飲食店の生ビールはなぜ美味しい?生樽の扱いと注ぎ方にポイントがあった!

居酒屋などで「とりあえずビール!」と日本の習慣的に注文をする人が多くいます。最初の一杯は喉を潤してくれる生ビールの存在が、お客様にとって欠かせない飲み物ではないでしょうか。そんな生ビールですが、注ぎ方やビールサーバーも含む生樽の扱いによって美味しいビールへと変化していくのです。今回は、飲食店で席に着くと最初に注文が多い生ビールを美味しく注ぐ方法を中心に生樽の扱いなどを取り上げていきたいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。

1.なぜビールは旨いと感じる?

生ビールは「苦み」と「コク」、「キレ」、そして「香り」が入って選ぶ時代になりました。ここでは、ビールの旨さを感じる「コク」と「キレ」についてみていきたいと思います。

  • コク・・・甘味、酸味、塩味、苦み、旨味などの味として口に広がり舌で感じる感覚的なものです。また、ホップやアルコールなどの量によってコクの度合いがことなり、成分が多いほどコクがあります。特に甘味を作る成分が中心となり、濃厚さや深み、とろみなどをもたらされ、味覚(感覚)となります。
  • キレ・・・口の中に入れたとき「味・香り」といった風味に落差があり、突き出した味にならないのが特徴です。炭酸やアルコール度数の強弱によって味の落差に変化があり、「後味スッキリ」と言われるビールに仕上がり、キレを感じさせます。

ビールの苦み成分が濃いほどコクがあり爽快感も感じられます。コクのバランスがよいとキレ味も感じやすいと言えます。

2.ビールを美味しく注ぐ方法

飲食店で美味しいビールを提供するためには、どのようなことを行い、どのように注げばいいのでしょうか。実は美味しいビールには「注ぎ方」「洗浄」「鮮度」の基本的な3つのポイントがあります。ここではそのポイントを解説していきます。

2.1 ビールの注ぎ方

先ずは、注ぐビールがぬるくならないようにグラスは冷蔵庫で冷やしておきましょう。
冷やしたグラスに注がれたビールはしばらく冷えたままになります。

  • ビールサーバーのコックにグラスを斜め45度に傾け、コックの先が離れないように密着させます。
  • グラスを45度にしたまま、ハンドルを手前に引きグラスの3分の2ほどまで注ぎます。
  • 3分の2まで入れたらグラスをゆっくりと垂直に戻し、ゆっくりとハンドルを後方に押し泡をいれていきます。
  • 泡がグラスより0.5~1cmほど盛り上がったたらハンドルを戻して完成です。

2.2 泡とビールのバランス

美味しいビールの液体と泡の比率は「7:3の黄金比率」と言われています。
液体が7、泡が3ということになり見た目も美しく映ります。美味しいビールを注げるようになると泡と液体のバランス調整が上手にできるようになります。
ただし、全てのビールが黄金比率で美味しくなるというわけではありません。エールは9:1が黄金比率であり、その他ビールの種類によって異なります。

また、泡にはさまざまな役割があります。

  • きめ細かい泡がビールの香りや炭酸カスが抜けないように蓋のような役割をする
  • ビールが外気に触れるのを妨げることで酸化防止になる
  • ビールの美味しさを保つ

特に日本人は泡のあるビールを好みます。グラスの表面ギリギリ、あるいは盛り上がるぐらいまで入れておくと見た目も美しく、味も美味しくいただけます。
ただし、注意点として外国人は泡のあるビールはあまり好みません。インバウンドで賑わっている飲食店では分けて提供しているお店が多々あります。

2.3 ビールサーバーの洗浄は必須

飲食店のビールサーバーは営業時間が終わってから洗浄するので、深夜になってしまうこともあり、つい放置してしまいがちです。しかし鮮度の高い美味しいビールを提供するためには毎日の洗浄が必要です。
ここではサーバーの洗浄方法を紹介します。
(※メーカーによって異なる場合があります。)
■洗浄準備

  • ①洗浄樽に洗浄ラインまで水を入れて、専用蓋をしっかり閉める
  • ②生樽からディスペンスヘッドを外して⓵の洗浄樽にセットする
  • ③バケツをビールサーバーにセットする

■水通し洗浄開始

  • ④サーバーのレバーを手前に倒し水を通し洗浄する※たまに後方に倒し泡の通り道も洗浄する
  • ⑤水が全て通ったら、ディスペンスヘッドのレバーをあげて、洗浄樽のガス抜きボタンを押して完全にガスを抜く※このときガス圧の元栓を閉めて目盛りを0に設定
  • ⑥ガスが完全に抜いたところで、ディスペンスヘッドを外す
  • ⑦ヘッドは水を入れた容器(バケツ)ですすぎ、樽にセット

■コック(タップ)洗浄

  • ⑨サーバーのレバーを外して分解し、専用ブラシで水洗いをする※分解したものは、レバー、タップ、パッキン、弁棒に分かれる洗浄は、毎日行うことで鮮度の高い美味しいビールが注ぐことができます。また、グラスの洗浄にも気を使いましょう。特に油が付いた食器と分けて洗浄することをお勧めします。

3.樽生ビールの扱いで注意すること

美味しいビールを注ぐためには、生樽の管理にも注意しなければなりません。
ここでは生樽について注意するポイントを解説します。

★保管場所
開封前の生樽ビールの置き場所は冷暗所で静かな場所で保管します。温度が高く直射日光に当たる場所は劣化を早めてしまうので避けましょう。特に温度が高い梅雨時や真夏の時期は、味が変化してしまいます。

★賞味期限を守る
食品や飲み物の賞味期限は「美味しく食べられる期間」として明記してありますが、生樽の場合は「未開封の場合、風味や外観、成分など十分に安全性に保たれる期間」となります。

  • 未開封の賞味期限➡樽には製造年月日が記載されています。賞味期限は目安として製造月日から9か月程度になります。
  • 開封済の賞味期限➡開封済のビールは品質や風味が損なうため2~3日までに消費し、新しい生樽に交換するようにします。特に温度が高い真夏の時期は、味が変化してしまいます。

4.繁栄飲食店は生ビールが美味しい 

樽生の管理が行き届いている飲食店は、生ビールが美味しいので繁栄店であることが多いです。

・保管に気を遣う
美味しいビールの注ぎ方で先述しましたが、開封前でも後でも低温の場所での保管をすることが重要です。特に開封済の生樽は温度が高いほど酸化が進み香味の変化が生じてしまいます。
また、仕入れた樽から順に必ず使用するようにしましょう。繁栄店はこのようなオペレーションがしっかりされています。

・こまめな洗浄
生樽ビールをグラスに注ぐはときにサーバーホースを通りますが、その際にビールの微生物や何らかの汚れが付着しているとビールに混入し臭みなどを生じてしまいます。
繁栄飲食店は忙しさに甘えることなく、汚れなどを付着させないため、欠かさずサーバーの洗浄を行っています。これが美味しいビールを提供できる秘訣です。

・グラスにも気遣い
せっかくビールは美味しいのに「グラスが汚れていた」「お店の雰囲気にグラスがあっていない」「グラスが冷えていない」など残念な飲食店も少なくありません。
飲み終わったグラスはよく洗って直ぐに拭きます。自然乾燥は水垢が付着してしまいます。
また、居酒屋ではジョッキが多いのですが、バーでジョッキグラスはあまり見かけませんね。お店の雰囲気に合わせたグラスで更に印象つけましょう。さらに真夏の暑い時期は保冷性のあるタンブラーグラスなどで提供すると喜ばれます。

以上の基本3点を怠ることなくおこなっていることがお客様に伝わり、繁栄店となっていくことでしょう。

さいごに

いかがでしたか。最初に喉に流し込むと本能的に「美味しい・うまい」と言葉を発してしまうのはビールの醍醐味ではないでしょうか。他のアルコールとは違う魅力を持ち合わせている生ビールをさらに美味しく注ぎ、繁栄店の仲間入りをしませんか。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人