飲食店におけるキャッシュレス決済導入のメリットデメリットを解説

  • 「キャッシュレス決済」と最近よく聞くが、どういう種類があるのか?」
  • 「飲食店のキャッシュレス決済は必要なの?」
  • 「キャッシュレス決済導入を検討しているが、メリットデメリットを知りたい。」

と疑問を抱えている方の悩みを解決できる記事になっています。
この記事では、キャッシュレス決済の種類とお店側から見たメリット、デメリットを整理してあります。キャッシュレス決済導入に向けた準備の参考にしてみてください。

1.キャッシュレス決済の種類

近年、急速にキャッシュレス決済が流行ってきています。2019年10月に政府によるポイント還元制度も始まり、キャッシュレス決済はますます浸透していくでしょう。キャッシュレス決済の導入に興味はあるけれど、セキュリティや導入コストに不安があって、なかなか踏み込めない。という方に向けて、お店側から見たキャッシュレス決済のメリットやデメリット、おすすめの選び方などを解説します。導入に向けた準備の参考にしてみてください。

1.1 クレジットカード

■ J-Debit VISAデビットカード JCBデビットカード 等

近年、注目を集めているのがデビットカードです。支払いをする際に、銀行口座にある自分の預貯金から即日引き落とされる方式となっています。管理がしやすいために使いすぎを防ぐことができ、信用情報に問題がある人でも持てるカードとしてニーズが高まっています。

決済手数料:0.2%程度

1.2 デビットカード

■ J-Debit VISAデビットカード JCBデビットカード 等

近年、注目を集めているのがデビットカードです。支払いをする際に、銀行口座にある自分の預貯金から即日引き落とされる方式となっています。管理がしやすいために使いすぎを防ぐことができ、信用情報に問題がある人でも持てるカードとしてニーズが高まっています。

決済手数料:0.2%程度

1.3 電子マネー

電子マネーは、「交通系」と「流通系」に2つに分類されています。専用のプラスチックカードやスマホアプリに事前に金額をチャージして使用します。また、キャッシュカードと連携させることで、事前チャージしなくてもよいものもあります。

交通系電子マネー

交通系電子マネーとは、日本各地の鉄道会社が発行している電子マネーの総称です。電車やバスといった公共交通機関の乗車券として使え、通勤・通学の定期券としての機能を持たせることもできます。毎日電車やバスを利用する社会人や学生ならば、多くの人が持っている電子マネーでしょう。
以下、交通系電子マネー決済の一覧です。交通系電子決済は、「全国相互利用サービス」が適応されるので、対応端末1つあれば支払いを受け付けることができます。

「Kitaca」(北海道旅客鉄道株式会社)
「Suica」(東日本旅客鉄道株式会社)
「PASMO」(株式会社パスモ)
「manaca」(株式会社名古屋交通開発機構及び株式会社エムアイシー)
「TOICA」(東海旅客鉄道株式会社)
「ICOCA」(西日本旅客鉄道株式会社)
「はやかけん」(福岡市交通局)
「nimoca」(株式会社ニモカ)
「SUGOCA」(九州旅客鉄道株式会社)

流通系電子マネー

流通系電子マネーは、流通系の会社がスーパーやコンビニ、あるいは通販で利用を前提に発行する電子マネーです。発行会社によって利用できる店舗は異なりますが、自分がよく行く店舗で使える電子マネーを持っておけば、不便を感じることはないでしょう。
以下、流通系電子マネー決済の中でも特に注目を集める決済サービス2社について、比較説明します。

nanaco(株式会社セブン&アイ・ホールディングス)
WAON(イオンリテール株式会社)

電子マネーは交通系、流通系と分類しましたが、対応端末(マルチ電子マネー決済端末)1台導入するだけで、支払いを受け付けることができるのもメリットです。

導入手数料無料
決済手数料3~4%
店側に必要な機器マルチ電子マネー決済端末
※レンタルサービスもある

1.4 QRコード決済(スマホ決済)

QRコード決済は、今まで必ず必要だった「店舗側が用意すべきカードリーダーなどの設備が不要」という点が大きな違いとなっています。店舗は決済用のQR コードを掲示しておくだけで、それをお客さん自身のスマホで読み込むことで決済が行える仕組みです。
以下、QRコード決済(スマホ決済)の中でも特に注目を集める決済サービス3社について、比較説明します。

・PayPay

2019年11月にユーザー数が2,000万人を突破したPayPay。加盟店は全国約170万か所以上にのぼります。認知度もかなり高く、QRコード決済のなかでもっとも注目されているサービスです。

運営会社PayPay株式会社
導入手数料無料
決済手数料無料※入金手数料は2020年6月30日まで無料。ジャパンネット銀行のみ永年無料。
支払いジャパンネット銀行の場合は翌日・その他金融金管の場合は最短翌々営業日
店側に必要な機器iOSまたはAndroidアプリが利用できる端末(スマートフォン、タブレット、PCいずれか)
・楽天ペイ

楽天ペイは、「楽天ポイントが貯まるお店」としてアピールできる、QRコード決済とあわせて電子マネー決済とクレジットカード決済も導入できるなど、お店にとってメリットの大きいサービスです。お客様はアプリから「楽天ペイが使えるお店」を探せるので、新規顧客の創出や売り上げアップに繋がります。

運営会社楽天株式会社
導入手数料無料
決済手数料3.24%
支払い楽天銀行の場合、当日23時50分時点での売上を、翌日に自動振込
店側に必要な機器iOSまたはAndroidアプリが利用できる端末(スマートフォン、タブレット、PCいずれか)
※クレジット決済も導入する場合、カードリーダーも必要
・LINE Pay

月間のアクティブユーザー数8,000万人を超えるLINEは、使っていない人を見かけないほど普及しているメッセージアプリ、そのLINEが提供するQRコード決済サービスが、LINE Payです。また、友達同士で簡単に代金を「割り勘」できる機能もついており、お客様の利用シーンにメリットが多い決済サービスとなっています。

運営会社LINE株式会社
導入手数料無料
決済手数料無料※2021年8月1日以降は2.45%
支払い当月末日締・翌月末日振込
店側に必要な機器iOSまたはAndroidアプリが利用できる端末(スマートフォン、タブレット、PCいずれか)

2.飲食店がキャッシュレス決済を導入するメリット/デメリット

2.1 キャッシュレス決済のメリット

メリット①:現金管理に関連する作業がなくなるので安心
現金管理に関連する作業がなくなることによって作業効率が上がります。現金を扱うということは、お客さんとの金銭のやり取りに時間がかかるだけでなく、現金チェックなどの管理作業も必要となります。この作業はマネージャーや店長が担当することが多く、実務から抜けてしまうことにより生産性の低下やサービスレベルの低下は大きくなります。キャッシュレス化の実現や現金決済の減少により、これらの時間をなくしたり短縮したりできるわけですから、大きなメリットと言えるでしょう。

メリット②:集客力が向上する
キャッシュレス事業者は、定期的にポイント還元やキャンペーンを実施して います。キャンペーンは、消費者にとって非常に大きなメリットがあるので、人気のキャッシュレス決済に対応しているだけで顧客が増える可能性があります。また、東京オリンピックが開催される2020年には多くの外国人観光客も訪れるので、スムーズに会計を行えるシステムの導入を検討する必要があります。

メリット③:政府からの補助金を受けられる
政府が政策として「キャッシュレス・消費者還元事業」を推進しています。
2019年10月1日(火)から2020年6月30日(火)までの9ヵ月間に限り、決済端末などの導入費の3分の1を決済事業者が負担してくれ、さらに3分の2を国が負担してくれるため、実質的には費用を負担せずに導入できます。また、この期間中は加盟店手数料が3.25%以下となり、さらにその3分の1を国が補助してくれるなど、さまざまな優遇策が設けられています。

メリット④:防犯対策になる
レジに多額の現金が納められているという状況は、防犯上好ましくありません。また、現金のみのやりとりでは、「1万円札と5千円札を間違えた」「お釣りを渡し間違えた」ということも起こりえます。キャッシュレス決済によって、防犯対策にもなります。

2.2 キャッシュレス決済のデメリット

デメリット①:現金決済と二重管理になる
日本ではまだ普及率が低く「現金お断り」といえる状況ではありません。そのため、キャッシュレス決済導入後は現金決済との二重で管理する必要があります。

デメリット②:初期導入費用、決済手数料が発生する
キャッシュレス導入の1番のデメリットは、「初期導入費用」と「決済時の手数料」でしょう。クレジットカードの場合は、決済ごとに約3%もの手数料が取られてしまいます。また、電子マネー導入の場合は読み取りに必要な1台数万円の専用端末購入が必須となります。ただし、最近のQRコード決済では、初期コストも手数料もゼロというサ ービスが存在します。初期コストを理由に「キャッシュレス」を敬遠していた店舗も、QR決済なら導入のメリットの方が大きいかもしれません。

デメリット③:決済から入金までの時差
売上が発生してもすぐに入金されないため、お金が巡るサイクルが遅いというデメリットがあります。クレジットカード会社や電子マネーを扱う業者によって入金のタイミングには違いがあるものの、月に2~3度の振込日が設定されているケースが多いです。導入する際には、振込のスケジュールも確認する必要があります。

3.飲食店でキャッシュレス決済を導入するには?

数々のメリットを持つキャッシュレス決済ですが、実際に導入するには、どこに申し込み、どんな手順を踏めば良いのでしょうか?ひとつは、電子マネーの発行元、あるいは代理店に個別に申し込む方法があります。

【電子マネー導入手順】
交通系電子マネーを導入するには?
運営管理している発行元、あるいは代理店(クレジットカード会社など)と直接連絡し、申し込みをします。

代理店一覧
・三菱UFJニコス
・三井住友カード
・クロネコヤマト
・ぐるなび

流通系電子マネーを導入するには?
各社ホームページから申し込みをします。

Step1:ホームページから申し込み※以下各社HP URL
Step2:出店審査
Step3:審査終了後、設定の案内が届くのでその手順に従う

【申込サイト】
・nanaco https://www.nanaco-net.jp/business/merchant.html
・WAON  https://www.aeon.co.jp/business/merchant/waon.html

【QRコード決済(スマホ決済)導入手順】
各社ホームページから申し込みをします。

Step1:各社ホームページから申し込み
Step2:出店審査
Step3:審査終了後、設定の案内が届くのでその手順に従う

【申込サイト】
・PayPay https://012cloud.jp/item/paypay
・楽天ペイ https://smartpay.rakuten.co.jp/
・LINE PAY  https://pay.line.me/portal/jp/business/merchant

もうひとつは、「アクワイアラー」や「決済代行会社」に依頼する方法です。アクワイアラーとは、電子マネーやクレジットカードの発行元に代わって契約店募集や契約業務を行う業者、決済代行会社は文字どおり関係者間の決済を代行する会社です。両者の機能を兼ね備えた会社も多々ありますが、こうした会社に依頼すると、加盟店契約に伴う業務をすべて任せることができ、一括で複数の電子マネーに対応することができます。

さいごに

今後、キャッシュレス化に関して、どのようなシステムが、どれくらい増えるかは誰にも分かりません。ただし、キャッシュレス化の流れが止まり、再び現金主義となることは考えにくく、手段はどうであれ、ますます進んでいくことでしょう。
日本国内は慢性的な人手不足に陥っており、社会としてキャッシュレス化を進め、生産性を高めるのは飲食店が生き残っていくのに欠かせない条件です。「もう少し様子を見てから」と考えているようでは手遅れになってしまいます。導入に踏み切ったときには、機会ロスが増えていたということにも成りかねませんので、この機会にできるだけ早い導入に踏み切るようにしてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人