近年、新規顧客の獲得そしてリピートしてもらうため、積極的にクーポンを発行している美容サロンが多く見られるようになりました。しかし、クーポンを発行したとしても、顧客に利用してもらわなければ集客は見込めません。宣伝費をかけただけで、予想外の損失になってしまったという事例もあります。クーポンによる効果が得られるかどうかは、活用の仕方次第で決まることがほとんどです。
この記事では、美容サロンでクーポンを配布する際の活用方法や注意点などを解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
1.クーポンの利用率と目的
今や、飲食店やアパレル販売、美容サロンなどジャンルを問わず販促ツールのひとつとして多くの企業がクーポンを導入しています。消費者も出来る限りクーポンの利用を求めている人が多くいらっしゃいます。クーポン利用者は全体の約7割が女性(30~50代)で、「スマホのクーポン画面を見せる・かざす」が若年層(20~30代)で半数以上、「画面を印刷する」が3割弱います。
利用者の多くは女性が占めているので、販促ツールのひとつであるクーポン発行を活用しないという手はありません。ただし、効果を得られるかあるいは逆効果になってしまうかは活用方法で決まります。クーポン配布の目的の多くは、新規顧客の獲得そして再来店を促し、更には既存客への継続的なリピートです。効果的な活用方法は後程解説しますが、クーポンでかかる宣伝費などの費用を無駄にしないためにも目的をしっかりと把握した上で、クーポンを活用するようにしましょう。
2.対象者別のクーポン活用方法
クーポンを利用してもらう対象者は、「新規顧客」「再来客」「全員」の3種類を用いることが殆どです。掲載内容は、ポイントとして対象者別に条件を変えていくと良いでしょう。
2.1 初回限定クーポン
初期限定クーポンは、新規顧客が初めて行くお店でたった一度だけ使えるはクーポンです。来店のハードルを少し下げ、利用しやすい状態をつくるようにしましょう。下記のような初回限定クーポンを活用することで興味が湧き、来店してもらえる可能性が高くなります。
(美容室)初回限定トリートメント無料⇒2回目は30%オフ⇒3回目は10%オフ
(美容室)カット+炭酸ケア 通常価格10,000円⇒初回限定8,000円
初回限定クーポンは一回だけの来店というお客様も多いのは事実です。原因は、「最初から一度きりの来店目的」「店内の雰囲気あるいは施術・接客があわなかった」など様々です。しかし、初めての来店客はお店に興味を持って入店されたことに変わりないので、技術力が高くサービスも気に入ってもらえれば次回に繋げられます。そして、更に来店意欲を上げるために、お得なクーポンセットを一緒に配布すると非常に効果的です。
また、お客様を囲い込むためにもリピートできるようなクーポンの条件(割引率)を段階的に変えていくことをお勧めします。
2.2 再来客対象のクーポン
再来客とは2回目に来店されるお客様のことです。実は、3回目の来店というのは、その後リピーターとなってもらえるかどうかとても重要です。次に繋げるには、クーポンの掲載内容を工夫することが大切です。
(エステサロン)エステ3回コースの契約者専用⇒2回目のみ1,000円
上記例のように、再来店時(2回目)で価格を1,000円に設定する代わりに、次回以降の来店の契約を結ぶために3回程度のコースを設け施術後の効果を実感してもらいます。数回に分けての来店時に接客・技術力をアピールすることができます。施術などに満足していただけたら、コース終了後に通ってもらえる可能性が高くなります。
2.3 すべての人向けクーポン
すべての人向けクーポンは対象者が多く、初回や再来店の方も含みます。
全員対象者は、初回や再来という特別対象者枠ではないので、割引・特典はなるべく低く設定したほうが良いです。全員対象のクーポンは、来店するためのきっかけ作りが目的と言えるでしょう。
3.効果的なクーポン掲載について
クーポンの配布は多種多様にあります。ここでは幾つか紹介したいと思います。
3.1 美容ポータルサイト
以前の記事で【2021年最新版】集客に役立つ美容ポータルサイトおススメ5選!で美容系のポータルサイトを紹介しました。美容サロンを検索する上で多くのユーザーが利用しているので、割引クーポンを配布することによって高い集客効果が期待できます。
但し、ポータルサイトは他店情報も掲載しているので、お客様は数多く掲載されているお店の中で割引価格や施術内容、店内写真を見て比較しながら決めます。そのため他店との差別化を図れる掲載内容にする必要があります。
3.2 LINE公式アカウント
今や、殆どの人がLINE(アプリ)を利用しています。LINE公式アカウントは、友達として登録されているユーザーにクーポンを含むさまざまな情報配信ができるサービスです。基本的にフリープランといって月額0円・無料メセージ1,000通(迄)からスタートして、友達が増えた段階で有料プランに切り替える仕組みとなっています。
3.3 各種SNS
SNSマーケティングで活用されているのが、インスタグラム、facebookなどです。特にヘアスタイルやネイルなどの美容系は、写真・動画が多い認知度が高いインスタグラムでクーポンを活用すると効果的です。例えば、インスタグラムのストーリーで利用できるアンケート機能(投票機能)が付いているのでユーザーに回答してもらいます。そのアンケートに回答してもらったユーザーに期間限定でクーポンを発行するという活用も良いでしょう。そうすることでフォロワー数の増加も期待が持てます。
3.4 紙媒体によるクーポン
紙によるチラシやフリーマガジンなどと一緒にクーポン券を配布する方法はアナログですが、効果はあります。美容サロンを探そうと思っていないところで、駅構内などにあるフリーマガジンを手に取り、クーポン券を見つけた際にはお得感が増してお店に行ってみようと思われます。
4.クーポン配布の注意点
宣伝費をかけて割引クーポンを発行しているだけでは、経営が困難になります。お客様が通ってもらえることはとても有難いのですが、安い価格状態のままでの来店が続くと赤字になってしまう可能性があります。クーポンを発行することで効果を得るためには、以下のような注意が必要となります。
①有効期限・配布日程を設ける
クーポンは集客やリピートしてもらうためのツールですが、頻繁に割引を実施していると「常に割引をしているお店」とお客様は認識してしまいます。よってクーポンの配布が無い時は行かない、直ぐにクーポンが発行されるので価格が安くなるまで待っていようと思われてしまいます。そのようなことを防ぐためにもクーポンを配布する期間を決めておきましょう。
また、土日祝を避けた平日にしか来店できないお客様をターゲットにしたクーポンを用意すると効果的です。お客様の行ける日程が平日に限定されている場合、土日祝のように混雑することはないのでスタッフとの信頼関係が築きやすくなります。技術や接客による満足度が高ければ長期間リピートしてもらえる確率が高いからです。
更に、クーポンの有効期限・条件は必ず正確に掲載しましょう。間違った内容を掲載してしまうとトラブルの原因になります。
「平日の○時から○時まで利用限定」などの条件を指定する
割引は年月日まで可能と正確に表示する
②既存のお客様への定期的なクーポン配布
一般的には、新規顧客やリピートに焦点を当てたクーポンの発行ですが、既存客へのクーポンも忘れずに配布しましょう。「お誕生日月クーポン」や高めのメニューで「1度きり体験(お試し)クーポン」を発行することで、来店頻度が上がり効果が得られます。これから長年のリピーターとなってもらえる可能性は高いので、既存客はとても大切な存在です。
③割引金額の見直し
クーポンの割引金額に限度額はありません。そのため利益とのバランスを意識するようにしましょう。美容室やネイル、エステティックなどの美容サロンは、一般的に20%オフが多いです。それ以上の値引きをしている店舗もありますが、限られた日数(3日間限定など)や年に数回程度と設定していることが多いです。常に値引きをしてしまうと、通常料金が高く感じられるので、割引金額と期間の見直しすることをお勧めします。過剰な値引きにならないように注意しましょう。
さいごに
お客様にとってクーポン利用の目的は、安い価格で施術ができるメリットがあることです。一方、お店側のメリットは集客・リピートによる効果を得ることです。クーポン効果を得るためには、ターゲットによって割引の掲載内容の工夫をしなければなりません。適切なクーポンを配布することで長期的な集客に繋がり、効果が得られることになるでしょう。