飲食店のテラス席は多岐に渡り効果が得られます。
通行人へ店内の様子を伝えられ、そしてターゲットを絞った集客に繋がりやすいのも魅力のひとつです。しかし、設置するためにはさまざまなルールがあり、基準を満たすことを条件とされています。
今回はテラス席の設置条件やメリットなどを取り上げていきたいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
1.テラス席とは
レストランやカフェでよく見る背景のひとつであるテラス席。店内と隣接する屋外に椅子とテーブルを置いて解放感溢れる空間によって作られるテラス席は需要が高まっています。
外国(特に西洋)では公共空間が車道・歩道機能を果たす以外に飲食や交流といった活動の区間と捉えられています。日本ではシッティング形式で個室を好む傾向にありますが、最近ではテラス席の解放感から公共空間の共用(有効利用)として飲食することを好む人が増加しています。欧米のように「テラス席=交流の場」と少し意味合いは異なりますが、。日本では「開放的な空間の雰囲気」として捉えているところがあります。
ただ、難点があって季節や天候によって需要が左右されることが多いことです。
天候や気温の変化によってテラス席が難しい場合は、その場で着席しても支障のない対応策をとるか、もしくはその期間だけテラス席をクローズするかの判断も必要となってくるでしょう。
テラス席にはお店側がどれだけ細かく気遣いができるかお客様の入店判断の基準となることもあります。屋内席にはないテラス席を有効活用してみる価値は大いにあるでしょう。
2.テラス席の設置条件
テラス席の設置を検討されている飲食店経営者は多くいらっしゃいます。ただし、テラス席の設置には基本的な配置条件があります。
ぜひそのルールに従って素敵なテラス席を設置してみてはいかがでしょうか。
2.1 テラス席の座席数
基本的にテラス席数は屋内席数より少なければなりません。当然面積に関して屋内規模を超えない範囲として設計する必要があります。これは急な悪天候や何らかの理由で屋外から屋内にお客様が移動しなければならないからです。
天気のいい日には、テラス席を好むお客様が増えるため客席を増やしたいところですが、最小限の範囲で納めるようにしましょう。
2.2 衛生管理の徹底化
屋内の客席に比べて屋外の客席は目の届きにくいこともあります。そのため、衛生面での管理を怠ってしまいがちです。テラス席は風でゴミや虫などが入り込みやすいため、設置条件として客席範囲をこまめに清掃する必要があり、ゴミを歩行道路まで広がらないようにしなければなりません。以下のように注意すると良いです。
- 食べカスなどのゴミが多くなるためこまめな清掃
- 虫よけの一環として小さなハーブなどの植物をテーブルに置く
- ゴミなどは歩行道路まで広がらないようにする
- テラス席を活用していない場合は、汚さないためにもテーブルと椅子を重ねて収納する
2.3 屋内席と屋外席などの隣接距離
テラス席は店内と隣接していなければなりません。屋外席はお客様や店舗従業員が行き来する場所であるためです。そして先述したように衛生管理を行うためにも目の届く範囲に設置しなければなりません。
- 歩道範囲に客席を設置するため歩行者が通行できるスペースを確保する
- 近隣にある快適な生活者を阻害する場所に設置してはならない。※住民区域である場合は防音・防臭・防煙などの対策をとる
- 深夜での営業は近所迷惑になるので控える
2.4 テラス席設置の手続き
飲食店(喫茶店含む)営業でテラス席を設ける際には「屋外客席設置届」を各自治体の保健所に提出しなければなりません。ただし事前にテラス席設置の工事着工前に設計図(下記参照)持参で保健所に相談し、認められた上での届出になるので注意しましょう。
参照⇒東京都福祉保健局・保健所「屋外客席の設置」
また、道路を活用したテラス席を設ける場合には「道路占用許可申請書」の提出が必要となります。これは現在営業している飲食店の一部をテラス席にしたいなども含まれています。ただし、店舗の敷地内であれば不要となります。
参照⇒「国交省」路上イベント、オープンカフェなど道路空間の有効活用に資する道路占用の取扱い
3.テラス席設置のメリット
テラス席を設けることで、店舗にとってどのようなメリットあるのかみていきます。
3.1 集客が見込める
テラス席は屋外に設置しているので通行人の目に留まりやすく、少し離れた場所からでも店舗の様子を伝えやすいので集客効果に繋がります。
店内の混雑状況や客層、料理内容なども分かりやすく、通行人の興味を惹くような配置や装飾などで入店を促せると良いでしょう。特に新規顧客にとってテラス席は気になり、今度来店してみようと思う人が多いです。
3.2 季節を体感できる
四季の訪れを感じさせる魅力のひとつであるテラス席は、気温や天候などの変化はあるものの以下のような自然のぬくもりを体感できるため人気があります。
- ★春(3月後半ごろ~5月)・・・ぽかぽか陽気には屋内席より屋外席を希望する人が多くなり、春風を求めて順番待ちしているところがよく見られる。
- ★夏(初夏の6月~9月)・・・夏のテラス席は人気です。直射日光を避けるためにパラソルやシェードを活用することで日陰を作り、気配りのできるお店という印象を与える。
- ★秋(10月~11月中旬ごろ)・・・夏の暑さから涼しさを感じる秋に入り、秋風の訪れでテラス席を求める人が多くなる。
- ★冬(12月~3月中旬ごろ)・・・1年の中で一番落ち着くテラス席、冬だけテラス席をクローズしているお店もあります。ただし、最近ではストーブや毛布を活用することで屋外席でも人気を集めています。気遣いで他店にはない差別化を図れるチャンスでもあります。
3.3 開放感によるリラックスができる
テラス席は、壁で囲まれていないので外の風を肌で感じることができるので開放感があります。テラス席の開放感は以下の機能を果たしています。
- 障害物がない空間は開放感を得る
- 四季を通しての街の自然や通行人を眺めることができる
- 人や車などの動きを見る・人から見られているといった開放感
上記3点は、解放感+リラックス気分を味わえると言っても良いでしょう。
また、季節によるメニューを用意することで、通行人へ料理のアピールにも繋がります。開放感によるリラックスは風を逃がさない設置だけではなく、椅子やテーブルの素材にもヒントがあります。リラックスを与えるということは解放感を感じさせる空間、そして椅子などの素材選びも考慮すると良いでしょう。
4.魅力的なテラス席とは
集客などに大きな役割を果たすことができるテラス席ですが、一層魅力的にするにはどのようにしたらいいのでしょうか。また、お客様は屋外席に何を感じ、何を求めているのでしょうか。
- ★居心地の良さとリラックスできること。
- ★店舗が街と一体感していることで「華やかさ」、「自由」、「注目を集める」を感じられる
- ★暑さ・寒さなどの対策をとっているかのホスピタリティーを求めている
- ★屋外のためホコリなどで汚れやすいので、こまめな掃除などの気遣いできているか
さいごに
いかがでしたか。街中で何件か隣接しているテラス席のある店舗を見かけますが、満席と空席と分かれていることがあります。これから開業あるいは既存店でテラス席を設けようと検討している経営者は、心地よい解放感を与えられる空間を作ることが大切です。もちろんサービスと料理も兼ねてのお店ですが、配置条件を満たしテラス席の存在を把握していることが大切です。
飲食店経営で相談できる税理士が身近にいない場合、一度、BrancPort税理士法人にご相談ください。