お通しの役割とは?人気のお通しに変わる提供方法を徹底解説!

飲食店のお通しは、お客様が来店してはじめて召し上がる料理のひとつです。特にお腹を空かせて食べる料理は美味しく頂けます。当店の最高の一品とまではいかなくてもお店側の気遣いが伝われば印象は良くなり、また来てみたいと思ってくれます。

今回は、店主やスタッフの思いがお客様の満足と売上確保に繋げていける大切な「お通し」について解説していきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください。

1.飲食店のお通しシステム

居酒屋や割烹料理店、バーなどで席に着くとすぐに出てくるお通しは、そのお店ではじめて食べる料理です。小さな小鉢に簡単な一品料理をお酒のツマミとして召し上がっていただいています。
外国の方が来店されると、お通しがあることに驚き「これは何ですか?」といった質問をされる飲食店が多いと聞きました。この質問は料理の味や食材ではなく、何のために出すのかといった意味合いが多いようです。
このお通しというのは、日本独自の発想で気軽に楽しめる一品料理を酒のつまみとして提供しているシステムで、昭和10年頃から始まったと推測されています。

また、お通しは「注文を受けました」という意味合いから「お通し」とも言われています。
飲食店で働くスタッフ間(ホールと厨房間)の合図のようなものでもあります。
注文された料理を提供するまでの時間にお酒のつまみとして、店舗側のサービスで提供しているお店もありますが、多くの飲食店は席料としていただいています。

2.お通しの役割

お通しの提供は、お店側とお客様側から賛否両論の意見があります。
しかし、お通しの役割を知ることでお店の売上確保に繋がるといったメリットがあります。
ここではどのような役割を果たしているのか見ていきたいと思います。

2.1 お通しの提供の気遣い

ほとんどのお通しは、小鉢に入った料理を冷蔵庫から取り出してそのまま提供していることが多いのではないでしょうか。冷たくなった小鉢と料理を出されると、ちょっとした失望感があるというお客様がいらっしゃいます。
店内は、営業中忙しいことが多いので前日に仕込んだ料理を小鉢に盛り付け、温度管理を考慮した上で保存するといった作業になります。しかしながら、温かければ美味しい料理が冷たいまま提供されると味が半減されてしまうことがあります。料理の内容や提供する時の発想を少し変えるだけでお客様の失望感が無くなることもあります。気遣いの有無でお通しの役割を果たしているかどうかに繋がるということになります。

ここで、飲食店がお通しを提供する上で気を付けていることの調査回答を紹介します。

※引用:飲食店リサーチ

上記回答の結果、「お通しの質にこだわっている(52.9%)」「定期的なメニュー変更をおこなっている(51.7%)」といった回答が多く、次いで「お通しカットを可能にしている(31%)」「お通しの説明を目立つ場所に明記している(24.1%)」という結果になりました。
お通しを提供するときの気遣いがお客様に何気なく伝わることで、他のお店にはみられない良い印象になることは間違いないでしょう。
お通しというのは、他店との差をつけられる重要な役割をしていると言えますね。

2.2 食品の効率化

飲食店の食品ロスは必ず発生してしまいます。そこでアイデアのひとつとしてお通しの提供です。お通しはメニューにはない料理を提供するので、食材の仕入を必要性としないことが多いです。メニュー用に仕入れた食材が余ったとき、その材料で調理することで立派なお通しに仕上がります。

下記のようにお通しはさまざまなかたちで料理できるのです。

  • 余りがちな部分(メニューの料理を作る上で必要としない部分)または残ってしまった食材を上手に調理する
  • 賞味期限が近いものをお通しとして調理する
  • 廃棄予定の食材を使用する

余った食材や廃棄予定などネガティブな言葉ですが、実際にプロの料理人が調理することで美味しい料理に仕上がります。そのお通しをお客様から「メニューに入れてほしい」といった要望をたくさんいただいたと聞いたことがあります。

2.3 お通しはお店の顔

お客様が来店し、注文された料理をすぐ準備にさしかかっても、店内が混雑しているとお客様を待たせてしまうことがよくあります。その待ち時間をイライラさせないためにもお通しを提供すればお酒のツマミになり、待っていることを意識させません。

特に最初のお店一件目は、空腹で来店されるお客様が多いため「美味しいビール」を早く飲みたいという方がほとんどです。このお酒をさらに美味しくいただけるようにツマミの価値を上げてみましょう。お通しはメニューにはない特別な料理を提供できるのです。
お店の味といった顔(印象)を良い記憶を与えられる大きなチャンスでもあります。
このチャンスを活かしてこそお通しの役割が果たせることができるのです。

3.お通し代の相場

一般的に居酒屋や和食店、レストラン、バーなどで提供していることが多いお通しですが、料金の相場はどのくらいなのかと思われている方も多いです。

下記は、飲食店がどのくらいの料金で請求しているのか、調査の回答が得られました。
(※回答はお通し代を請求している飲食店に限ります)

※引用:飲食店リサーチ

回答をみてみると、「300円~399円(48.3%)」が一番多く、次いで「500円~599円(17.2%)」、「400円~499円(11.5%)」、「200円~299円(10.3%)」という結果です。食材や量、調理方法などを考慮して全て含めると300円台が相場なのではないでしょうか。500円以上あるいは1000円以上の請求は、バーやスナックなどお酒がメインのお店に多くあるようです。

4.お通しを断られた時の対処法

お店側からみたらお通しはメリットが多いのですが、実はお客様側は複雑な心境という方も少なくありません。席料とはいえ、自分が食べたくない料理を提供されて料金を支払うシステムが納得いかないと思われている方もいます。
また、お通しを提供させる前から断るお客様もいらっしゃいます。
ここでは、断られた時の対処法を紹介したいと思います。

  • 食品アレルギーをお持ちの方がいるか最初に聞く
  • お客様はお通しを断ることができること。その際はトラブル回避のため請求はしないことを伝える
  • お通しを断っても席料としての請求はあると最初から伝える

お通しも価値のある料理、できれば断ってほしくないですね。
しかし、お客様側も様々な事情でいらないこともあります。
お通しを断られたときを想定し、都度対処していかなければなりません。
料金をどのように設定するのか(支払いの有無)、食品アレルギーの方へ対応などをお店で決めておくことが大切です。

さいごに

いかがでしたか。お通しの役割や相場、断られたときの対処法などを解説しました。
お通しについていろんな意見がありますが、新規顧客の獲得はもちろん、常連さんが「楽しみ」と思われるようなサービス・心遣いをすることで売上確保に繋がります。
飲食店というサービス業は気遣いが基本です。もしお通しを断られたときは柔軟な対応で接することでお店のイメージが良くなります。
お通しはお店の秘めた可能性がたくさんあるので、気遣いのできる工夫をしてみることも必要なのではないでしょうか。きっと売上の確保に繋がります。

飲食店経営で相談できる税理士が身近にいない場合、一度、BrancPort税理士法人にご相談ください。

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BrancPort税理士法人