
近年、美容院のカタチとして個室のある美容院が増加しています。
一般的な美容院はオープンタイプやパーテーションで区切られていることが多いのですが、お客様一人ひとりのスペースを確保できる個室が人気を集めています。
さまざまな理由で求められる個室美容院。増加しているものの、実際に利用しているお客様はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。また、個室美容院のメリット・デメリットはどのようなものがあるのでしょうか、みてみましょう。
ぜひ参考にしてみてください。

1.個室のある美容院とは

一般的な美容院は、待合スペースやシャンプー台のある場所にパーテーションなどで簡易的な仕切りをしていますが、壁・ドアを作って区切っているのが完全個室になります。
個室型の美容院を開業する際には、通常のオープンスペースではないため、如何にプライベート感を提供できるかが重要なポイントとなってきます。
また、完全個室やオープンスペース、半個室などさまざまなタイプがありますが、お客様にとってどれがいいのか選んでもらうと良いでしょう。
一般的に、お客様への施術は担当美容師が中心となり、施術準備やシャンプーなどはアシスタントがすることが多いです。しかし、個室のある美容院は一人のお客様に対し、最初から最後まで同じ美容師が担当してくれることがほとんどです。
全ての施術を担当できる完全個室を希望するお客様にとっても安心感・特別感が得られるようです。
また、全てを担当できる美容師にとってもお客様の髪質や雰囲気などを詳しく把握し、多くのコミュニケーションができるので、接客力の向上と技術が磨かれるでしょう。
2.完全個室の利用率
完全個室のある美容院が増加しています。これからも需要が増えれば更に個室美容院が増加していきますが、現時点で実際に利用されているお客様はどれくらいいるのでしょうか。利用していないが、いつかは利用したいと思っている人はどれくらいいるのでしょうか。これらの数字を把握することで、これから個室美容院の開業を検討されている方は知っておくとは参考になるでしょう。
実は、個室のある美容院についてのアンケートの調査結果で約6割以上の人が美容院の完全個室を希望しているという結果になりました。
下記は個室を利用したことのあるお客様の割合です。
(※半個室・プライベートサロンは除く)

個室を利用したことがあるかないかのアンケートに対して、「ある」が23%。「ない」が77%という結果になりました。まだまだ経験している方は少数派でした。
次に個室のある美容院を利用したいと思っているお客様の割合です。
(※半個室・プライベートサロンは除く)

個室美容院を利用したいかどうかのアンケートについては、「とても利用したい」が24%、「やや利用したい」38%で、全体の60%の方が利用したいといった積極的な回答がみられました。その一方で「あまり利用したくない」が31%、「全く利用したくない」が7%という数字になりました。
個室を希望される代表的な理由はリラックス感と特別感を求めていることが多く、利用したくないは緊張することからです。しかし、完全個室は半数以上の方が希望されています。これからも美容院の個室化は進むことが期待されます。
3.完全個室のメリット・デメリット

先述したように利用したいと思ってお客様は全体の6割と決して少なくありません。お客様が求める個室の理想像を叶えるためには、メリット・デメリットを把握しましょう。
◆完全個室のメリット
・プライバシーの確保
完全個室であるため、周りに他のお客様やスタッフはいません。お客様はやってみたいスタイルを本音でリクエストができるのも個室ならではのメリットではないでしょうか。
例えば、芸能人の髪型をリクエストしても周りに人がいないため、本音で言ってくれます。
他人に聞いてほしくないというお客様にとってプライバシーが確保できる場所は希望の空間です。お客様がなりたいヘアスタイルを実現できます。
・子連れでもOK
小さいお子さんや赤ちゃんを連れて美容院には、なかなか行けないという人が多いかと思います。しかし完全個室では、壁・ドアで区切られているのでベビーカー・子連れ歓迎といったアプローチができます。小さなお子さんの子育て中のお客様にとっては、リピーターになること間違いないです。
・充実したリラックスタイム
お客様が美容院に行く主な目的は「キレイになりたい」「リセットしたい」「リラックス感」などが挙げられます。この中でももっとも差別化を利用できるのがリラックス感を与えることです。完全個室の心地よい雰囲気を提供することで充実したリラックスタイムを過ごしてもらうことができます。
また、リラックスできるということは、お客さまは美容師に信頼できる状況にあり、また来たいと思ってくれます。
・アピールの場
完全個室には美容師とお客様の特別な空間です。美容師自身の腕をアピールすることはもちろん、接客サービスによる居心地よさを与えることができるチャンスの場でもあります。
個室だからこそ、技術をウリにしている確かな技術、サービス業としての丁寧なカウンセリングに満足していただけることで次に繋がるメリットが大きいのです。
◆完全個室のデメリット
・内装工事費がかかる
完全個室を設けるということは、材料を含む内装費や工期の問題があります。予想以上の費用がかからないように、明確な計画をたてることが必要です。
・他のスタッフとの連携が難しい
プライベートサロンであれば、準備・施術から会計・見送りまで全て一人で行います。
しかし、個室化は新人がいる場合に先輩美容師の接客や施術を見ることができません。
成長過程にある新人美容師にお手本をみせることも教育のひとつです。また、先輩スタッフなどの施術・接客の良し悪しの判断や分析をすることもできません。見て学ばせるという教育も必要なので、新人の学べる体制を検討しましょう。
・回転率が低い
個室のある美容院は、オープンタイプに比べてお客様の滞在時間が長くなってしまうことがあります。そのため回転率が低くなってしまうことが考えられます。
また、美容院の作業のスペースは最低でも13立方メートルの確保が必要です。個室面積のスペースを広く設置するため、客席数が少なくなってしまいます。
回転率の問題解決は、長時間滞在、客席数を考慮した上で、どのように売上向上あるいは維持できるか施策を講じていくことが必要です。
4.個室美容院の魅力
個室のある美容院はメリットとデメリットが同じぐらい存在しています。美容院の強みや利点を上手く活用することができれば、お客様へのアピールに繋がります。では完全個室の魅力はどこにあるのでしょう。お客様に提供するためには知っておきことが集客のポイントになります。
- 特別な空間演出の提供
- 十分なコミュニケーションによって、お客様の理想や悩みを聞けることができる
- 改めて美容師(スタッフ)自身の技術力・接客力を見つめ直すことができる
- 個室ならではの空間づくりという挑戦に価値を生み出せる
個室の魅力は、上記のような特別な空間であるということです。
オープンタイプの美容院にはない個室空間の魅力を提供することで、十分な集客や売上にも繋がっていくことでしょう。お客様に魅力を上手く伝えることが大切です。
さいごに
いかがでしたか。お客様にとって個室のある美容院はVIPルームのような空間です。現時点での個室利用率は少ないのですが、利用したいと思っている人は6割以上もいらっしゃいます。個室美容院が増加している中、差別化を図ることも大切です。魅力的な一室空間に仕上げてみてはいかがでしょうか
