請から支払決定までの流れ

先ず初めに中小企業・小規模事業者は「認定支援機関」という専門家を探し出します。
なお、全国に多数の認定支援機関が設定されていますが、お近くの認定支援機関もしくはメイン行などに相談してみましょう。経営課題の解決のために認定支援機関が見つかったら利用申請の手続から始まります。

利用申請から支払決定までの流れ
(引用:経営改善支援センターより)
利用申請書①②、早期経営改善計画書の策定と提出③④、支払い申請⑥、モニタリング⑦

<申請から支出までの流れ>

①利用申請
先ずは取引している金融機関に事前相談をします。その上で認定支援機関と連盟で「利用申請書」とともに金融機関から入手した「事前相談書」を経営改善支援センターに提出します。(なお、令和2年9月に新型コロナウィルス感染症に対する特例措置導入型の内容が加えられました)
経営改善支援センターが申請書を確認し、費用負担が適切となった場合には認定支援機関(専門家)にその旨伝えます。

②早期経営改善計画書の策定と提出
外部の専門家は「早期経営改善計画」の策定を支援し、申請者はその経営改善計画書を取引金融機関に提出します。
※金融機関に提出する専門家が作成する経営改善計画書の内容
●資金繰り計画、ビジネス俯瞰図、アクションプラン、損益計画書など

③支払申請・支払決定
支援費用を受けるため中小企業・小規模事業者は認定支援機関と連名で「支払申請書(早期経営改善計画)」を取引金融機関の受取書とともに経営改善支援センターに提出します。
※金融機関に経営改善計画書を提出したことを確認できる書面(受取書)は必要です。
ここで経営改善支援センターは支払申請書を確認し、その結果と支払予定額、支払決定日を認定支援機関(外部専門家)に通知します。
※申請者が専門家に支払った早期経営改善計画策定費用のうち2/3(上限20万円)が補助されます。

④モニタリング
認定支援機関(専門家)は早期経営改善計画の内容に基づき、中小企業・小規模事業者のモニタリングを実施します。尚、モニタリングは計画策定後1年経過した最初の決算時(第1回)に事業者が金融機関に報告します。その後、専門家は経営改善支援センターに「モニタリング報告書」を提出します。
経営改善支援センターは、モニタリング費用の3分の2(補助上限額5万円)を支払います。モニタリングの目的は申請者と認定支援機関が金融機関に達成状況・業績の説明をし、今後の事業方針や金融支援について共有することです。

4.早期経営改善計画のメリットとその効果

早期経営改善計画のメリットとその効果

ここでは、早期経営改善計計画策定支援とは、どんなメリットがあるのかみていきたいと思います。また、幾つかあるメリットに対してどんな効果をもたらしくれるのかもみていきましょう。

メリット①⇒経営を見直すことで改善すべき課題の早期発見に繋がり分析ができる
経営策定効果⇒売上が減少している状況から、適正な原価管理を怠り利益率などを意識していない経営だったことに気がついた。このような売上減少の要因をきちんと見極め、売上の増加施策を構築しなければならないという課題が発見できる。

メリット②⇒資金繰りが安易であることに気づくことができる
経営策定効果⇒早期経営改善計画を作成することで経営の基本となる資金繰りの安易さ、尚且つ明確に把握していなかったことが見つかり、早めに解決策が出せることで経営改善に大きなプラスになる。

メリット③⇒早期経営改善計画を金融機関に提出した結果、事業の将来像を確認してもらえる
経営策定効果⇒今後、金融支援が必要になった際の確認等は難なく進行できる。つまり、事業所と金融機関との話し合いがスムーズに行える。

メリット④⇒認定支援機関の計画策定から1年間のフォローアップが可能
効果例⇒認定支援機関は改善計画の作成だけの支援ではなく、事業所へのアドバイスによるフォローアップすることで改善の実施がスムーズに行える。

以上のようなメリット・策定効果がみられます。早期経営改善計画を利用して税理士などの専門家などの支援により本業に専念できたこと、金融機関とのコミュニケーションが活発化され銀行からの支援に繋がったという例もあります。

さいごに

今回は早期経営改善計画について解説しました。経営で不安定な要素があることに気が付いたら早期に改善していかなければなりません。
自己の経営を今一度見つめ直した上で、もし課題を発見したら健全な経営を目指すためにも専門家からの経営アドバイスやフォローアップなどを必要とした「早期経営改善計画策定支援
という制度を活用してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人