飲食店の予約キャンセルはなぜ多いのか!?キャンセル防止策と請求方法を解説

飲食店にとって予約キャンセルは深刻な問題ではないでしょうか。
食品ロスにも繋がり負の連鎖影響を与えてしまいます。それらを避けるため適切なキャンセル防止策を検討し、未然に防ぐように努めなければなりません。
今回は予約キャンセルの防止策をはじめ、発生してしまったキャンセル料の請求方法などを解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。

1.飲食店の予約キャンセルはなぜ起こる?

飲食店において予約当日に用意していた食材や席の確保がキャンセルによって無駄になってしまっては大きな損失に繋がってしまいます。
特にコース料理の場合は来店される人数分の食材の確保をしているので食品ロスなどに繋がり、飲食店とって大きな痛手になってしまいます。
ここでは、まず無断キャンセルの理由をみていきましょう。

引用元:テーブルチェック調べ「無断キャンセルをした理由に該当する全てを選択」

上記の無断キャンセルの理由を見てみると「とりあえず場所の確保(34.1%)」が最も多く、次いで「人気店なのでとりあえず予約(32.5%)」、「予約したことを忘れた(30.2%)」が理由となっています。これらを回避するため、近年ではデポジットやネット予約時のクレジットカード情報入力などの対策を講じるようになりました。
また、便利で簡単な「グルメサイト予約」による無断キャンセルも多いのが分かりました。

引用元:テーブルチェック調べ「無断キャンセルした際に利用していた予約手段」

無断キャンセルをした際に利用していた予約手段は「食べログやホットペッパーなどのグルメサイト予約(50.8%)」が最も多く、次に「店舗のホームページ(38.1%」、「SNSのフェイスブックやインスタ(33.3%)」という結果となっています。グルメサイトの予約は24時間受付可能なので便利、尚且つポイント獲得などのお得感があり予約しやすいのが利点でもあります。その反面、無断キャンセルの比率も高いです。特に利用頻度の高い20~30代のキャンセルが多く、いつどこでも気軽に予約ができるので、お店を数多く予約をしてしまい一店舗に決まった時にキャンセル忘れが生じたというケースがあるようです。

2.キャンセル料の請求方法

現在、7割超の消費者がキャンセル料を支払うことが妥当だと考えています。
飲食店の無断キャンセルによる被害が多発していることをメディアやSNSで大きく取り上げられるようになったため、この数字は消費者の意識変化でもあると言われています。
しかしながら、完全に予約キャンセルが無くなっていないのが現状です。
こうした中、どのような方法で請求したら双方にとってベストなのか試行錯誤している飲食店経営者も多いのではないでしょうか。
キャンセル期間、コース予約あるいは席のみの確保などさまざまな場面でキャンセル料は変わりますが、ここではキャンセル料の請求方法を解説していきます。

2.1 席のみ確保の予約キャンセル料

席のみの予約キャンセルの場合は、飲食の注文はしていないのでキャンセル料の請求をしないことがあります。ただし、飲食店によってキャンセル料についての説明があった場合(キャンセルによる損害額において予約者が同意した場合)は下記のように発生します。

  • ◆予約人数・・・数十人の団体予約または店舗の座席の半数以上(約1/3)を占める場合はキャンセル料を設けることが多いです。
  • ◆算定額・・・席のみの予約の場合は平均客単価の5割程度が目安とされています。

2.2 コース料理のキャンセル料

コース料理のように料金が決まっている場合は、人数に合わせて食材等を発注しているので、食材ロスなどに繋がります。ただし、予約分の食材を他のお客様へ提供したり、冷凍保存が可能な食材の場合には、損害はないのでキャンセル料の請求額は低くなります。

  • ◆予約人数と算定額・・・当日キャンセルは人数分の料理代金として全額請求ができます。(飲み物は保管できるので除きます)また、予約していることを理由に入店を断ったお客様がいた場合でも損害扱いになります。

3.予約キャンセルの防止策

予約することで得られるはずだった売上(利益)がキャンセルによって、利益を失うことは飲食店にとって大きな損失になります。ここでは、利益ダメージに繋がらないように無断キャンセルの防止策を紹介していきます。

3.1 予約前日にリマインドを行う

お店を予約する手段は電話もしくはグルメサイトなどありますが、お客様情報(予約日時や人数、お名前、連絡先)は必ず収集しなければなりません。
予約前日にお客様へのリマインドを行うことで、お客様が忘れていたなどの防止にもなります。
自動確認メール操作のあるグルメサイトの場合は、飲食店側で連絡する必要はないのですが、電話の場合は事前連絡することをお勧めします。

当日の予約時間15分程過ぎたところで来店がなかった場合には連絡をしてみましょう。電車遅延や体調不良など何らかの原因で連絡ができなかったというケースも考えられます。
また、予約時には前以て「○○分過ぎても来店がない場合はキャンセルとみなします」と伝えておいても良いでしょう。

3.2 キャンセル料の設定とキャンセルポリシーの明確化

キャンセル料の目的はお客様がキャンセルすることで発生するお店の損失を防ぐためです。そのため、以下のようにキャンセル料の設定とキャンセルポリシーを明確にしておく必要性があります。


①キャンセル料の設定
お店によってキャンセル料は異なりますが、具体的な数字を伝えることでトラブルの防止に繋がります。

  • 2日前までのキャンセル:キャンセル料なし
  • 前日までのキャンセル: 30~50%程度(但しキャンセル料なしの飲食店もある)
  • 当日のキャンセル:50~80%の予約メニュー代金
  • 無断キャンセル:100%の予約メニュー代金

上記はあくまでも目安ですが、当日でもキャンセル料が発生しない場合があります。例えば忘年会など繁忙期には予約なしのお客様の入店が多いため、食材の転用ができるのでお店側にとって損失には繋がりません。


②キャンセルポリシーの明確化
(飲食店)ポリシーは特定条件を満たすための契約事項、キャンセルポリシーは取り消しに関する規定のことです。そのため、キャンセルポリシーを設定することでお客様の同意が得られやすくなります。下記のようなポイント事項を押さえて作成すると良いでしょう。

  • キャンセル料が発生する期間を具体的に明記
  • 具体的なキャンセル料を明記
  • 予約当日の時間になっても来店されない場合の対処を明記
  • 遅れる場合の連絡方法

電話での予約の場合は口頭で事前に説明する必要があります。ネット予約の場合は「予約時の注意事項」として目に留まる場所に設定しておくと良いです。

3.3 キャンセルしやすいシステム作り

敢えてキャンセルしやすくなるようなシステムを作ることで無断キャンセルの防止にも繋がります。キャンセルポリシーを読んだ上でグルメ予約サイトから、いつでも予約の取り消しをできるようにします。
このようなシステムを作ることで、キャンセル料がかからないうちに予約の取り消しや人数変更などがしやすくなりドタキャンや無断キャンセルを減らすことができます。
ただし、電話による予約の場合は、キャンセルするのを忘れたなどがあるので注意しましょう。

3.4 デポジット・事前決済制度を設ける

特に団体客に向けたデポジットや事前決済の制度を設けることが多いです。
忘年会や歓送迎会などの繁忙期には団体で予約されることが多いため、デポジット・事前決済を導入することで無断キャンセルの防止に繋がります。
団体客の幹事は多数のお店を確保することが多いため、キャンセルすることを忘れさせないための対策でもあります。

4.キャンセル発生時の損失補填補償サービス

無断キャンセル・ドタキャンで請求することができないなどのお悩みを抱えている経営者もいらっしゃいます。
ここでは、簡単に利用できる損失補填補償サービスを紹介します。

★ぐるなび「無断キャンセル保険
2021年11月に開始したばかりのグルメサイト(飲食店ネット予約)です。

【対 象】
ぐるなび加盟飲食店(特定プランへの加盟、ぐるなびが定めるキャンセル規定が設定されている必要がある)

【内 容】
飲食店の無断キャンセルにおいて回収できなかったことの損害を補償する保険。
4人以上の予約で無断キャンセルが発生した場合、利用者1人当たり4000円(1店舗年間30万円まで)を補償するというシステム。



★食べログ「ネット予約無断キャンセル保証サービス」

【対 象】

  • 食べログネット予約サービスの利用店舗
  • 一組あたり10人以上の予約であること
  • キャンセルポリシーが掲示された予約であること
  • 新プランに加入し、サービス利用の同意を行っていること

【内 容】
この補償サービスは無料で利用できる。
10人以上の予約で一人当たりの上限が3000円、キャンセルによる損害を補償してくれる。



★「ノーキャンドットコム 飲食版」
【対 象】
すべての飲食店(会員登録が必要)

【内 容】
無断キャンセルによって損失が出た場合、キャンセル料を弁護士が代行で債権回収するサービス。初期費用や継続利用は無料の成果報酬型。1名以上の予約から回収してくれます。


無断キャンセルの発生は飲食店にとって死活問題です。ある一定の条件付きとはいえ、補償サービスという保険を導入することで不安材料も薄れ、安心感も得られます。
このようなサービスの利用を検討してみても良いかもしれません。

さいごに

いかがでしたか。売上に繋がるはずだった予約が、ドタキャンや無断キャンセルによって損失に変わってしまいます。そのような事態を減らすためはキャンセルの傾向をしっかりと把握した上で防止策に取り組むことが大切です。また、自店で完全に防ぎきれない無断キャンセルにおいての料金請求をグルメサイトで導入している保証サービスの利用を検討してみても良いかもしれません。先ずは未然に防げる範囲でキャンセルの対策を講じていきましょう。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人