- 「衛生管理の具体的な方法や基準がわからない。」
- 「お客様から衛生面に関するクレームがあった。」
- 「衛生管理の徹底が難しい。」
このようなお悩みや疑問を抱えている飲食店経営者の声を多く聞きます。
この記事では、飲食店経営における衛生管理の必要性・飲食店で行うべき衛生管理のポイントを具体的に詳しく解説していきます。
是非、参考にしてみて下さい。
もくじ
1.飲食店経営における衛生管理を解説
飲食店経営において、衛生管理は食品の安全を確保するために必要不可欠です、
厚生労働省が定める食品衛生法の改定により、HACCPに沿った衛生管理の実施が義務化されました。
【HACCPとは】
HACCP(ハサップ)とは、「Hazard Analysis and Critical Control Point」の略で、日本語では「危害要因分析重要管理点」と訳されます。
これは、食品の製造・加工・調理の全工程において、食中毒菌の汚染や異物混入などの危害要因(ハザード)を分析し、それらを除去または低減させるために特に重要な工程(重要管理点)を管理する衛生管理の手法です。
具体的には、以下の7原則に基づいて実施されます。
- 危害要因分析(Hazard Analysis): 各工程で発生し得る生物的、化学的、物理的な危害要因を特定し、分析します。
- 重要管理点の設定(Critical Control Points): 特定された危害要因を管理・制御するための重要な工程を決定します。
- 管理基準の設定: 重要管理点での許容限界や基準を設定し、これを超えないように管理します。
- モニタリング方法の確立: 重要管理点が設定した基準内で運用されているかを継続的に監視・記録する方法を確立します。
- 改善措置の設定: モニタリングの結果、基準から逸脱が確認された場合の是正措置を定めます。
- 検証方法の確立: HACCPシステム全体が効果的に機能しているかを定期的に検証する方法を確立します。
- 記録の保存: 上記の手順や結果を文書化し、適切に保存・管理します。
2.飲食店で衛生管理に取組む必要性とは?
2.1 食中毒の予防
衛生管理の主な目的は、食中毒の発生を防ぐことです。
食中毒は、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの症状を引き起こし、重症化すると死亡や後遺症が残る可能性もあります。
飲食店で食中毒が発生すると、営業停止や売上の低下、賠償責任問題に発展することもあります。
2.2 お客様に安心感を与える
清潔な環境で食事を提供することは、お客様の満足度を高める要因となります。
お店の床や壁、テーブル、食器、スタッフの身だしなみなどが清潔でないと、たとえ料理が美味しくてもお店に対する印象は下がります。
衛生管理を徹底することで、お客様に安心感を与え、リピート率の向上やクチコミでの高評価につながります。
2.3 お店の信頼性と経営の安定
衛生管理が不十分な飲食店は、食中毒や異物混入などのリスクが高まり、お客様からの信頼を失う可能性があります。
一度失った信頼を回復するのは容易ではなく、経営に大きな打撃を与えることもあります。
適切な衛生管理を行うことで、お店の信頼性を維持し、安定した経営を続けることができます。
2.4 コンプライアンス(法令遵守)と社会的責任
飲食店は、食品衛生法や関連法規に従い、適切な衛生管理を行う義務があります。
特に、HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の実施が義務化されており、これに対応しないと法的な制裁を受ける可能性があります。
また、社会的責任として、安全で安心な食事を提供することは、飲食店の基本的な使命です。
3.飲食店で取り組むべき衛生管理のポイント
3.1 調理場の衛生管理
- 清掃の徹底・・・毎日営業後に調理場全体を清掃する。定期的に換気扇や排水溝の清掃を実施する。調理器具や設備は使用後に清浄・消毒を行う。
- 食材の管理・・・温度管理は徹底し冷蔵庫は5℃以下、冷凍庫は-18℃以下を維持する。仕入れ時は賞味期限と保存状態を確認する。生鮮食品と調理済み食品を別々に保管し、専用のまな板や包丁を使用する。
- 害虫・害獣対策・・・定期的に海中駆除業者に依頼する。
3.2 スタッフの衛生管理
- 手洗いの徹底・・・スタッフは調理や接客の前後、トイレ使用後、ごみ処理後などに正しい手洗いを行う。
- 健康管理・・・毎日の健康チェックを行い、発熱や体調不良があるスタッフは業務を控える。
- 制服の管理・・・清潔な制服やエプロンを使用し、業務外では着用しない。
3.3 食品の取り扱い
- 加熱処理・・・過熱が必要な食品は、75℃以上で1分以上加熱する。冷凍食品を解凍する際は冷蔵庫内で行う。
- 料理提供前の確認・・・提供する料理の見た目や匂いを確認し、異常があれば廃棄する。
- ロス食品の管理・・・提供後に余った食品は再利用しない。賞味期限を守る。
3.4 設備の衛生管理
- 定期点検・・・冷蔵庫、換気扇調理器具などの設備を定期的に点検し、不具合があれば、修理・交換する。
- 水質管理・・・使用する水が清潔であるかを確認し、必要に応じてフィルターや浄水器を使用する。
3.5 ガイドラインの導入
- 食品衛生法の遵守・・・自治体の保健所の指導や検査に対応する。
- HACCPの導入・・・食品の安全を確保するため。HACCAPに基づく衛生管理を実施する。
3.6 お客様への対応
- 清潔な店内環境・・・テーブル、イス、メニュー表などを定期的に清掃・消毒する。
- 感染症対策・・・アルコール消毒液を設置する。ソーシャルディスタンスを確保できるように店内レイアウトを工夫する。
さいごに
いかがでしたか?飲食店経営における衛生管理の必要性・飲食店で行うべき衛生管理のポイントがご理解頂けたかと思います。
飲食店では、お客様の健康を守るために衛生管理を徹底する必要があります。
安全で信頼される店舗運営には、継続的な衛生管理が欠かせません。
この記事を参考に調理場や設備の清掃、食材の管理、スタッフ全員の衛生意識を高めて行きましょう。