飲食店の仕入れ先を選ぶポイントとは?~業者別に特徴を解説~

飲食店にとって食材の仕入れは欠かすことができません。仕入れ先は小売店や市場、スーパー、卸売業者など多数ありますが、購入する際に最も重視するのは食材の鮮度やコストの安さではないでしょうか。しかし、仕入れ先の選択肢が多岐にわたっているため「どうやって選べば良いのだろう?」と悩まれている方が多いです。今回は、仕入れ先の選定ポイントや業者別の特徴などを解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。

1.仕入れ先と仕入れサイクル

食材の仕入れ先を選ぶタイミングは、「開業時」、「見直し」、「開拓」などさまざまですが、お店の規模により、仕入れ業者や仕入れサイクルが異なります。一般的に売上が多い飲食店ほど卸売市場から仕入れる傾向にあります。仕入れサイクルにおいては鮮度を重視している食材は毎日仕入れていることが多いですが、保存性の高い食材(例えば玉ねぎやじゃがい等の野菜)は仕入れ頻度は低くなります。その一方で、小規模(個人店)になるとスーパーや小売店から仕入れることが多く、2~3日おきのサイクルで仕入れる頻度が少ないことが分かりました。上記は全ての飲食店に関係するとは限りませんが、過剰に購入しないことやお店が求める条件の仕入れ先を見つけ出すことが大切です。

2.食材の仕入れ先の特徴

飲食店でどんな食材を仕入れるか決まったら、次は仕入れ先を選定しなければなりません。ここでは、幾つかある仕入れ先の特徴などを解説していきます。既に付き合いのある業者に決まっている方でも、見直しや開拓を検討される際に参考にしていただけたらと思います。

2.1 小売店・市場

小売店は店舗から近い場所にあることが多く、スーパーや八百屋などで手軽に買い出しができ、食材を手にとって吟味して選べることが特徴のひとつです。特に精肉店、鮮魚店、八百屋などでは、新鮮な野菜や魚介などを購入することができるためとても魅力的です。また、近年では、産地直送の珍しい野菜などをスーパーで取り扱うことが多くなりました。ただし、業務用の仕入れ先に比べると価格は安くありません。市場は食品の「台所」と言われるほど品数の多さと鮮度の高い食材が揃っています。目利きのある仲卸業者との対話によって仕入れることができるのはとても魅力です。

<利点>
・スーパーや商店は営業中に食品を切らしてしまったとき、直ぐに買いに行ける。
・市場は小売価格より安く仕入れることができる。
・市場・小売店とも商品を見て質の良し悪しの確認ができる。

<欠点>
・スーパーは配達不可。(八百屋や魚屋、肉屋などは配達可能なケースもある)
・小売店への買い出しによる時間のロス。
・市場は定期的な休みが(週1~2日)ある。

2.2 業務用スーパー

業務用スーパーはプロ用の商品が多く、豊富な品ぞろえと低価格なことが特徴です。
(※プロ専用の登録制(会員制)による「メトロ」などがあり、購入した商品はお店まで配送が可能です。)

<利点>
・豊富な品ぞろえと低価格なこと、手にとって商品を確認できる。
・大量に食材を購入できる。
・他社との価格競争によって値段が安くなる場合がある。

<欠点>
・近隣にない場合には、遠方まで買い出しに行かなくてはならない。
・掛け払いに対応していないケースがある。

2.3 卸売業者

卸売業者は担当営業が付いているので、欲しい食材の見積もりを発行してもらえます。同時に複数の業者に見積もりを発行してもらい、比較して価格の安い業者を選ぶことができます。また、価格交渉を経た結果の仕入価格で食材を購入することが可能です。

<利点>
・豊富な品ぞろえと価格交渉次第で安く購入できる。
・店舗までの配送と掛け売りの対応が可能。
・営業担当が付いているので、大量発注や見積もりなどの融通が利く。

<欠点>
・小ロットの対応は不可なことが多い。
・営業担当のレベルにより差異が生じるため、さまざまな対応(融通)にも影響がでる。

2.4 カタログやネット通販

カタログやネット通販は、どこに居ても手軽に注文できるので便利です。食材の情報はもちろんですが、価格(非公開の場合もあり)も掲載されているので注文する際に仕入額の計算ができ、他社との比較も可能です。また、個人店は小ロットでの配達が可能な仕入れ先を探すことで、食品ロスを減らすことができます。
(※品ぞろえ豊富で24時間対応365日注文可能な「食彩ネット」などがあります。)

<利点>
・掛け売りに対応していることが多く、小ロットでの購入ができる。
・インターネットによるスピートを利用した食材情報(セールや新商品情報)が得られる。
・幅広い商品のラインナップから選定できる。

<欠点>
・仕入れ先に出向くことはできないので、直接目で見て手にとって選ぶことはできない。
・価格交渉は不可能。食材の鮮度や質が安定しないことがある。

2.5 生産者からの仕入れ

ネット販売の普及により、生産者から直接仕入れることができるようになりました。
実は、飲食店の過半数が産地直送の食材を取り扱っていると言われています。
産地直送は、生産者や生産方法が分かるので品質へのこだわりや新鮮、安全というイメージの強い食材をブランディングとしてお店に提供することができます。また、直接産地を訪ねて仕入れる場合、生産者の声が聞けるのでメニュー開発に繋がることもあります。
(※生産者と飲食店(消費者)を結ぶ「食べチョク」という食材を提案してくれるサイトなどを利用しても良いでしょう。)

<利点>
・市場にはないこだわりの食材(有機栽培や無農薬栽培など)を入手できる。
・生産者の名前や特定産地をメニューに記載することで、お客様に興味を持ってもらえる。
・食材が新鮮でなおかつ安全、そして価格がリーズナブル。

<欠点>
・お店に合った生産地を探す手間がかかる。
・特に野菜や米などは気候変動に影響を受けやすいので、不作年には注意が必要。

3.最適な仕入れ先を選ぶために

仕入れる食材の品質と価格は飲食店にとって重要なことです。飲食店で食材の仕入れ先に最も重視するのは「仕入価格」が約89%、「品質」が約86%という最も高い数字がでています。次いで、小ロットでの仕入れ対応や配達条件、決済方法などが挙げられています。このように仕入れ先を選ぶポイントは幾つかありますが、多くの経営者が食材の仕入れ先の選定に頭を悩ませているのではないでしょうか。
ここでは、仕入れ先を選ぶためのポイントを解説します。

◇品質と価格のバランスを考える
一般的に飲食店の原価率は30%が目安だと言われていますが、原価率の高い飲食店は利益を出している傾向にあります。ここで考えなければならないのが、原価率が高くて品質の良い食材を使用するのか、原価率を抑えた食材を優先させるのかということです。
ランチとディナーの客単価は異なることが多いので、同じメニューであっても使用する食材の価格を変えていくのも仕入れる時のポイントです。

◇小ロット可能で配達に対応してくれるか
個人店の場合、小ロットでの仕入れが対応可能であることが重要ポイントです。また、仕入れ先がお店の配達エリアにあるか確認しましょう。配達ルートの近くにお店がある場合は、小ロットで低コストの可能性が高くなります。

◇お店が求めている決済方法
仕入れ先によって支払いが現金や振り込みなどあります。お店の資金繰りを考えると「支払いサイト」は長いほうが経営する上で余裕がもてる傾向にあります。お店の条件に合った決済方法であるか確認しましょう。

◇その他のポイント
・食材の種類によって仕入れ先業者を各2社と契約をすることで、価格や品質の比較ができます。
・卸売業者との価格交渉は利点と前述しましたが、仕入れる度に交渉はしない方が良いでしょう。担当営業と付き合いが長くなると良好な関係を保つため、価格交渉は最初の1回だけ、もしくはしない飲食店も少なくありません。お店のわがままを多少聞いてもらえる関係性のほうが双方にとって良い環境と言えるのかもしれません。

さいごに

いかかでしたでしょうか。今回は仕入れ先による特徴を中心に、選定ポイントを解説しました。食材のこだわりや品質と価格のバランス、配達方法などを考え、各仕入れ先の特徴を理解した上で選定することが大切です。また、「売り」となるメニューの食材を中心に仕入れ先を厳選し、更にその他の食材について補える業者を選ぶと良いかもしれません。

この記事を書いた人

広田 淳