近年、動物と触れ合うことができる飲食店が増えていますが、ここ数年の猫ブームによって「猫カフェ」が注目をされています。
- 「猫カフェの開業を検討しているが、どんな資格が必要?」
- 「大好きな猫と関われる、趣味と実益を兼ねた猫カフェをはじめたい」
- 「今、猫カフェが流行っているようだが、今後も需要ある?」
このようなお悩みを抱えている飲食店経営者、飲食店開業を目指す方が多くいらっしゃいます。
この記事では、猫カフェを開業する際にどのような資格や許可が必要か、運営する際の注意点等を解説していきます。ご参考にしてみて下さい。
もくじ
1.猫カフェを開業するのに必要な資格・届出とは?
1.1 動物取扱責任者の取得
動物取扱責任者は、第一種動物取扱業の登録申請に必要な資格です。
第一種動物取扱業者から選任されて、初めて動物取扱責任者になることができます。
動物取扱責任者は、他店との兼務ができないため、多店舗展開で開業する場合、注意が必要です。
以下4つの要件のうち、1つでも満たしていれば動物取扱責任者の資格が取得できます。
- 要件1:獣医師の免許を取得している
- 要件2:愛玩動物看護師の免許を取得している
- 要件3:種別に係る半年以上の実務経験又は一年以上の飼養経験 及び 種別に係る一年以上教育する学校等を卒業
- 要件4:種別に係る半年以上の実務経験又は一年以上の飼養経験 及び 公平性、専門性のある団体が行った試験により資格等を取得している
1.2 第一種動物取扱業の登録
営利目的で猫カフェを開業する場合は、自治体に第一種動物取扱業の届け出が必要です。
届け出の手順や手続きは、自治体ことに変わります。
今回は東京都で第一種動物取扱業の届け出、登録する場合の手順を解説していきます。
【東京都の場合】
第一種動物取扱業を登録するには、1名以上の常勤の動物取扱責任者と重要事項の説明等を行う従業員を配置する必要があります。登録手続きの手順は以下の通りとなります。
①必要書類
- 第一種動物取扱業登録申請書
- 動物の愛護及び管理に関する法律第12条第1項第1号から第6号までに該当しないことを示す書類
- 飼養施設を有する場合:飼養施設の平面図及び飼養施設の付近の見取図
- 申請者が法人の場合:登記事項証明書 役員の氏名及び住所
- 事業所及び飼養施設の土地及び建物について事業の実施に必要な権原を有することを示す書類
- 動物取扱責任者研修の修了証の写し
②申請手数料:15,000円
③申請方法
第一種動物取扱業の登録申請は、動物愛護相談センター本所( 世田谷区 )及び多摩支所( 日野市 )の窓口でのみ受け付けています。
郵送など他の方法では登録申請を受け付けることが出来ませんのでご注意ください。
※事前に電話で相談のこと
【申請先】
■23区内及び島しょ地域に事業所を置く法人または個人
東京都動物愛護相談センター業務担当
156-0056 世田谷区八幡山二丁目9番11号
電話 03-3302-3507
■多摩地域に事業所を置く法人または個人
東京都動物愛護相談センター多摩支所監視第一区担当
191-0021 日野市石田一丁目192番33号
電話 042-581-7435
④注意事項
登録後、動物取扱責任者の氏名等申請事項に変更が生じた場合には、届出が必要です。
第一種動物取扱業の廃止等の場合には、廃業等の届出が必要です。
登録は、5年ごとに更新しなければなりません。
1.3 食品衛生責任者の資格取得
食品衛生責任者は、飲食店を開業するうえで必要になる資格です。
店舗ごとに食品衛生責任者を選任し、配置することが義務付けられています。
食品衛生責任者の資格を取得するためには、講習を修了する必要があります。
講習会は、「衛星法規」「公衆衛生学」「食品衛生学」の3つに分かれており、全ての科目を1日で受講することができます。
講習後には修了試験がありますが、講義内容を聞いていれば答えられる内容のものですので、難易度は低いでしょう。
【一般社団法人東京都食品衛生協会 参照】
1.4 飲食店営業許可の資格取得
飲食店営業許可とは、料理を提供するお店を開業する際に必要な資格です。
管轄の保健所に申請を行い、審査に合格すると「飲食店営業許可」を取得することができます。
【飲食店営業許可取得の流れを詳しく解説している記事】
飲食店の営業許可について~申請から許可取得までを解説~
1.5 防火管理者の資格取得
防火管理者とは、多くの人が利用する建物などの「火災による被害」を防止するため、防火管理上必要な業務を行う管理者をいいます。
飲食店では、収容人数が30人以上となると、防火管理者の資格が必要になります。
防火管理者は、一般財団法人日本防火・火災協会による防火・火災管理講習を修了することで取得することができます。収容人数には、スタッフも人数に含まれますので、注意しましょう。
【一般財団法人日本防火・火災協会 防火・火災管理講習】
2.猫カフェを経営する際、注意すべきポイント
2.1 衛生面・臭いは徹底的に配慮する
多くの猫を店内で飼育するとなると、清掃はこまめに行う必要があります。
舞い上がった抜け毛などが、料理やドリンクに入ることを防ぐだけでなく、雑菌を繁殖させないように気を付けなければなりません。
特に、猫のトイレの臭いは、細心の注意が必要です。店内に猫のトイレ臭が充満しているとお客様は不快に感じ、お店の評判が下がってしまうでしょう。
「トイレ掃除はまめに行う」、「消臭効果のある砂を選ぶ」など、臭い対策は徹底的に行うことが大切です。
2.2 猫の健康管理に気を付ける
動物を扱う飲食店営業だからこそ、ワクチン接種は徹底する必要があります。
猫の病気はたくさんあり、「猫から猫へ感染するもの」、「猫から人へ感染するもの」があります。
猫から人へ感染するものには、サルモネラ菌、猫ひっかき病などがあります。
- サルモネラ菌・・・動物の排泄物に含まれた菌をなんらかの形で口にすることで、人に感染します。
- 猫ひっかき病・・・猫にかまれたりひっかかれたりすることで感染します。かまれたところが腫れて痛むだけでなく、最悪の場合、重症に至ることがあります。
ワクチン接種や健康診断は定期的に行い、不調は早いうちに見つけられるようにしましょう。
2.3 猫にストレスをかけないように注意する
店内で長い時間、見知らぬ人たちと接することは、人懐っこい猫であってもストレスに感じるものです。猫たちにとって大きなストレスをかけないようにカフェのルールを設定することが大切です。
【猫カフェで禁止したいルール一覧】
- 入店時に手洗いと消毒をする
- 香水はつけていない
- 猫を無理やり抱っこしない
- 大きな音を出さない
- 猫を追いかけない
- 寝ている猫を無理やり起こさない
- 食事中の猫に触らない
- 写真撮影はフラッシュやストロボを使用しない
- 勝手に食べ物や飲み物を与えない
さいごに
いかがでしたか?
猫カフェを開業する際にどのような資格や許可が必要か、運営時に注意したいポイントがご理解頂けたかと思います。
猫ブームの今、猫と触れ合いながらお茶や食事ができるカフェは、魅力的で年々ニーズが高まっていますが、生き物を扱う以上、衛生面、安全面を徹底的に配慮することが重要です。
猫カフェ開業・経営を成功させるために、この記事を参考にしていただけると幸いです。
BrancPort税理士法人では、飲食業界経営についてのアドバイス・サポートもお引き受けいたします。
この記事を読んでもお悩みが解決できない場合は一度ご相談下さい。