働き方改革の取り組みで飲食店は変わる!実践できる働き方のポイントを解説

飲食店業界は長時間労働で拘束時間が長い、そして休日が少ないというイメージがありますが、現在もこのような状況が続いているのでしょうか。数年前から「ワークライフバランス」という言葉をよく耳にします。ワークライフバランスとは仕事とプライベートを調和させた柔軟な働き方を意味します。このワークライフバランスを実現するためには働き方自体を改革しなければなりません。この改革を「働き方改革」と言います。働き方改革は飲食店業界の労働時間や休日・賃金・格差是正など見直すべき課題が大いに関係しています。
今回はこの働き方改革について飲食店がどう取り組むべきか、実践できるポイントなどを解説していきます。
ぜひ、参考にしてみてください。

1.なぜ飲食店の労働時間は長い?

飲食店業界は他業界に比べて労働時間が長く仕事がきついというイメージがあります。通常、一般企業では1日8時間労働で休憩1時間という勤務体制が多いでのですが、飲食店の場合は8時間という限られた時間内で業務を終わらせることは難しいのではないでしょうか。例えば閉店時間になってもお客様が帰らないこともあるため何もしなくても労働時間となり、そうなると当然退勤時間も遅くなってしまいます。
また、労働時間が長くなる原因は以下のような作業の発生によるものでもあります。

  • 開店準備・閉店後の片づけ
  • 翌日の仕込み・ランチ後のディナー準備
  • レジ締めによる売上の会計処理
  • 人手不足による業務負担、業務に時間がかかる

上記のような業務は勤務時間内とされていますが、ほとんどが8時間労働を超えています。

■例えばディナー準備のためランチ休憩時間が1時間もとれない、閉店時間が過ぎてもお客様が長居することで後片付けの時間が遅くなるといったことです。単純に拘束時間が10時間以上であれば2時間以上の休憩をとる必要があります。しかし毎回2時間の休憩をとっている従業員は少ないのが現状です。

■長時間労働は人手不足による原因もあります。店舗の規模に応じたスタッフ数の確保ができていなければ、各個人に業務の負担が大きく影響し時間がかかってしまいます。実は飲食店の人材不足は数年前から深刻化しています。経営者は人材を確保して労働者の負担を減らすことを検討しなければなりません。飲食店の長時間労働という定着したイメージを崩すことで、従業員の定着率アップや優秀な人材を呼び込むことに繋がります。

2.働き方改革とは?

2019年4月1日から「働き方改革法案」が施行されましたが、この法案は飲食店の労働時間や有給休暇取得・人手不足などの課題に関係しています。「働き方改革」とは、働く全ての人が個々の事情によって多様な働き方を選択できるようにするための改革という考えです。
(参照:厚生労働省「働き方改革のチェックポンをチェック!
大きな目的は、これから解説する3つの課題を実現するための改革になります。

2.1 労働時間の見直し(残業時間に上限規制)

働き方改革の施行によって月45時間、年間360時間という残業時間の上限基準を設定しています。労働規制は1日8時間の週40時間ですが、これを超えると残業代として労働者に支払わなければなりません。しかし、一定の労働時間を見越して残業代が固定給に含む場合があります。この場合は賃金規定で定められた固定残業代相当の時間を超えて残業した分は支払う必要があります。
但し、飲食店など繁忙期による多大な業務量が発生した場合は例外として以下の規制が設けられています。

  • 時間外労働のみで年間最大720時間
  • 時間外労働と休日労働を含め月最大100時間未満
  • 時間外労働と休日労働含め6カ月までの労働で月平均80時間以内
  • 時間外労働が月45時間超可能である期間は年6か月が限度

※上記に違反した場合は、罰則が科せられる恐れがあるので注意しましょう。

(引用:厚生労働省の「残業時間の上限規制」)

2.2 年次有給休暇の取得義務化

働く全ての人が有給休暇を取得できるように義務化することです。
これは正社員だけではなく飲食店で働くアルバイト・パートに対しても下記2点の要件を満たしていれば、有給休暇を付与しなければなりません。

  • 入社後6ヶ月経過している
  • 全労働日の8割以上の出勤をしている

雇用者は、10日以上の有給休暇付与される労働者(パート・アルバイト含む)に対して、年5日は有給休暇を取得させる義務があります。この5日間は労働者が自らの意思で有給休暇を取得している以外は、雇用者が時季を指定して労働者に有給休暇を取得させる必要があります。
(詳しくは⇒厚生労働省 年次有給休暇取得捉進特設サイト

2.3 非正規と正社員の格差是正

アルバイトやパート、有期雇用労働者といった非正規雇用と正社員の待遇格差が生じてはならないといったものです。例えば、正社員の能力や今までの経験によって賃金に差を付けていることがよくありますが、アルバイトやパート、有期雇用労働者に対しても経験・能力の蓄積によって基本給のランク付けを定めなければならないということです。また、正社員には退職金制度があるのに対し、フルタイムで働いているパートやアルバイトなどには退職金制度がないケースも同様です。待遇格差があった場合には、その違いを説明することを事業者は義務付けられています。説明内容によっては待遇格差が不合理となり、損害賠償責任を負うケースもあります。

3.労働環境の改善方法

労働環境を改善させていくには、先ず経営者の意識改革から始めてみましょう。

  • 長時間労働(時間外勤務超え)をしている従業員の業務をチェックする
  • 人手不足が生じたときはスタッフを募集する
  • シフトの見直し、従業員を交代で休日を取得させる

従業員の長時間労働は人材不足によって業務量が増えていることが要因のひとつです。人材不足はお店を回す上で料理を運ぶのが遅くなる、オーダーを取りに行けない、調理に時間がかかるなどお客様を待たせてしまうといった悪影響がでてしまいます。雇用者は人が足りないと感じた時は、人員の確保することが重要です。
また、シフトの見直しも大切です。出勤日が過剰に入っている従業員に対しては交代で休ませるようにします。極力全ての従業員が平等に休みを確保できるようにしましょう。
経営者が労働時間の規制などを正しく理解した上で改善を意識しておくことで、労働環境における問題を回避することができます。

4.働き方改革導入で時代にあった飲食店を!

現在、コロナ禍による緊急事態宣言も解除され、多くの飲食店が営業を再開しています。今この時期に働き方改革を飲食業界に浸透させ、長時間労働の是正や多様な働き方の環境作りをするにはとても良いタイミングではないでしょうか。飲食店で「働き方改革」を実施することを必要としているか必要としていなか、調査したところ「必要とする83.4%、「必要としていない16.6%」という結果になりました。また、従業員への待遇面においての見直しをした内容の調査結果も紹介します。
(以下参照:飲食店リサーチ


<働き方改革を必要とする理由>

  • 拘束時間が長く残業が多く、賃金が安い
  • 長時間労働が続くため離職率が高い、優秀な人材の確保が難しい

長時間労働のため採用してもすぐに辞めてしまうことが多いので、長く仕事を継続してもらうためにはシフト制にするなど労働時間の短縮をしなければなりません。働き方改革を取り組む必要性は労働時間や賃金などの問題を改善するためだと考えられます。


<働き方改革を必要としない理由>

  • 労働時間の短縮を実施すると利益がでない

飲食店に働き方改革を導入すると利益率アップに繋がらない。労働時間の短縮は限界があるということが多いようです。

引き続き働き方改革の取り組みをした待遇面の内容は「給料の引き上げ75.9%」、「シフト制の導入42.6%」、「休日の増加36.1%」という調査結果になりました。

最低賃金は毎年10月をめどに改定されている影響もあり、従業員の賃金引き上げを実施している飲食店もあります。労働時間の短縮や休日増加は柔軟な勤務体制を行うためにシフトの導入を取り入れたということです。何れも働き方改革を実施することで、従業員のモチベーションアップに繋がると言えるでしょう。

さいごに

いかがでしたでしょう。今回は飲食店が取り組むべき働き方改革について解説しました。飲食店の長時間労働などは利益を出すため必要不可欠という経営者の方もいらっしゃるかと思います。しかし、働く基盤である労働環境を整えてから、売上・利益向上の施策を考察みては如何でしょうか。
働き方改革の取り組みによって、これからの飲食店業界の変革を求められていると考えても良いでしょう。

この記事を書いた人

広田 淳