【ビール好き必見!】メーカーの製造工程から自家製ビールの作り方まで解説

ビールは1年を通して美味しく飲めるお酒ですが、特に夏の暑い時期に飲むビールは格別です。乾杯の1杯目に「まずはビール!」という人もまだまだ多いはずです。世界中の人々に愛されているビールは、人との繋がりをもたらす社交の場でとても重要な役割をしています。そこで今回は、ビールの製造工程から自家製ビールの作り方を紹介したいと思います。

1.ビールの豆知識

ビールの泡は、味の旨さを左右するほど重要な役割を持っていることをご存知でしょうか。特に日本ではふっくらとした泡が美味しく映るため、飲食店ではビールの液体と泡の割合を上手に調整してから提供しています。液体と泡の比率は7:3がいちばん美味しくいただけると言われています。
また、ビールは空気に触れると炭酸ガスが外へと逃げてしまい風味が損ねてしまいますが、泡が蓋の役割をしているため空気に触れにくくしてくれます。ビール特有の苦み成分が泡に吸着することで旨味を守ってくれています。ちなみに泡が多いと苦みが抜けてまろやかになり、泡が少ないと苦みが増します。見た目だけではなく、ビールの泡というのは立派な働きをしていたのが納得ですね。

2.メーカーによるビールの製造工程

ビール工場の見学に訪れている観光客が年々増加傾向にあります。ビールが苦手な人も製造工程を知ることで興味が湧き、ビールをアレンジした飲み方で楽しむという人も増えてきているようです。ビールがどのように作られ、何が味や香りに影響しているのかを知ることで、いっそう美味しく味わえることができるでしょう。

2.1 原料を知る

ビールの主な原料は麦芽・水・ホップ・酵母の他に米・とうもろこし・デンプンなどの副原料も使われています。

麦芽:麦芽とは麦を発芽させたもので、ビールには大麦(二条大麦)が用いられています。その理由として、大麦は穀粒が大きく形状が均一でデンプン含量が多い、酵素力が強くたんぱく質含量が適当など、ビール作りに最適な要素が多く含まれているからです。大麦に含まれているデンプンはビール製造工程において糖化させる必要があります。大麦を発芽させることで大麦にあるアミラーゼが活性化し、デンプンが糖に分解してくれます。麦芽の役割は、ビールの味や香りを豊かにし、色や泡の層を形成してくれることです。

水:ビール全体の9割を占めているのが水です。出来上がったビールの風味を左右してしまうほど、良質な水であることがとても重要です。良質というのは、無味・無臭で微生物がなく清浄な水であることです。一般的に硬水は味も濃く濃色ビール(黒ビール、スタウトなど)、軟水は味がすっきりとしていて淡色ビール(一般的な茶色のビール、ピルスナーなど)に向いています。

ホップ:ホップとは、寒い地域(日本では北海道や東北など)で栽培されているツル性の植物のことです。ビール特有の苦味や爽快な香りを与える働きがあり、泡立ち・泡持ちを良くし、雑菌の繁殖を抑えるといった衛生面でも大きな働きをしてくれます。これらの作用は、ホップの中にある「ルプリン」という黄色い球体によるものです。ビールを作る上で麦汁の中にホップを加えて煮込みますが、そこでビール特有のキレの良い苦味成分であるイソアルファ酸が生成されます。

酵母:酵母は発酵を行う微生物のことで、熱した麦汁にこの酵母を加えることで麦芽の糖分を分解しアルコールと炭酸ガスが生まれます。

副原料:米・とうもろこし・デンプンなどの副原料は、ビールのまろやかさやすっきりとした味を作りだすために使われています。副原料を使用するのとしないとでは、まったく違う味のビールになります。
※日本では副原料の使用率が麦芽5%以内までと定められており、5%を超えると発泡酒に分類されます。

2.2 麦芽の製造~仕上げまで

ビールの製造プロセスは大きく分けて次の5つの工程があります。

①製麦
まず、収穫した麦を数カ月休ませます。その後、大麦に水を吸わせて発芽させ、更に乾燥させ熱風をあてながら焙躁(ばいそう)します。このときに色や香りなどビールに必要な成分を保持するようになります。

②仕込み
細かく砕いた麦芽と副原料を温水で混ぜ合わせます。そうすると麦芽のデンプン質が酵素の働きで麦芽糖に変わります。これをろ過しホップを加えて煮沸釜で煮沸させます。ここで、ホップによりビール特有の苦味と芳香が生まれます。

③発酵・貯酒
②の麦汁を5℃くらいに冷却した後、酵母を加えて発酵タンクに入れます。常温で約1週間寝かせると、酵母の働きによって糖分がアルコールと炭酸ガスに分解されてビールの出来上がりです。これを若ビール(わかびーる)といいます。更に、この若ビールを0℃ほどの貯酒タンクに入れて10日間ほど成熟させると、雑味のない調和のとれたビールに生まれ変わります。

④ろ過
貯酒を終えたビールから酵母を除去します。そうすることで澄んだ琥珀色(こはくいろ)のビールになります。※一般的には発酵後に熱処理を行わないビールが「生ビール」です。

⑤保管、パッケージ
最後にビンや缶、樽などに詰められて出荷します。およそ製造工程は2~3カ月程度で美味しいビールが作られます。

3.自家製ビールの作り方と注意点

こだわりのあるビールを作りたい、一度は自家製ビールを作ってみたいという方のために「自分のビール」の作り方を紹介します。ある条件さえクリアしていれば、ビール作りは可能です。

3.1 自家製ビールの注意点

自家製ビールを作るには条件がります。日本の酒税法ではアルコール度数が1%以上の飲料は酒類製造免許が必要になります。自宅でビールを作る場合は醸造したビールを薄めて、アルコール度数が1%未満になるようにすれば手作りは可能です。(下記参照例 )

自家製ビール材料
水(全体仕込量)20L
キット缶400g
砂糖200g
発酵率75%
アルコール度数0.99%

3.2 仕込み~保管まで

ビール作りには雑菌を排除させる必要があり、発酵容器とペットボトル、ビンはしっかりと殺菌しておきましょう。

<用意するもの>
・ビールキット缶(ビールの素)・イースト(酵母)
・大き目の鍋、計量、温度計
・グラニュー糖または上白糖
・殺菌剤
・水(浄水またはミネラルウォーター)
・ペットボトルまたは瓶
・発酵容器(市販で売られていて、ポリ製発酵容器で専用タンク)

①仕込み
鍋にビールの素、水、砂糖を入れてかき混ぜ、焦がさないように沸騰させます。その後、25度前後まで冷まします。

②発酵
イーストを①に投入し、水と一緒に発酵容器に決められた分量まで移し15~25度になるように調整します。イーストが糖を分解してアルコールとガスに生成させます。その後1週間から10日程待ちます。

③びん詰め
発酵が完了したら、殺菌した瓶またはペットボトルに移して熟成させます。

④保管
③で詰めたビールを冷暗所で保管して更に熟成させます。美味しいビールの飲み時は約1カ月~3カ月ほど熟成させたほうがいいでしょう。出来上がりまで少々時間がかかりますが、ビール特有のほろ苦く香ばしい味の美味しいビールが待っています!

4.ビールの消費量(ブーム)と今後の可能性

ここ数年、ビール離れの傾向にあるため消費量が減少していると言われています。その一方で、一昔前では地ビールがブームになり、続いてクラフトビールが人気となり両者のビールの消費量は増加しています。
1994年から酒税法改正により大手ビールメーカーから独立し、小規模醸造所でビール作りが可能になったため地域密着型ブランドのビールとして地ビールがブームになりました。いわゆる地域おこしの一環として世に出回ったということです。その後、2000年に入りアメリカからクラフトビールが到来し、職人が品質を重視して作るビールと言われ大ヒットしました。クラフトビールは、地ビールを更に進化させてその土地の特産品の原料を使用したり、季節限定のビールといった多様性のあるスタイルを追求して作られたビールです。消費者に伝えるイメージを明確にした両者のビールは、第1次、2次ブームが起きて大きく消費量を伸ばしてきました。そして現在は、大手ビールメーカーが参入してクラフトビール専門の醸造所と飲食店が併設した店舗といった新しい形の第3次ブームが進行中です。
メーカーの発泡酒や第3ビールは市場の約半分を占め、その他の従来型ビールには高級感を出すなどしてブランド強化にも力を入れています。今後のビールは、これまでのスタイルに捉われず新たな形のアピールとして市場での消費量を伸ばせる無限の可能性があることは確かです。

さいごに

ビールは夏の暑い季節が最も消費量が多いというイメージですが、年間を通じて様々な形で提供し消費されています。ビールがどのように作られているのかを知ったことで、更にビールが美味しく感じられることと思います。今回は、メーカーによる製造工程と自家製ビールの作り方を紹介してきました。自分が作り手側になるとビールを飲むことがさらに楽しくなりそうですね。

この記事を書いた人

広田 淳