- 「領収書は一定期間保管の必要があるが、伝票(注文票)などの書類の保管も必要?」
- 「領収書や請求書の管理方法を教えてほしい!」
- 「そもそも、なぜ領収書を一定期間保管しなければならないの?」
このようなお悩みや疑問を抱えている飲食店経営者の話を多く聞きます。この記事では、領収書や請求書、帳簿などの書類の保存について「なぜ必要なのか」、「保存にあたり注意事項」、「領収書のもらい方」など、詳しく解説していきます。ご参考にしてみてください。
1.飲食店では領収書や請求書、帳簿などの書類を一定期間保存する義務がある?
そもそも、なぜ領収書や請求書、帳簿などの書類を一定期間保存しなければならないのでしょうか。日本では、領収書や請求書、帳簿などの書類は、法律において一定期間保存することが義務づけられているからです。以下、「法人税法施行規則」をご参照ください。
「法人税法施行規則 第五十九条 より抜粋
青色申告法人は、次に掲げる帳簿書類を整理し、起算日から七年間、これを納税地(第三号に掲げる書類にあつては、当該納税地又は同号の取引に係る国内の事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地)に保存しなければならない。
- 第五十四条(取引に関する帳簿及び記載事項)に規定する帳簿並びに当該青色申告法人の資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成されたその他の帳簿
- 棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類
- 取引に関して、相手方から受け取つた注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これ らに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し」
保存期間については、法人であるかどうか、個人事業主なら「青色申告」と「白色申告」のどちらをしているかによって異なります。
【法人の場合】
法人は、事業年度の確定申告の提出期限翌日から7年間(※1)保存しなければなりません。
※1 欠損金の生ずる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間に延長されています。
国税庁HPより https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5930.htm
【個人事業主の場合】
個人事業主の場合、「青色申告」もしくは「白色申告」の確定申告の方法で保存期間が異なります。
青色申告の場合
保存が必要なもの | 保存期間 |
---|---|
仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳 など | 7年 |
損益計算書、貸借対照表、卸表 など | 7年 |
現金取引等関係(領収書、小切手控、預金通帳、借用証 など | 7年 (※1) |
その他の書類(取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など)) | 5年 |
白色申告の場合
保存が必要なもの | 保存期間 |
---|---|
収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) | 7年 |
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) | 5年 |
決算に関して作成した卸表 その他の書類 | 5年 |
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類 | 5年 |
2.領収書や請求書、帳簿などの書類は、どのように管理すればいいの?
領収書や請求書、帳簿などの書類は、5~7年分となれば、相当な量になります。それだけに、整理せずに放置しておくと、後々、山積みの書類を前にして大変な思いをすることになりかねません。分かりやすく、余計な手間と時間をかけずに、日ごろからある程度整理しておくことをおすすめします。要点を押さえて効率的におこないましょう。
領収書、請求書などの書類の代表的なおすすめ保管方法3つご紹介します。
保管方法1:封筒に入れて保管する
月ごとに封筒に入れておくだけ!という、一番お手軽な保管方法です。専用の封筒を購入する必要はなく、銀行ATMなどに置いてある封筒はサイズが丁度よいのでおすすめです。領収書の枚数が多い場合は、、クリップやホッチキスで止めておくとよいでしょう。
保管方法2:ノートに貼って保管する
専用のノートを作って、貼り付けていく方法です。少し時間と手間がかかってしまいますが、後から見返す時に、ノートを開けば、「いつ」、「どこで」、「どう」、お金が動いたかをすぐに把握できます。
保管方法3:ファイリングして保管する
最近は、領収書保管専用のファイルが販売されているので、ファイルにまとめて保管するのもよい方法です。法人など組織が大きくなると複数人で管理する場合は、後で確認する時によりわかりやすくなります。
3.領収書をもらう時の確認事項6つ!
領収書を整理する以前に、適切な正しい領収書を発行してもらうことが大切です。領収書をもらう際に、必要な記載情報がきちんと書かれているか 等、正しい領収書を受け取るように心がけてください。白紙の領収書をもらって、自分で記入するなどということは絶対にやめてください。
【領収書をもらう時の確認事項6つ】
確認事項1:領収書を発行してもらう年月日が記載されているか確認!
確認事項2:使用した金額は税込みで記載されているか確認!
確認事項3:宛名は、屋号・商号を記載してもらう!※上様と記載してもらうのは避ける。
確認事項4:但し書きは、具体的な品名や取引内容を記載されているか確認!
確認事項5:発行者の会社名、住所、連絡先などは記載されているか確認!
確認事項6:5万円以上の領収書については、印紙が貼られているか確認!
■領収書はレシートでも問題ない?
基本的にレシートでも問題はありません。ほとんどの場合、レシートは経費として処理するための記載項目をカバーしているからです。また、打ち合わせや接待などで使用した飲食の領収書の場合は、レシートの裏でいいので、誰と、どのような目的で利用したかをメモ書きしておくとよいでしょう。後で税務署の調査などで内容について質問を受けた際にこたえられるようにしておくのが大切です。
具体的にメモしておく内容は、
- 相手先の会社名、担当者名
- 打ち合わせの案件内容
- 誰と、どの案件ついての話題で会食をしたか
1つ注意事項としては、レシートの場合、感熱紙など紙質によっては、時間とともに印字が消えてしまうおそれがあります。重要なもので不安がある場合にはコピーを取って、一緒に保管しておくなどの方法もあります。
さいごに
保存しなければならない書類の量は膨大になります。1年以上前の領収書や請求書を引っ張り出して見ることは稀です。
税務上、帳簿や領収書などの資料の法定保存期間は7年間です。
法律に詳しい方は、
「会社法上商取引の時効は5年でしょ?」
「税金の時効も5年だから、書類も5年保存でいいのでは?」
と思われるかもしれません。
通常の税務調査では、3年分を調査します。
ところが、不正、偽りがある場合には時効が2年間ストップされ、7年前までさかのぼって徴税することができるのです。
3年分を手元に保管し、4年から7年までのものを倉庫などに保管することをおすすめします。