トリミングサロン勤務を経て、独立を目指し出張トリミングカーを一つのビジネスとして考えているトリマーが少なくありません。
しかし、検討されている中で「基本的な開業準備を知りたい」「メリットやデメリットは?」など、さまざまな疑問や不安を持たれている方も多いのではないでしょうか。
今回は、トリミングカーの独立を検討されている方に向けて、基本的な準備からメリット・デメリットまで解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
1.出張トリミングカーとは?
出張トリミングカーはトリマーが飼い主様宅へ訪問し、ペットのシャンプーやカットをするというサービスです。方法として2通りのタイプがあります。
- 飼い主様宅へ訪問し、ご自宅の風呂場やお部屋の一角を借りてトリミングする
- 専用トリミングカー(車内)で施術をする
訪問宅と専用車内の2通りありますが、お客様の都合に合わせて両方行っている方もいらっしゃいます。
また、移動できるエリア・客層・動向などを調査した上でビジネスを始めているトリマーが多く、以下のようなお客様を対象にしてサービスを行っている方もいらっしゃいます。
- 集合住宅エリア、ペットサロンが遠方のお客様
- 芸能人や職業柄日中の外出は不可という方やご高齢であまり外出できない方
- ペットビジネスをされている方(ペットシッターやドッグトレーナなど)
トリマーが独立開業するときに検討されているビジネスモデルでもあります。予約制のプライベートサロンのため、お客様の都合によってペットを安心して預けられるのも移動式トリミングの魅力でもあります。
2.出張トリミングカーのメリット・デメリット
出張トリミングカーの独立を検討されている方には、どんなメリット・デメリットがあるのか参考にして頂けたらと思い、訪問型(自宅でのトリミング)と専用車内トリミングの両面を解説していきます。メリット・デメリットを把握しておくことで、ポイントを押さえた経営活動が行えます。
〈訪問型トリミングのメリット〉
- 家賃がかからない
- あまり外出ができないお客様にとってニーズが高いので固定客となりやすい
- 自宅での施術はペットにとってストレスなく施術を受けられる
- 飼い主様はトリミング中に見学ができるので、技術力のアピールに繋がる
- 週末などを利用して副業が可能
〈車内でトリミングをするメリット〉
- 家賃がかからない
- 車内でのトリミングのため、準備時間の短縮につながる
- 自宅まで迎えに行ってペットを預かるので飼い主様にとっても利便性が高い
- 商圏エリアが広くなるので、お客様を増やしやすい
- 移動できるため営業時間が限られることがなく副業としてもできる
トリミングカーを利用してのビジネスは店舗を構えないので、訪問・出張の両方は家賃がかからないことがメリットです。また、夜間や早朝にしか通えないお客様にも安心してペットを預けることができることと、時間の融通がきくのもトリミングカーのメリットでもあるでしょう。
〈訪問型トリミングのデメリット〉
- 急なお休みは難しい
- 自宅での施術のため、毛を飛ばしたり汚さないなどの配慮が必要
- 自宅から駐車場まで遠い場合、(悪天候に関わらず)施術道具の持ち運びが大変
- 道路の渋滞などで予約時間に遅れた場合にクレームがでやすい
〈車内でトリミングするデメリット〉
- 一人経営のため急な休みがとれない
- 走行距離を決めておかないとガソリン代や駐車場代(延長などあった場合含)がかかる
- 車内という慣れない場所での施術はペットのコントロールが難しいことがある
- 渋滞に巻き込まれて遅れることがある(再利用してもらえないことがある)
- シャワーの水圧が弱いことがあり、大型犬のシャンプーに長時間かかる
出張トリミングカーは自由でありながらも交通状態によって遅延が発生するなど、お客様との信頼関係にも悪影響を及ぼす可能性があるかもしれません。また、道具の持ち運びによる重労働だということを把握しておかなければなりません。
デメリットも多いトリミングカーですが、対策方法を検討しておくことでメリットに変えられる可能性はあります。
3.トリミングカーの独立準備
ここでは、開業準備として基本的な車両選びや設備のなどを解説していきたいと思います。
3.1 車両選び
出張トリミングカーはすべて自給方式で開発した専用車です。したがって施術に必要な設備一式は整っており、水量や電気容量も適切で豊富な状態でトリミングカーが納車されます。トリミングカーは軽自動車タイプのものが多く、車両代はおおよそ200万円~400万円と考えておくと良いでしょう。また、車両本体以外に以下の費用が発生します。
- 車検代、自動車税、自動車保険
- ガソリン代
- 内装・外装をカスタマイズする場合は修繕費等
- 駐車料金(但し、トリミング代に上乗せするもしくはお客様負担とする場合がほとんど)
車の維持費はかかるので購入する際の支払い時には、ある程度計算しておくと良いです。
3.2 設備を検討
車内で一般的な設備が整っているのは以下の通りです。
- 給水や排水タンク(排水は持ち帰る)
- シャワー付きバスタブ
- トリミングテーブル、ケージ
- 発電機
※サービスとしてホースやドライヤーなどが付いていることがある
設備で一番気になるのが給排水ですが、給水・排水タンクの容量が大きい場合はカスタマイズする必要はありませんが、車内の狭さが若干感じるかもしれません。
最初は車内スペースでのトリミングに戸惑うこともあるかと思いますが、慣れていくことで手際よく行えます。
3.3 料金設定
出張トリミングカーの料金設定は経営者の意向によって異なりますが、ここでは店舗を持たないからこそかかる料金なども含め、どのように設定していけばいいのかみていきます。通常のトリミングサロンで行う施術料金は店舗によって多少の差はありますが、移動した時の出張費、駐車場料金などは別途で料金を考えなければなりません。
- 出張費・・・例として市区内を拠点に3kmまで無料、3km~6kmは+500円、更に6km~10kmで+800円など、それ以上の遠方は2000円~となるように設定。
- 駐車場・・・駐車料金やコインパーキングなどの料金が発生する場合はお客様負担となることが多い。駐車場がない場合は要相談とする
- オプション・・・シャンプーやカットコース以外にオプションとして爪切り、歯磨きなどをオプション料金として設定する
- 多頭飼いの場合・・・料金設定は割引対象とする
トリミングカーは移動するため、必ず出張費・駐車代などが発生します。上記はあくまでも一例ですが、移動するエリアや駐車スペースの有無によって料金の変動があるので、お客様には詳しく説明することが必要です。
多頭飼いされているお客様にはトリミング代を割引にするなどすると再利用してもらえやすくなります。
4.出張トリミングカーの需要
トリミングカーのビジネスは、メリットと同じぐらいデメリットもありますが、現代人と同じようにペットも寿命が延びているため高齢犬が多く、定期的に連れていくことが難しいという飼い主様もいらっしゃいます。また、多頭飼いしているお客様も増えてきています。
そのような場合には、トリミングカーの特性「移動式」というのは非常に有難い存在です。今は認知度が高くなくても、今後の需要に期待が持てることでしょう。
デメリットを解消する対策を講じることで大きなメリットに繋がることも考えられます。
様々な事情を抱えているペットやお客様に応えられるトリミングカーは、移動できるということが強みでもあるでしょう。
さいごに
いかがでしたか。出張トリミングカーの開業準備からメリット・デメリットまで解説しました。トリミングカーは一般的に「知名度」があまり高くありません。しかし、現にトリミングカーを利用されているお客様、必要としている方もいらっしゃいます。今後はなぜ必要なのかの「声」を聴いてそれに見合ったサービスなどを取り入れていくと、ニーズの高いビジネスに繋がっていくことになるでしょう。