【採用強化・労働環境改善のすすめ】飲食店における人手不足の解決策を解説!

現在、外食産業の人手不足が深刻な問題となっています。
「なぜ人材が集まらないのか」「入社しても直ぐに辞めてしまうのか」と、お悩みの飲食店経営者は少なくありません。なぜ飲食店が人手不足に陥るのでしょうか。
今回はこのようなお悩みを抱えている経営者の方に向けて、人手不足の「原因を知る」「解決策を得る」を考えていきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください。

1.飲食店における人手不足の現状

飲食業界は他業界と比べ、離職率が高いと言われています。また、求人に対して応募者が少ない、集まらないというのも事実です。
下記は、店舗で働く従業員が足りているかなどを調査するためのアンケート(2023年6月30日現在)を実施した回答です。

引用元:「飲食店ドットコム(株)シンクロ・フード調べ」

従業員の充足数状況(左上円グラフ)を見てみると、「不足している40.7%」(やや不足=30.7%、とても不足=10%)という数字となっています。6割近くの店舗は足りているとなっていますが、「何とか足りている」(35.9%)となり全体的にみると余裕のないまま営業しているという印象があります。
また、不足している雇用形態(右上円グラフ)は「アルバイト・パート 48.5%」で、正社員も含めると全体で80.8%もの店舗が特にアルバイト・パートの不足が深刻であるということが分かりました。

人材が不足していると以下のような問題が生じてしまいます。

  • 専門職である調理師の応募者がこない
  • 店舗の営業活動に影響する(店内が回らなくなるなど)
  • お店の開業が難しくなる
  • 新規出店(姉妹店等)ができない

このような問題を抱えている飲食店が存在しているのが現状です。店舗を営業させるには人材の確保が非常に大切なことだということが分かります。
人手不足である飲食店の現状を把握し、これからどのように改善していくべきかが大きな課題にとなるでしょう

2.飲食店が人手不足になる原因

飲食店における人手不足の原因はどこにあるのでしょうか。「キツイ
「休めない」「長時間労働」などの印象を持っている人が多くいらっしゃいます。
ここでは、数ある原因をもう少し詳しく解説していきます。

2.1 労働環境のイメージ

飲食店の労働環境は「長時間勤務
「残業しても代金の支払いが曖昧
「休憩時間が短い」などさまざまな要因があります。実は労働環境のイメージというのは、応募するかどうか左右されるほど大きな影響力があります。

では、まずここで労働基準法によって定められている働き方をみてみましょう。

  • 〈労働時間〉1日8時間以内で週40時間以内
  • 〈残業時間〉1日8時間または週40時間の労働時間を超えた場合は残業代の支給が必要
  • 〈法定休日〉1週1休または4週4休
  • 〈休憩時間〉労働時間6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は60分の休憩時間を設ける

このように労働基準法によって労働時間や休憩時間、休日日数など定められています。
しかしながら、多忙時期・ピーク時間になると休憩時間がきちんと取れない、長時間労働に
なりやすいなど労働に関するルールに従えきれずになっていることが多々あります。
この問題は、お店の経営者あるいは店長(責任者)が課題改善として対策をとらなくては、
人材の確保は難しくなります。入社しても直ぐに離職してしまう可能性が高くなります。

2.2 人間関係によるトラブル

どんな企業でも人間関係のトラブルは少なからずあると言ってよいでしょう。
特に飲食店はチームワークが良好でなければ上手く運営することができません。
以下のような問題が考えられますが、解決策を講じることが大切です。

  • 上司(店長)とスタッフの意見の食い違いによるトラブル
  • 同僚と上手くいかないため、店内の雰囲気が悪い
  • お客様からのクレームなどによるトラブル

飲食店におけるトラブルは多いと言われますが、原因究明の体制を整備することで従業員
は安心して業務に集中できます。

2.3 報酬など待遇面での不満

前述しましたが、飲食店はキツイ仕事というイメージが先行してしまいます。
拘束時間が長く、業務量に対して報酬が低いなどネガティブなイメージを持たれている人
が少なくありません。
近年では、労働基準法に沿った働き方を取り入れてはいるものの、個人経営など少ない人数
で営業している飲食店は、どうしても忙しい時には残業になってしまうことがあります。そ
の際に勤務外労働に対しての報酬が曖昧になってしまうケースも少なくありません。
ネガティブイメージからの脱却は、お店の人員配置を適正な人数に揃えることが重要です。

3.人手不足を解決するには

ここでは、飲食店の人手不足についてどのように解決していけばいいのか考えていきます。

3.1 入社後のギャップを生じさせない

誰もが自分で選んだ飲食店(企業)の仕事に夢と希望を持って入社します。
しかし、特にアルバイトで入社した場合、3ケ月経った頃に自分が想定していたものとのギャプに気付き始め辞めてしまうケースが少なくありません。
その原因は以下のようなことが考えられます。

  • 求人欄に記載されている業務以上の内容を強いられる
  • 面接時の説明よりレベルの高さを求められ、必要以上に厳しく指導される
  • アルバイトだからといってやりたかった仕事を与えてくれない

離職する原因はさまざまですが、一番大切なのは求人欄に業務内容をしっかり記載することです。とはいっても、伝えた内容以外の仕事が発生してくるのも事実です。その際は、面接時にしっかり伝えて了承を得ることが大切です。また、アルバイトと社員の差別化は致し方ないとはいえ、意欲と能力を持ち合わせたアルバイト・パートには、責任のある仕事を与えることも必要なことです。

3.2 雇用条件の見直し

人手不足が続くと従業員一人ひとりの業務に負担がかかるため、労働環境が悪化していく一方です。離職率も高くなり、残ったスタッフへの負担が増加するといった悪循環から抜け出せなくなってしまいます。
解決法として、以下のような雇用条件の見直しをしてみましょう。

  • シニア層や外国人などの採用を積極的に検討する
  • ソムリエや利き酒師などの資格取得制度を用意する
  • 一人ひとりの長時間労働を避けるため、二人体制にしてシフトで回すようにする

雇用条件の見直し、採用枠を広げることで、店舗に合った良い人材が見つかる可能性が高くなります。

3.3 ITツールの導入

飲食店の人手不足の解消はもちろん、集客などにも好影響なのがデジタルツールの導入です。特に営業時間のピーク時にホール担当者が足りていないと、お客様への接客に悪影響を与えたり、オーダーミスなどが発生してしまいます。最近では、POSレジやタブレットなどIT化の進化により、デジタルを活用する飲食店が増えてきています。

飲食店がITツールを活用することで、以下のような効果がみられるので検討してみてはいかがでしょうか。

  • 勤怠管理や食材在庫・調達などのバックヤード業務の効率化する
  • サービス向上、集客、顧客満足度の向上などが得られる
  • 予約や注文のミスなどが減る

4.店舗に必要なスタッフ人数

人材が不足していると当然ながら業務量が増え、一人の仕事量が多く抱えてしまう状態になってしまいます。
ここで、飲食店においてランチ時やディナータイムのピーク時に配置しなければならないホール人数(適正)の決め方を紹介します。参考にしてみてください。


〈店舗当たりの配置人数の計算式〉
ホール人数(適正)=お客様の収容人数÷4(テーブル数)÷4
          ⇓
例)収容人数80人の場合➡80÷4(=テーブル数)÷4=5人



お客様収容人数80名の場合のホール人数は、5人が適正であることが分かりました。
なお、料理人と店長(店舗責任者)3~4人を足して店舗全体で8~9人配置すると良いです。ピーク時での適正人数を割り出しましたが、アイドルタイムや早朝などの比較的暇な時間帯には、人数を減らすなどして調整すると良いでしょう。
人手不足が続くと適正人数にも満たなくなってしまいます。飲食店の1日は時間帯によってピークタイムを迎えることが多いので、人材の確保は重要となってきます。

さいごに

いかがでしたか。飲食店の人手不足は深刻な問題です。応募者が集まらない、入社しても直ぐに辞めてしまう、または採用連絡しても辞退されてしまうなどの原因をしっかり理解することです。そうすることで解決策は必ず見つかるので、後は実行していくのみです。
人手不足の解消は飲食店イメージの好転にも繋げられますね。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人