近年、ヘアカラー専門店の需要が増え続けています。美容院でも髪染めができるのに、なぜヘアカラー専門店のニーズが高まっているのでしょうか。今注目されているヘアカラー専門店の出店を検討されている方が多くいらっしゃいます。ここでは、個人で開業をする際に知っておくべきポイントやメリット・デメリットなどを解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
1.ヘアカラー専門店を利用する目的
女性が髪染めをする割合は、30年前で約30%でしたが、現在ではその倍の約60%まで増えていると言われています。この60%という数字は、ほとんどの人が美容院とカラー専門店を併用しています。どちらにしても髪を染めるということが特別なお洒落というより日常的になってきているように見えます。
ヘアカラー専門店を利用するとき、どのような目的で行くのでしょうか。
- カットやパーマの施術を受けるときは美容院に行くが、カラーリングだけのときはヘアカラー専門店に行く。
- 市販のカラー剤を購入してホームカラーをするより、専門店で使用するカラー剤のほうが髪に良いと思うので通っている。
- 自分で染めるより専門店のプロに任せたほうがキレイに染まる。
- リタッチの場合、低価格のヘアカラー専門店を利用している。
利用目的はさまざまですが、低価格で施術してもらい自分で染めるよりカラーリストに任せた方がストレスを持たないということがわかりました。
2.ヘアカラー専門店開業前に知っておくべきこと
ヘアカラー専門店を個人で開業する際に知っておくべきことが幾つかあります。
ここでは準備段階で押さえておくべきポイントを紹介します。
2.1 資格は必要?
ヘアカラー専門店を開業する際、美容師免許の有無の必要性は以下の2通りあります。
- 美容師免許を取得している場合⇒オーナー自身もカラーの施術が可能です。
- 美容師免許の取得無し⇒経営するだけでは資格の有無は関係ありません。資格を持っていないとカラーの施術はできないが、美容師免許を持っているスタッフを雇って施術を任せてオーナーは経営に集中ができるのがポイントです。
美容院で数年間働いた経験を活かして開業もしくはフランチャイズで出店される方が多くいらっしゃいます。お店で自分が施術するのか、あるいは施術を他のスタッフに任せて経営だけに専念するかによって資格の有無は異なります。どこに焦点を当てるのか開業前に明確にしておくと良いでしょう。
2.2 美容院とターゲットの違いを知る
美容院とカラー専門店を使い分けているお客様が多くいらっしゃいますが、基本的にそれぞれの店舗に来店するターゲットが違います。何を基準にどのように使い分けているのでしょうか。
〈ヘアカラー専門店のターゲット〉
- カラーリングだけが目的のため短時間で施術を受けたい
- 周期的に白髪になるお客様は定期的に通うので、低価格のカラー専門店を選ぶ
- 髪がプリンにならないため、定期的にカラーをしたいお客様※髪がプリンとは黄色や茶色などの髪を染め、月日が経過すると髪が伸びた部分だけ黒くなる状態。
〈美容院のターゲット〉
- 時間に余裕がある、リラックスしたいなどの理由で美容院を選んでいる。
- 流行を取り入れたいというお客様
- 理想の髪質やヘアスタイル、イメージチェンジをしたいお客様
以上のように美容院とカラー専門店のターゲットは異なります。ヘアカラー専門店は「気軽に行ける」「低価格」に魅力を感じ、美容院は「イメージチェンジ」「リラックス」などを求めているようです。
2.3 お店に見合った料金設定
ヘアカラー専門店の特徴はセルフサービス・施術が早いということが挙げられます。それらに見合った価格はどのように設定したらいいのか悩んでしまいますね。フランチャイズで出店する場合は、本部でメニュー料金を決めるので料金設定は必要ありません。しかし、個人で出店する場合は、料金設定をしなければなりません。設定方法は売上目標から逆算して決めると良いです。
- たとえば月の売上目標を50万円とした場合、20日間の営業だと1日25,000円の売上になります。
- 次に1日の来店客を予想して客単価を決めます。平均来店客数(1日)10人⇒月間200人⇒目標とする平均客単価は2,500円
このように月間の売上目標から決めると、おおよその客単価の設定がでます。最終的に料金が決まったらメニュー内容やサービスに見合っているか再確認しましょう。
2.4 フルサービスとセルフサービスの選別
フルサービスはお客様の手を煩わせないためにお店側が奉仕することで、セルフサービスはお客様自身で商品を選ぶ・作業をするということです。
美容院は接客業と言われている通り、技術スキルも同様に接客力も必要なフルサービス型です。へアカラー専門店も接客業なのですが、最初のサービスとしてカウセリングなどはあるものの、最終仕上げ(ブローなど)はセルフサービスです。
低価格で短時間の施術が特徴とはいえ、ほとんどの競合店がこのようなシンプルな作業の流れになっています。リピーターや新規顧客獲得などを考えた場合、他店と差別化を図らなければなりません。どの部分にセルフサービスをおくのか、あるいかサービスに付加価値を加えるといったことです。
2.5 美容院とヘアカラー専門店の違い
美容院はカウセリングから最後の仕上げまで全て施術し、お客様の容姿を美しくするサービス業です。国家資格である美容師免許は必須となり技術スキルを持っている人が施術をします。
ヘアカラー専門店はカラーリングメニューだけを行いますが、カラーリストは美容院と同じく美容師免許が必要です。美容院との大きな違いは「スピード感と低価格」ということです。子育てや介護などで忙しい方、周期的に白髪染めをしたい方などの利用目的がはっきりしているお客様が多く来店します。時間と価格を効率的に実現させてくれるのがカラー専門店です。
3.ヘアカラー専門店開業のメリット・デメリット
ヘアカラーは、白髪染め以外にグラデーションカラー、インナーカラーなど、どちらかというと若年層によるカラーデザインの種類が細分化してきています。そのため、現在ではヘアカラーのニーズが高まってきています。開業を検討する際には、メリット・デメリットを知っておくことも大切です。
〈メリット〉
- 店舗面積20坪程度の居抜き物件で活用できる
- 時給制のパートやアルバイトスタッフを雇うことが多いので人件費の低コスト化
- コストをかけずに利益に繋がる
- キャリアのブランクがあっても比較的参入しやすい
- 白髪染メインのお客様が多いため来店頻度が高い
〈デメリット〉
- 技術を活かす施術がカラーリングだけなので、スタッフは飽きてしまう
- 美容院への転職の場合、カットがないので経験値の評価が低くなる可能性がある
- 指名予約ができない(お客様にとってマイナスイメージになることがある)
このようなメリット・デメリットを挙げましたが、如何にメリットを発揮させ、デメリットを低減あるいは改善していけばいいのかが課題ではないでしょうか。
4.ヘアカラー専門店を継続させるための施策とは
今後、より一層ヘアカラー専門店の出店が増加していくと思われます。出店数が増えれば競合店も多くなりお客様の取り合いになり兼ねません。ではどのような施策をとれば店舗継続に繋がるのでしょうか。
- これまでの客層とは違ったターゲット層を作り上げる→若年層を対象としたファッション性のあるメニューを取り入れる
- アルバイトやパートを教育する→接客業としてのスキルを磨くことによってファン層が増えて集客につながる。
- 質の良いカラー剤を仕入れる→たとえば髪や地肌に優しいオーガニック系のカラー剤を利用するなどして、お店のウリである商品またはサービスをアピールする。
さいごに
いかがでしたでしょうか。現在、ヘアカラーの多様化により顧客のカラー意識が高まっている傾向にあります。こうした中、手軽で低価格なカラーリングを求めているお客様も多くいらっしゃいます。お客様がこのお店に通っていて良かったと感じてもらえるお店作りを目指してみませんか。