なぜ海外で日本酒が人気なのか?【料理に合う日本酒が求められている!】

近年、海外で健康意識の高まりから日本食ブームが話題を集めています。それにより、海外で日本食ビジネスに大きなチャンスの広がりをみせています。また、現在日本のインバウンドは新型コロナウィルスの影響で途絶えてしまいましたが、以前は訪日者数が多く、和食店で日本酒を飲んでいる姿も多くみられていました。
今回は、日本文化に深い関わりのある日本酒が海外で人気を集めている理由を探ってみました。

1.日本酒のグローバル化が進んでいる

日本酒の海外進出は年々加速しています。外国人が日本酒を飲むパターンは2通りあり、小売店で購入し自宅で飲む人が2割程度、日本食レストランで日本酒を飲む人が8割もいます。海外市場では、レストランでの消費が最も多いことが分かります。したがって日本酒を提供している日本食レストランの需要は必然的に増加していることが分かりました。そこで、海外での日本食レストランがどれくらいあるのかを調べてみました。

【海外における日本食レストラン数(2019年)】
  • アジア……………約101,000店
  • 北米……………約29,400店
  • 欧州……………約12,200店
  • 中南米……………約6,100店
  • その他……………約7,500店

※2017年の日本食レストランは計約12万店あり、2019年では3割増加の計約15万店です。

海外で日本食の消費が増えると日本酒の消費も増えていくという連鎖反応の傾向があります。また、上記の統計をみるとアジアに日本食レストランが圧倒的に多く、特に日本を訪れた中国人観光客が日本酒の美味しさに触れ、自国で飲酒する人が増えたことが理由となっています。また、ヘルシー志向の和食とともに日本酒の魅力が広がったということが日本食レストランの増加にもつながっています。
他国においても日本食レストランの増加により和食だけに限定せず、中華やフレンチ、イタリアンといった新しいジャンルの料理スタイルが発展し、それらにマッチングした日本酒のテイストを進化させていく傾向にもあるようです。近年では伝統的な清酒とともに新感覚のスパークリング清酒も海外での認知度が高まりつつあるようですが、これも進化させた一つとなっているようです。

2.外国人が日本酒を飲んだきっかけ

外国人が日本酒を飲んだきっかけは、日本文化・日本食に関心があることから日本酒を飲んだという人が最も多くいます。さらに日本へ旅行した時に初めて飲んだという人もいます。飲むきっかけの最大要因は日本そのものへの興味によるものだということが分かりました。

その他「家族や友人に勧められた」「レストランで勧められた」など、または口コミがきっかけとなったという人もいます。飲食業界は今後口コミを誘発するような仕掛けを意識すると効果的だと考えられます。
また、日本食レストランを訪れた際に「和食と合う日本酒」のテイスト、あるいは「日本酒に合う料理」は何がいいかなど尋ねる外国人も多くいます。日本食レストランで日本酒と和食をペアリングで提供することで、日本酒の味を最大限に引き出すことが出来ると言えるでしょう。日本酒を知ってもらえるチャンスでもあります。外国人が日本酒を飲むきっかけとして日本食は重要ポイントであるため、日本食の何を期待しているのか、そしてどういう評価をしているのか今後検討する価値はあるでしょう。

3.外国人が好む日本酒のテイスト

外国人に日本酒をどのように表現をしたら美味しく飲んでもらえるか、とても難しいですね。また、料理に合う日本酒の進め方や香り・味をどのような言葉で伝えればいいのか迷ってしまうことも多々あるかと思います。
ここでは、外国人が好むテイストはどのような日本酒なのか統計調査した結果を紹介します。

外国人が日本酒を選ぶ味わいは「フルーティータイプ28%」「コクのあるタイプ24%」「タイプはこだわらない22%」「爽やかタイプ20%」という結果となりました。あまり大きな差はないのですが、熟成酒タイプが3%とかなり低いです。これは長期熟成させたほどよい苦みのある日本酒より、「大吟醸」「吟醸酒」などのフルーティーな味わいや「純米酒」のような米の独特な味を想わせる奥深く旨味の強いコクのある味を好んで飲む人が多い結果です。
その他、味のタイプはこだわっていない人もいます。さまざまな日本酒の香りを感じながら味わってもらうため、4つの日本酒テイストタイプ(フルーティー、コク、爽やか、熟成感)を提案してみると良いでしょう。

4.日本酒づくりが輸出向け、新規参入許可へ

日本酒の出荷量はここ10年間ほぼ横ばいですが、海外への日本酒の輸出量は年々増え続けています。酒づくりをするには国からの清酒製造免許が必要となります。国内での日本酒の需要が減少しているため、調整をする必要があり製造免許の新規発行は原則認められていませんでした。その理由は需要供給のバランスを崩し、供給だけが多くなってしまう酒蔵を保護するため新規の製造免許を発行していなかったということです。
しかし、国内での需要が低迷している一方で、海外での日本酒の人気が高まっていることから、輸出向けのみを製造するために清酒製造免許の新規発行を可能にしました。そうすることで日本酒の輸出促進を図れるという結果になります。また、日本酒の輸出用清酒製造免許を取得するには年間の最低基準数が60キロリットルの生産をクリアする必要がありましたが、輸出限定にすることによって既存の酒蔵が少量だけを製造することが可能となりました。
国内での市場が縮小する一方で、海外市場は年々拡大しています。酒蔵だけではなく企業の新規参入を狙うことで、今まで以上に海外での活性化に繋がっていくこととなるでしょう。尚、この酒税法改正は早くて2021年4月頃を目指しています。

5.日本酒の未来

海外での日本酒の存在は大きく、評価は高いことは間違いありません。これをどう未来へ繋げていくか、今後の課題かもしれません。

5.1 SAKEブーム

海外で日本酒が注目された背景には、先にも述べた通り世界的にブームとなった日本食が大いに影響があります。日本食レストランで日本酒を提供したことが大きなきっかとなったといわれています。海外のソムリエやシェフたちも自国の料理に合う日本酒を自らプロデュースをしたり、食通たちによるSAKEも大変人気があります。
料理との相性の良い日本酒を提供することは有効的でブームとなるきっかけのひとつになります。今後はブームだけ終わらない、継続させるSAKEの進化が課題でもあるようです。余談ですが、いまでは世界でブームとなっている「SAKE」が英語の辞書に載っているそうです。

5.2 更にファンを増やそう

日本酒のファンを更に増やすには、当然ながら「飲んでもらう機会を増やす」、「日本の正しい知識を知ってもらう」といったことが必要となります。日本酒との付き合い方はその国の文化が表れ、飲み方も様々です。例えば中国では日本酒を熱燗で提供すると喜ばれ、欧州では容器がお猪口ではなく冷酒をワイングラスで飲むことがいいとされています。また、日本酒だけとは限りませんがお酌をするといった行為も日本特有の文化で、特に欧米欧州などでは習慣がありません。今後、それぞれの国民性にあった飲み方を尊重しながらも、日本人が外国からの来訪者や外国現地で日本酒の歴史、酒の造り方、飲み方や楽しみ方などをもっと浸透させることで、今まで以上に日本酒ファンが増えていくことになるでしょう。

さいごに

今回は外国人が日本酒を飲んだきっかけや味の好み、今後の可能性などを解説しました。お酒の好みや飲み方は人それぞれ違いますが、日本の食文化に根付いた日本酒を外国で今以上に提供できたらと思います。お土産として選んでいただくのもいいかもしれません。繊細な酒づくりの技術が生かされ、海外で多くの人達に愛飲されていることは大変喜ばしいことです。現在、新型コロナ感染拡大防止のため訪日外国人が減少していますが、今後更なる日本酒の未来は期待できることに間違いはありません。

この記事を書いた人

広田 淳