- 「自分より年上のアルバイトを雇用する際の注意点はある?」
- 「人手不足解消にシニア世代の雇用を考えはじめている」
- 「シニア世代雇用にあたり、メリット・デメリットを把握しておきたい」
このようなお悩みや疑問を抱えている飲食店経営者の話を多く聞きます。
この記事では、飲食業界の人手不足を解消する対策として、シニア世代の採用に注目していきます。シニア世代を雇用することには、メリットがたくさんあることを知っておきましょう。また、採用する際の注意点などについて解説します。ご参考にしてください。
もくじ
1.飲食業界の求人動向とは?シニア世代が注目されている理由
日本国内最大手の信用調査会社である帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2021年10月)」によると、居酒屋など飲食店の6割以上でアルバイト・パートが不足し人手不足が急上昇しているという調査結果があります。今後も日本国内では、深刻な人手不足が続くと予測され、今以上に人材確保が激化することでしょう。
近年、人手不足を緩和するための対策として、シニア世代の雇用に注目が集まっています。
「定年退職したけど元気なうちは働きたい」
「年金だけでは十分でないからお金を稼ぎたい」
と定年後も働きたいと考えるシニア世代が多く存在します。飲食業界ではシニア世代の雇用に積極的に取り組むことが人手不足解消の”鍵”となります。
2.シニア世代を雇用するメリットとは?
2.1 経験豊富な即戦力を確保できる
シニア世代は、豊富な経験や技術を持っていることから即戦力としてお店に貢献してくれる可能性が期待できます。また、常識をわきまえている方が多く、今問題になっているSNSが炎上するような動画を掲載するといった心配は低いでしょう。
2.2 労働意欲のある人材が多い
若年世代と比べて、仕事に対する意欲が高く、自分の仕事に対して真面目で勤務態度が良好といえるでしょう。意欲的に働くスタッフがいる現場は、他のスタッフにも良い影響を与え、モチベーション向上の効果が期待できます。
2.3 コミュニケーション能力が高い
シニア世代は、就業や子育てなど、長年の社会人経験があるため、幅広い世代の方々との接し方が身についている方が多いです。お客様との接客も安心感があり、上手にコミュニケーションを取ってくれることが期待できます。
3.シニア世代を雇用する際の注意点
シニア世代を雇用する体力面・健康面での不安は、若年世代に比べて高くなることは否めません。体力、体調、記憶力、持病を抱えているなど、リスクを抱えている場合が多く、業務内容が負担になりすぎないように努めるなど、配慮が必要になります。
4.シニア世代を雇用すると助成金がもらえる?
厚生労働省は高齢者の雇用継続を支援するため「65歳超雇用推進助成金」という制度を設けています。この助成金は、3つのコースで構成されています。
①65歳超継続雇用促進コース
以下のいずれかに該当する制度を実施し、要件を満たした場合に支給されます。
- 65歳以上の年齢への定年の引き上げ
- 定年の定めの廃止
- 希望者全員を66歳以上の年齢まで継続雇用する制度を導入
- 他社による継続雇用制度の導入
支給額
・65歳以上への定年引き上げの場合…25万円~160万円
・定年の定めの廃止をした場合…120万円~160万円
・希望者全員を66歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度を導入した場合…15万円~100万円
・他社による継続雇用制度の導入の場合…5万円~15万円
厚生省 65歳超雇用推進助成金のご案内
※多数申請につき令和3年度の新規受付は終了、今後、安定的に支援を継続できるような制度への見直しを検討し改めて案内される。
②高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
当コースは、高年齢者の雇用管理制度の整備等にかかわる措置を実施した場合に一部の経費の助成を行うコースです。対象となる措置は以下のとおりです。
- 高年齢者の職業能力を評価する仕組みと賃金・人事処遇制度の導入または改善
- 高年齢者の希望に応じた短時間勤務制度や隔日勤務制度などの導入または改善
- 高年齢者の負担を軽減するための在宅勤務制度の導入または改善
- 高年齢者が意欲と能力を発揮して働けるために必要な知識を付与するための研修制度の導入又は改善
- 専門職制度など、高年齢者に適切な役割を付与する制度の導入または改善
- 法定外の健康管理制度(胃がん検診等や生活習慣病予防検診)の導入 等
支給額
助成率は厚生労働省の定めた要件(生産性要件)を満たしたか、中小企業かどうかにより決定されます。
- 雇用管理制度の導入等に要した経費の額の45%~75%が支給
③高年齢者無期雇用転換コース
当コースは、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換させた事業主に対して助成を行うコースです。
支給額
- 中小企業…対象者1人につき48万円(生産性要件を満たした場合は60万円)
- 中小企業以外…対象者1人につき38万円(生産性要件を満たした場合は48万円)
さいごに
今後、少子高齢化社会が進むにつれ、ますます人手が不足していくと予測されています。
アルバイトは、若者だけでなく、シニア世代にも目を向けて、採用選考対象の年齢幅を広げることを検討してください。シニア世代の雇用は、人手不足解消だけでなく、助成金給付など、たくさんのメリットがあります。飲食業界ではシニア世代の雇用に積極的に取り組むことが成功の”鍵”となるでしょう。