飲食店では、毎日のように大量の生ゴミが排出されています。ゴミの処理方法で、オーナーは頭を悩ませていることの一つではないでしょうか
飲食店で排出されるゴミは、一般家庭の廃棄物と同じように処理することは原則的にはできません。ゴミの処理方法にはルールが定められています。ここでは、廃棄物に対しての見直しなどを含め、ゴミの処理方法や回収業者の選び方を解説していきたいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
1.飲食店におけるゴミトラブル
飲食店の業種のよってゴミの種類や排出される量は異なるものの、生ごみはもちろん、ペーパーナプキン、空き瓶・缶、ストローなど数多くゴミが捨てられています。ゴミ置き場や捨て方によって、大きなトラブルが生じてしまう可能性があるので注意が必要です。
また、飲食店では以下のようなゴミ処理に対するお悩みを抱えていらっしゃる方がすくなくありません。トラブルになってしまう前に見直しをすることが大切です。
- ポリ袋から穴が開き、中から生ごみの臭いで近隣住民からクレームを受けてしまう
- ゴミの分別が把握しきれていない
- 近隣の店舗も含め、ゴミの捨て方の影響でカラスが散乱してしまう
- アルバイトスタッフの大半が外国人のため、ゴミ処理のルールを徹底化させるのが難しい
- 粗大ごみの対応には時間が要する(粗大ごみの置くスペースが狭いので直ぐに捨てたい)
以上のようなお悩みが多くありますが、これらの改善策を検討することが大切です。
廃棄物処理の方法は後述しますが、ゴミの処理を見直すことから始めましょう。
2.飲食店における事業系一般廃棄物・産業廃棄物
飲食店のゴミは量に廃棄されていますが、家庭から出るゴミとあまり変わりません。
飲食店から排出されるゴミは「事業系一般廃棄物」にあたり、それ以外は「産業廃棄物」となります。飲食店であるゴミの処理は事業者(店舗)の責任が求められています。
ここでは、飲食店におけるゴミの出し方の見直しも含め、正しいルールに従った廃棄物の処理方法を解説していきます。
廃棄物には「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分類されており、この一般廃棄物のなかでも「事業系一般廃棄物」と「家庭系廃棄物」に分かれています。
この「事業系一般廃棄物」が、飲食店から発生する食品廃棄物となり、事業者が責任を持って適正に処理する必要があります。
一般的に産業廃棄物の除く、下記のようなゴミになります。
<可燃ごみの種類と処理方法>
- お客様の食べ残しや食材などの生ごみ
- 割り箸やナプキン、紙くず(レシートなど)、雑誌、ガラスコップなど
処理方法
- 廃棄物処理業者に回収・運搬を委託する
- 事業者(飲食店側)が自治体の処分施設へ持ち込む
- 一般的なゴミ処理券を貼って出す
<粗大ゴミの種類と処理方法>
- 食器棚やテーブル、椅子、陶器のもの
※金属、プラスチック製は産業廃棄物
処理方法
廃棄物処理業者に委託する
<グリストラップの処理方法>
- ゴミと排出される清掃で出た汚泥
処理方法
清掃もできる産業廃棄業者、もしくは一般的な廃棄物処理業者に委託する
3.ゴミ収集業者の選定ポイント
飲食店から発生するゴミは、一般家庭とは異なるためゴミ収集業者に任せる選択を視野に入れておきましょう。
しかし、「どのような業者を選べばいいのか分からない」、「コストはかけたくない」など心配されている方が多くいらっしゃいます。
ここでは、ゴミ収集業者の選択ポイントから悩み事の解消法まで解説します。
●一般廃棄物
- 市区町村のゴミ処理施設に自ら持ち込む
- 業者に委託・運搬処理を依頼する
※ただし、市区町村から「一般廃廃棄物収集運搬許可」を受けている業者のみ
●産業廃棄物
産業廃棄物は都道府県の管轄で「産業廃棄物収集運搬許可」を受けている業者のみになります。
参考まで⇒「産業廃棄物処理事業振興財団」にて業者の検索をしてみましょう。
注意点として、許可無しに業務を行っていたり、飲食店が回収を依頼した場合には、罰則や行政処分の対象になります。
●粗大ごみ
飲食店で多く廃棄される粗大ごみの種類は以下のような品目があります。
- テーブル、椅子、食器棚、ショーケースなど
- シンク、冷凍冷蔵庫、調理器具、食器、ビールサーバー、調理台など
店舗什器や厨房機器などはリサイクル、または買取してくれる業者もあるので、コストを抑えるためにも探してみるとよいでしょう。
また、粗大ごみを回収・運搬、そして処分までしてくれる業者がいますが、以下の許可が必要となります。
回収・運搬⇒「産業廃棄物収集運搬業許可」を持った業者
処分⇒「産業廃棄物処分業許可」を持った業者
廃棄物処理の目的別になりますが、上記2つの許可をもっている信頼できる業者に依頼するようにしましょう。
●廃油
飲食店のフライヤーなどの廃食油は固めて捨てずに液状のまま回収してもらうことで、リサイクルに繋がります。但し、リサイクルに適するかどうかの問題があるので、信頼できる回収業者(運搬)を選ぶようにしましょう。リサイクル品は最終的に再生業者に運ぶことになります。
ポイントとしては、廃油専門のリサイクル業者に情報を共有し委託しると良いです。
4.ゴミ処理で気を付けたいこと
飲食店で発生するゴミの処理について、問題点はいくつかあります。
ルールに従い適正に処理をしていたつもりでも、思わぬところから問題が浮上してきます。トラブルやクレームなどといったゴミ処理問題が表面化しないうちに、未然に防ぐことが大切です。
- スタッフ全員に廃棄物の処理方法をルールに従うように教育する。
- 生ごみなど臭い、液状(液ダレなど)の出し方に気を使う(袋を2重にするなど)
- 粗大ごみを移動する際の音が発生する場合は、早朝や夜間は避ける
- ゴミ袋を出す際は持ち手を残す(回収する際に持ち手がないと運びにくくなるため)
- 極力生ごみを出さないように工夫する⇒食品ロスに繋げる
例)適量注文や食べ残し(消費期限を明確に伝える)は持ち帰りの提供
上記はあくまでも例ですが、ゴミを出すことは必ずしも難しいことではありません。
ほんの少しの気遣いや工夫でトラブルなども未然に防げます。
さいごに
いかがでしたか。飲食店におけるゴミは必ず発生します。「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分けられるゴミは、許可を持っているそれぞれの回収業者に委託するようにしましょう。その際は、きちんと信頼できる業者を選択し、適正に処分することが大切です。
また、ゴミは全て捨てる発想だけではなく、その前のゴミを抑える工夫したり、リサイクルできるものもあるので、それらを視野に入れておくことをお勧めします。