閉店する飲食店に見られる前兆とは【原因を知って危機回避の対策を!】

飲食店は他の業界に比べて参入しやすいと言われています。しかし継続していくことが難しく、開業から3年目でわずか3割しか生き残れていないのが現状です。
ここで飲食店が閉店に追い込まれてしまう原因はどこにあるのか、また前兆はどのようにして現れるのか検証していきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください。

1.飲食店の継続はなぜ厳しいのか

昨今、新型コロナウィルス感染拡大により飲食業界に大きな打撃を受けていましたが、ようやく2021年9月末をもって緊急事態宣言が解除になりました。飲食店は予防対策を万全にしながらもお酒の提供が可能となり、営業を再開する店舗が増え始めました。厳しい状況を乗り越え、やっと再開したお店をこれからも守り続けたいと誰もが思っているはずです。

よく飲食店の継続は厳しいと言われています。営業年数ごとに閉店した飲食店の業態は下記の通りですが、業態によって廃業率に差があることが分かります。

(出典:飲食店.COM)

上表を見ると、左端のアジア料理店からカフェ店までの営業期間が最も短く1年以内に4割以上が閉店、なかでも回転率が高いラーメン、中華、そば・うどんに多いことが印象的です。 特に出店したい業態として人気のラーメン店は開業率が最も高いため、競合店が多くなり生き残りが厳しい状況だと言えるでしょう。
その一方で、長続きしやすいのはフランス料理店と寿司店が最も多く、3年を超え5割以上もの店舗が継続しています。その理由として調理や食材などの専門知識・技術を要するため参入障壁が高く開店件数が少ないことにあるようです。
また、帝国データバンク調査によると、2020年1~11月までに736件もの飲食店が閉店しています。この結果はコロナ禍の影響によるもので過去最多を更新しています。

(飲食店の閉店 件数推移)

業態別に見ると、最も多い居酒屋が179件で前年の161件を約1割上回り、そのほか日本料理店は75件で前年51件を20件以上に上回って過去最多を更新しています。

(飲食店の閉店 業態別内訳)

2.閉店する前兆は必ずある

飲食店の廃業率が非常に高いということが分かりました。とはいえ、数十年続いているお店も存在しています。長年営業を続けてきたお店でも幾度となく経営危機に陥った時期も少なからずあったことでしょう。様々な危機を乗り越えてきた殆どの飲食店は、「潰れるかもしれない」と思わせるような前兆があったとき、さまざまな問題を一つずつクリアしています。では、お店が閉店する前兆とはいったいどのようにして現れるのでしょうか。

2.1 料理の提供に時間がかかる

日本人はストレスなく待つことができる民族だと思われています。その証拠として飲食店の入り口付近で行列をよく見かけますね。美味しいと話題の料理のために長時間待っても食べたい欲求のほうが勝っているようです。しかし、いざ席に着いて料理の提供が遅いと今までの期待が高かった分、一気に料理への期待が冷めてしまいます。
業態・業種によって異なりますが、ランチタイムの平均待ち時間は「10分」、ディナーは「15分程度」が多く、30分以上待たされるとキャンセルされることも少なくありません。待ち時間が長いとお客様の足が遠のいてしまうのも無理もありません。

2.2 サービスのクオリティ低下

売上が伸びなければ暇な時間も増えるので、当然従業員の人数も減らしてしまいがちです。また、忙しくないお店は時給も安くアルバイトが入ってもすぐに辞めてしまい、人員が減った分お客様へのサービスが低下します。例えば「料理の提供が遅れる」「オーダーを取りに来ない」「レジで待たされる」といった現象が起きてお客様をイラつかせるばかりです。最低限のサービスが行き届いていない飲食店はお客様の来店は見込めません。

2.3 看板メニューの売上減少

飲食店の看板メニューの売上が伸びなくなったら注意が必要です。調理人が変わったり、食材の節約や代替などはこれまでの味に変化が生じてしまいます。つまり看板メニューの売上が減少したということは味が落ちてしまったと考えられます。
メニューのマンネリ化を避けるため定期的に変えるのは良いのですが、お店の看板メニューの売上が伸びている間は、たとえ調理人が変わったとしても今までと同じ味を受け継ぐようにしたほうが良いでしょう。食材を変える時は新たに看板メニューとして提供することをお勧めします。

3.飲食店が閉店してしまう原因

ここでは、閉店してしまう原因を取り上げたいと思います。生き残るためのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。

●運転資金が不足する
運転資金はお店の運営を続けていくための資金です。基本的に、開業後しばらくは赤字経営が続く覚悟が必要です。少なくとも半年分(月間固定費)の運転資金を用意しておかないと赤字経営に耐えられなくなり廃業してしまうケースがあります。

●利益だけを追求した経営
利益を求めることは大切ですが、優先順位が逆になってしまうと経営は持ち応えられません。お客様のニーズに応えられる料理やサービスといった提供ができて初めて集客に繋がり、売上が伸びて利益が得られます。利益だけを追求すると自分よがりの経営になってしまいがちになります。

●人手不足
お店で働く従業員の労働環境が悪化すると離職率が上がり、新しい人材を確保しても定着することは難しいです。少ない人数でお店を回していると、気配りが行き届かずサービス低下に繋がります。

●競合店が多い
お店の近隣に同じ業態・業種の飲食店が開店するケースは少なくありません。当然競合店が増えれば他店にはない差別化を図れないと売上の低下に繋がります。

●ブームに左右される
数年前に若い女性を中心にタピオカドリンク店が流行りましたが、現在ではブームを乗り越え、その商品を日常的に定着させているお店だけが残りました。飲食業界は次々に新しいブームが訪れては商品そのものが消えていくことがよくあります。ブームだけを重視していると閉店に追い込まれる状況をつくりだす危険性があります。

4.早めの対策が必要

飲食店は客商売です。お店の経営に行き詰まりを感じたら、先ず初めに接客を向上させることに目を向けていきましょう。料理が美味しくても接客が悪いと、殆どのお客様は敬遠してしまいます。
また、基本的なことですが次の3点を充実させましょう。基本的な配慮がなされているかでお店としての価値が変わってきます。

  • ホスピタリティ・・・接客向上により好印象、お客様に満足感を与える
  • 料理の工夫(見合った対価)・・・安過ぎず高過ぎずバランスの良い価格、独自メニューの提供、クオリティの高い料理
  • 店の雰囲気・・・居心地が良く落ち着く、清掃が行き届いている

飲食店経営は全てが順風満帆というケースは少なく、運営していく中で細かい問題点がサインとして現れます。問題が起きた時にそのまま放置するのではなく、早めに対策を講じることが重要です。

経営者が対策を講じても経営悪化が続き改善されないこともあります。その場合、傷が浅いうちに閉店するという決断も視野に入れておく必要があります。例えば毎月の固定費を抑えるため現在の店舗売却を検討した上で、店舗を縮小させて新たなお店で心機一転を図るといった方法もあります。その際は専門家(税理士など)に相談することをお勧めします。

さいごに

いかがでしたでしょうか。今回は、閉店する前の前兆とその原因を解説しました。
長く続いている飲食店はお客様にとって惹かれる何かがあるように、閉店に追い込まれる飲食店には何かしらの原因があります。閉店という事態を未然に防ぐためにも前兆が見られたら早急に原因を突き詰め、対策を講じることが大切です。

この記事を書いた人

広田 淳