どんな業界でも店舗を持っているサービス業には、安定した常連客の存在は大切です。
そんななか、特に個人店の飲食店にとっては、なくてはならない存在ではないでしょうか。
常連客との接し方次第で売上UPの実現に期待がもてることもあります。
今回は、常連客を獲得と増やし継続してもらうための手法と付き合い方などを解説していきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
1.飲食店にとっての常連客
飲食店にとって常連客は欠かすことのできない存在ですが、明確な定義はなく「飲食店を含む興行場、遊戯場などに高頻度で来店するお客様」のことで、何回目から常連客になるといった定義はありません。
週に3~4回または1回、月に1回または2か月に1回など、来店頻度が数か月以上通い続けると常連客と判断しても良いかもしれません。
定期的な来店数の目安が5回以上であれば常連客としている店舗が多いようです。
特に繁栄店では、常連客を増加させることで経営継続の目標のひとつとしていることが多いです。
なぜならば、パレートの法則でもあるように「80:20」という「売上の8割は全体を構成されている2割の常連客から生み出されている」と言われているからです。
飲食店にとっての常連客は大切な存在である分、お店側はお客様の趣味嗜好を知ることで常連客として継続してもらえる秘訣でもあります。
2.常連客の獲得方法
新規顧客は獲得できても2回目以降が続かないと嘆いている飲食店経営者も少なくないはずです。お客様がお店の何に興味を抱いて期待をしているのか知ることが大切ですね。
ここでは、常連客の獲得方法と継続してもらえるための施策を解説していきたいと思います。
2.1 スタンプカードやクーポンなどの配布
常連客の獲得方法として挙げられるのが、クーポンやスタンプカードを活用することです。これらは集客に繋がり、次回の来店を促す役割を果たします。実際にどのような効果があるのかみてみましょう。
〈スタンプカード〉
- 来店頻度を上げるためリピートの促進
- 顧客満足度の向上
- 顧客の囲い込み効果(デジタル化にすることで来店しやすくなる)
〈クーポン〉
- 他店との差別化(時期による特典を配布すると更に効果的)
- 客離れ防止や再来店の促進(スタンプカード同様デジタル化にすると効果的)
- 割引やサービスクーポンは豊富な種類を用意することでお客様の目に留まる
スタンプカードは紙でもらいたいというお客様もいるので、デジタルと両方用意して様子をみてみましょう。デジタル化する際にはクーポンやプレゼントの利用ができるLINE公式アカウントなどを活用してみても良いでしょう。
2.2 イベント開催
飲食店のイベント開催目的は、主に集客と認知拡大です。また、定期的に開催をすることで常連客を飽きさせない、そしてお店との繋がりが深くなるにつれて参加しやくなります。
しばらく来店していないお客様に告知することで、思い出してくれて「行ってみよう」というきっかけ作りにもなります。
イベント作りは以下の方法で行うことで店舗が好印象になり、リピート集客に繋がります。
- ①日頃の感謝を込めて、常連客同士の関係構築としてコミュニティの場を作る
- ②常連客の満足度アップのため、お客様の趣味嗜好に繋がるイベントを開催する
- ③マンネリ化からの脱出で楽しさを提供
- ④スタッフのモチベーションも向上する
楽しかったと思わせるイベント開催は、必ず次につながります。単にイベント告知をするだけではなく、来店時の特典や興味を惹くポイントを押さえる工夫をすると良いでしょう。
2.3 コミュニケーションの取り方が鍵
常連として認知されているお客様のなかには、親近感や優越感を持っている人は少なくありません。しかしその一方でその認定に抵抗感を感じるお客様もいらっしゃいます。
特別に挨拶されたりすると「行きたくなくなった」「恥ずかしい」など感じてしまうこともあり、特に一人で来店されているお客様によっては「話かけてほしくない」と思うこともあるようです。慣れ親しむことは良いのですが、常連と認定する時にはお客様の気持ちを察することも大切です。
常連客を獲得するには、お客様とのコミュニケーションのなかで、どのような反応をするかを見極めながら会話をすることが鍵となります。
2.4 常連客が重視するポイントを知る
お店を選んで来店するということは、何かの決め手があるはずです。そして常連となるにもポイントがあります。
ここでは、飲食店の常連客が重視するポイントをお伝えしましょう。
- 料理➡常連客は味の変化に敏感です。常に落ち度のない料理に魅力を抱く
- 価格➡料理とサービスに見合った価格であるか
- サービス(接客)➡適切な対応であるかどうか(ワンオペ店の場合、忙しい時のお声かけなどが必要)
- 居心地➡特に個人店などは落ち着く、客同士の距離感などが優先
上記のようにポイントを挙げましたが、飲食店としての基本的なことです。
お客様は個客であって、一人ひとりの感じ方が異なります。それぞれのお客様の好みや満足度を把握しておくことで、心地よくなり常連となっていくことになります。
3.常連客の付き合い方
定期的にお店にお客様が来店してくれることは、お店にとってはありがたいものです。
しかしながら、店舗側では常連客の来店が途切れないように、過剰に接近してしまいがちです。前述したように常連客の感じ方は一人ひとり違い、親しみ過ぎると悪影響を与えてしまうこともあります。
ここでは、常連客とどの程度の距離を保っていけばいいのか解説します。
- プライバシーの尊重:無理に話しかけたり、プライベートなことを過剰に聞かないことです。
- 常連客の要求を察する:お客様は自分のペースで飲食をして会話を楽しみたいと思っている人が少なくありません。親しみを押し付けるような干渉は避けるようにしましょう。
- 来店の感謝を表す:特別感を与えるということは常連客に対する敬意の表れでもあります。
- 過剰な親切:新規顧客や他のお客様が疎外感を与えるような常連客に対して過剰な親切をしないように注意しましょう。
常連客との距離は「適度な親しみと特別感を表す」「プライバシーの尊重」のバランスを保つことが大切です。他のお客様も常連客と同じように大切なお客様です。過剰な特別扱いは避けて自然に振舞うことができれば心地よい距離感が生まれます。
4.常連客離れの回避
常連客の獲得をするための施策を実行し、増やす効果を得た後でも次なる対策を考えなければなりません。常連客離れの防止対策の検討です。常連客が一時期増えたけど、最近は減少傾向だと嘆いている経営者もいらっしゃいます。
客離れの主な原因は下記のような要素がみられます。
①お客様による都合
「引っ越しなどで通いづらくなった」「経済的問題」「好みの変化」など、あらゆる理由が挙げられます。
②料理やサービスの質が変わった
店舗側で気が付かなくてもお客様は敏感です。今一度、料理の味や量、サービスの在り方など状況確認をした上で改善策を考えましょう。
③内装や客層が変わった
数年前より店舗全体に居心地の良さを感じて通い続けていたのに、近頃お店の雰囲気が変わったことで違和感を抱き来店されなくなるお客様もいらっしゃいます。
④価格が上がった
告知無しで価格が上がっていることで、次回の来店が無くなったというケースがあります。
「お店に来なくなった」「来店頻度が減った」などの理由には、店舗側で改善して解決できるものとできないものがあります。
先ずは常連客が減った原因を把握した上で、改善できるものを優先して改善対策の実行をお勧めします。
さいごに
いかがでしたか。常連客は飲食店にとって売上UPを維持させてくれる非常にありがたい存在です。適切な獲得方法をすることで常連客は増えていきますが、末永く来店してもらうためには両者(お店側とお客様)の良好な関係を築いていかなければなりません。そのためには一定の距離感を保つことも念頭に入れ、お付き合いしてみてはいかがでしょうか。