共同経営で歯科医院を開業したい方必見!メリットとデメリットを詳しく解説

歯科医院の開業を検討した際に医師仲間と共同で経営したいと思われている方がいらっしゃいます。同じ環境にある医師同士の経営はメリットが多数存在している反面、互いに知り尽くしている相手との共同経営だからこそ不安で心配だと思っている方もいらっしゃいます。今回は歯科医院における共同経営のメリット・デメリットを中心に解説していきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください。

1.歯科医院における共同経営

現在、歯科医院の共同経営を検討されている歯科医師が多くいらっしゃいます。
共同経営とは友人や医師仲間など、二人以上の経営者が対等な立場で一緒に経営することを言います。お互い不足だと思われるところを補い合い、経営においての話し合いや助言し合えるといった対等の立場の経営形態です。
ここで共同経営をするにあたり、どんなことに注意していけばいいのかみてみましょう。

  • 歯科医師同士の開設の場合、院長は一人のみとなる(=開設者)
  • 経営方針の決定については支配的影響力がある人が事業主となる
  • 歯科医院の開設者が非医師の場合は都道府県知事の許可を得る

複数で共同経営をする上で、相互関係上同じ立ち位置は難しいと考えられます。
開設前にどの役割を誰が果たすのかなどを決めてから始めることをお勧めします。

2.共同経営のメリット

同じ専門分野のスキルを持つ歯科医師が事業を共にする場合、お互いが持つ豊富な知識によって経営バランスが良好な形となります。しかしながら、相互間で意見の相違などがあった場合、バランスが崩れてしまう可能性もあります。
ここでは、先ず共同経営をするにあたり知っておくべきメリットを解説していきます。

2.1 経営危機の分散

経営するということは、メリットがある分リスクも存在します。例えば「不況による経営不振」「どちらか一方の病気や体調不良によって経営不能になる」などあらゆる場面でのリスクです。
このような場合、一人経営であれば自ら決定し修復実行をしなければなりません。しかし、二人以上の共同経営であれば全て一人で危機の原因を抱え込む必要はありません。
パートナーに経営相談することで助言やアドバイスを得ることができ、どちらか一方が病気などで長期休暇となったときも、もう一人がカバーすることができます。

経営危機になったとき、お互いをサポートすることで事態の悪化を避けられます。
また、共同経営であれば、難しい問題も話し合いによって冷静に判断や決定が下せるので、大きなメリットとなります。パートナーとは非常に重要な存在です。

2.2 経営ビジョンが立てやすくなる

歯科医院の指針となる経営ビジョンは必ず必要となります。お互いが知り尽くした相手との共同経営は同じ目標を持ち、そして立場を共有しているため軌道に乗りやすいことがメリットでもあります。

  • お互いの診察スキルがどの程度あるのか把握している
  • 患者さんからの信頼度がわかる
  • 意見の出し合いによってどの方向性にいくべきか決めやすい

新しい人材を採用した場合は上記のような決め事に時間を要することが多いのですが、お互い同じ勤務医同士だった、あるいは友人などであれば相手の人物については知っているので、経営ビジョンを立てやすくなります。

2.3.コネクションを活用できる

お互い歯科医師という専門分野を活かしての共同経営は、経営者(各個人)の人脈を共有することでビジネスを始められます。
個人で開業した場合、人脈やコネクションを広げていくことは容易ではありません。また、診察や実務、人材の採用活動などといった業務を一人で全て熟すことも厳しいです。マンパワーの限度を超えてしまったら経営が成り立たなくなってしまいます。
共同経営の場合、新たに歯科医院を開業するときには頼りになるパートナーの存在が非常に重要で、たとえば他者とのコネクションの繋がりによってビジネスの拡大という形になる可能性が大いにあるということです。

有能なパートナー同士の力を合わすことで相乗効果が生まれ、集患数も増加し経営が好転する可能性も高くなります。経営力が高いということはお互いの持つコネクション力にも繋がっていると言えるでしょう。

3.共同経営のデメリット

共同経営は多数のメリットがありますが、デメリットも存在します。そのメリットとデメリット両方を知っていることで視点を変えることができます。

3.1 報酬の分配による問題

共同経営の報酬による分配問題は非常にシビアです。全員が個人事業主である以上、立場は同じなので売上や経費など全て折半することになります。
しかし、業務量の違い、患者数や診察料の違いなどによる問題が浮上するケースも多々あります。これはお互いの貢献度の価値観の違いによることもあります。
売上による報酬を公平に分担することは難しいと言われています。開業する前に「経営者同士である以上、報酬を対等に分配する」もしくは「平等分配は困難」「患者数の割合」などといった課題をお互いに納得するまで話し合うことが大切です。

3.2 仕事量の問題

共同経営は対等な立場ということが前提ではありますが、業務や患者数を均等に分けられるかといえば、それは実に難しく曖昧になってしまうことが多いです。どちらか一方の仕事量が増えれば責任の比重も大きくなってしまいます。そうなると不平不満が生じ、互いの関係性が危うくなってしまう可能性があります。
以下のようにそれぞれの分担を決めておく必要があります。

  • 一日に診察できる患者数
  • 専門分野による診察できる役割分担
  • 人材を必要としたときの採用活動はどちらが中心に行うのか

3.3 方向性による違い

一人で開業すると経営方針の意向を自分で決め、経営難に陥った場合でも全て自分が責任を負い解決しなければなりません。二人以上の共同経営は同じ目標を持ち、経営危機に陥ったときでも相手と課題(問題)を共有することで回避できる可能性が高いといったメリットがあることを先述しました。
開業したときは同じ方向を向いていたのにも関わらず、長い間一緒に経営していると自分が思っている方向性が変わり、相手との食い違いは生じることがあります。たとえば一人が歯科医院の事業拡大を考えていても、もう一人が今はその時期でないとなれば当然方針の相違が発生しています。お互いに同じ方向を向いて上手くいっている時はいいのですが、経営方針の違いによって関係性が崩れていっては非常に残念です。
どの業界でも共同経営をする上で、このデメリット性は確率が高いと言われています。
開業時に方向性の食い違いが生じた場合を想定し、対策を検討することも大切です。

4.共同経営を失敗しないために

共同経営は経営者同士の関係性が良好であれば相乗効果によって質の高い経営になりますが、何かしらのある出来事がきっかけで意見の食い違い、方向性の違いによってお互いの目標を見失ってしまう可能性があります。最悪の場合、事業を進めていくことが困難な状況になってしまうこともあります。
ここで失敗しないための対策を紹介します。

  • 事業の目的・理念を明確にしておく
  • 意思決定のルールを決めておく
  • 将来に対する方向性の違いが生じる可能性を想定した上で対処法を検討しておく
  • お互いの気持ちを尊重した上で問題・課題を話し合う
  • それぞれの貢献度や実績などによって負担する分配(役割)を決めておく

共同経営は立場が同じで全てを平等にするとトラブルが生じやすいです。
また、経営を失敗しないためにも信頼できるパートナーを選び、医院開設する前にお互いが納得するまでルール等について話し合うことが大切です。

さいごに

いかがでしたか。共同経営は経営責任や負担を分散できる、孤立しないということが大きなメリットです。そして有能なパートナーと力を合わせることで相乗効果が利益をもたらしてくれます。しかし、些細なことでの意見の食い違い、仕事や金銭面でのトラブルなどが生じる可能性もあります。最悪の場合、修復不可能ということになりかねません。
共同経営は歯科医院に限らず難しいと言われていますが、事業を始める前にメリット・デメリットをよく把握し、役割分担やルールを決めて準備万全にしておくことが成功への近道になるのではないでしょうか。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人