昨今、新聞やテレビのニュースで、「SDGs」という言葉をよく耳にする方も多いのではないでしょうか。人々が豊かな暮らしを送るために、環境や貧困、教育などの課題を解決していこうという国際社会の共通目標です。ここ数年で世界の達成目標であるSDGsに貢献する企業が年々増えてきています。
この記事では、飲食店がSDGsに取り組むために何ができるのか解説していきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
1.SDGsとは?
SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略語であり、2015年に開かれた国連サミットで世界的に抱える社会、経済、環境などの問題を2030年までに解決していこうという目標です。その目標を達成にするために「17の目標(ゴール)」と「169の達成基準(ターゲット)」で構成され、地球上の「誰1人として取り残さない」ことを目指しています。ゴールとターゲットについては、外務省ホームページ内のJapan SDGs Action Platformをご参考ください。
この目標は、日本も含む先進国が積極的に取り組むことで、貧困や飢餓、教育や健康など多くの問題を抱えている開発途上国に対して支援を強化できるということです。但し、SDGsの課題は開発途上国だけではなく、地球レベルの気候変動や先進国における生産と消費、雇用など広義の課題を解決することも世界目標としています。
2.飲食店が取り組めること
最近では、レジ袋の有料化に伴いエコバッグを持ち歩く人が多くなったりと、SDGsの取り組みが目立ち始めました。こうした事例は数多くあり、飲食店における「食」に対する課題にも深い関わりを持っています。ここでは、SDGsの取り組みについて、飲食店で何ができるのか幾つか紹介します。
2.1 食品ロスの削減(生産者と消費者のバランス、飢餓を無くす)
◆SDGs17 の目標⇒「12 つくる責任 つかう責任」「2 飢餓をゼロに」など◆
食品ロスとは、過剰な仕入れによって売れ残った食材や注文による食べ残しなど、本来食べられるのに廃棄されてしまう食品のことです。特に先進国で多く発生しており、世界の食品ロスは、人が消費するために生産されている食料の3分の1(約13億トン)が捨てられています。世界の貧困地域で飢餓が発生しているなかで、食品が大量に廃棄されている状況は相応しくありません。当然ながら、SDGsの課題として食品ロスを削減する必要があるということになります。
<食品ロスの解決策>
・お客様が食べきれなかった料理は持ち帰りへの協力をする。(持ち帰りを勧める)
・過剰に仕入れてしまった食材などは、支援者と受益者を繋ぐフードバンクを活用する。
(注:寄付を受けつけられるものと受けられないものがあります)
2.2 プラスチックごみを減らす(エコバッグを利用・プラスチックを紙へ)
◆SDGs17の目標⇒「7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「14 海の豊かさを守ろう」など◆
日本では、年間900万トンものプラスチックが廃棄されています。これは石油資源の大量
消費につながり「7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」に関わる大きな問題の一つとなっています。プラスチックは、焼却することでCO2が大量に排出されるため、深刻な問題となっています。また、プラスチック製のレジ袋やストローなどが大量に海に流れ出ることで海洋汚染となり、海洋生物に悪影響を及ぼしています。海の生物がマクロプラスチック(プラスチック粒子)を誤食しまうことで、人間が有害物質を含んだ魚を食べることへの健康被害も懸念されています。
<プラスチックごみの削減対策>
・飲食店でテイクアウトを提供している場合、プラスチック製容器を紙に変更する。
・レジ袋の有料化と地球にやさしいバイオプラスチック素材の容器に変える。
2.3 フェアトレードを意識する(貧困を無くす)
◆SDGs17の目標⇒「1 貧困を無くす」「5 ジェンダー平等を実現しよう」など◆
フェアトレードとは「公平な取引(貿易)」といって、発展途上国の生産者の自立と環境の改善を目的としています。そこには、多くの女性を含む生産者と購入者の間で適切な価格で取引することを指しています。フェアトレード認証製品を利用することで貧困解消に繋がるため、欧米を中心に日本でも多くの飲食サービス業が利用しています。
<フェアトレード食品を活用>
・飲食店で提供するコーヒー豆や砂糖、チョコレート、スパイス、穀物などフェアトレード食品を使用する。
(アピールすることで多店舗との差別化が図ることができ、お客様に好印象を与える)
2.4 サステナブル・フードを取り入れる(海や陸などの配慮)
◆SDGs17の目標⇒「14 海の豊かさを守ろう」「15 陸の豊かさも守ろう」など◆
「14 海の豊かさを守ろう」は前述したプラスチックごみの削減で取り上げましたが、他にも課題があります。海の問題で人が魚を食べ続けるには、海の資源を守らなければなりません。また、陸では化学農薬を使わず、太陽・水・土・生物など自然の恵みによって栽培された農作物をオーガニックといいますが、人や環境に優しく健康に優れています。有機農業は、陸の生態系の保護や微生物の損失を阻止し、SDGsの目標達成に大きく貢献できます。
<海・陸を豊かにするために>
・MSラベル(水産資源と環境に配慮した漁業で獲った天然物)もしくはASCラベル(社会と環境への負担を最小限にして育てられた養殖物=.サステナブル・シーフード)の2つのどちらかを選択する。
・人の健康や環境に配慮したオーガニック食品を取り入れる。
3.SDGsに取り組む飲食店へのメリット
今やSDGsの課題に個々が出来ることを考えた上で行動を起こすようになりました。1人でも多くの人が出来ることから取り組めば、世界環境への貢献につながります。また、冒頭にも述べましたが、多くの企業や飲食店が環境、社会、健康などを配慮するためにSDGsに取り組む動きがでてきています。ここでは、食に深く関わっている飲食店が活動することで(飲食店が)得られるメリットをみていきます。
①信頼性の向上、集客に繋がる
SDGsの環境問題や貧困問題など多くの課題と向き合って、活動することにより信頼できるお店として好感が持たれます。信頼性の向上に繋がることで、リピーターを獲得できる可能性が多いにあります。
②コスト削減
食品ロスを無くすために過剰な仕入れを抑えることで、コスト削減に繋がります。
環境問題による対策を考える際、個々が水道光熱費の削減を意識するようになります。
③従業員のモチベーションアップ
お店で働く従業員がSDGsの取り組みに共感することで、食に対する意識が高まり仕事への満足度もアップします。また、環境問題などに取り組む職場で働く従業員にとってお店が魅力的に感じられ、改めて信頼できる店舗だと認識します。良い職場環境で働くことは、モチベーション向上に繋がります。
さいごに
いかがでしたでしょうか。ほんの一部ですが、飲食店ができるSDGsの取り組みを紹介しました。未来なる豊かな地球のために環境、社会、貧困などの問題解決に向けたアクションを起こす飲食店は今後も増えていくと考えられます。その活動を発信していくことで更にSDGsの認知度が上がり、課題解決のために取り組みは広まっていくことになるでしょう。