
多くの歯医者には歯科衛生士が在勤していますが、近年、歯科衛生士の定着率の低さによって人手不足の傾向にあります。その結果、歯科衛生士不在の歯医者が存在していることもあり、一旦業務から離れた後の復帰する意思の変化の要因でもあります。
歯医者に歯科衛生士の在籍義務があるわけでもありませんが、重要性を考えていきたいと思います。
歯科医師と歯科衛生士の業務内容は異なり、それぞれスペシャリストとしての役割があります。ここでは、歯科衛生士が歯医者に在勤する必要性、そして患者さんに与える影響などを解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。

もくじ
1.歯科衛生士の就業状況
歯科衛生士が増加しているなか、不在の歯医者も存在しています。
歯科衛生士は歯科医師の指示を受けた治療補助や予防処置などの業務を行っています。
歯科医師の行う治療以外で、対応できる業務はすべて任せられている歯科衛生士の重要性の高さは増しています。しかしながら、歯科衛生士が在籍していない歯医者は全体の約20%と必要性を重視するならば決して少ないという数字ではありません。
実際には歯科衛生士の人数は増加傾向にあるのですが、不在の歯医者が存在しているのはなぜでしょうか。
ここでは先ず、歯科衛生士が何らかの理由で、一旦は職場を離れた人などの再就労への意欲についてのアンケート結果をみることにしました。

上記の円グラフは、「未就労者における再就労の意欲」についてのアンケートです。「大変ある」が19.9%、「少しある」が44.6%で合計64.5%が再就労への意欲を示しています。20歳代の若年層による再就労への意欲が高いことが多いです。その一方で「殆どない」の33.7%は35歳以上の子育て世代や家庭の事情によるもの、さらに年齢が高くなり一旦仕事から離れてしまってからは意欲の低下が見られます。
歯科衛生士は定着率が非常に低いため、離職率の高い職業です。歯科衛生士の人手不足の原因もこのようなことから関係しているのも事実です。専門性のある業務は経験を積み、ベテラン世代に需要があっても供給側の意欲の問題も関連しているのかもしれません。
また、再就労を検討している人は年齢差があるものの決して少なくありません。
歯医者は給食条件を検討した上で、採用活動に取り組むと良いでしょう。
2.歯医者に歯科衛生士が必要な理由

約20%の歯医者には歯科衛生士が就業していないと先述しましたが、この数字は決して少なくありません。歯科衛生士は多岐にわたる重要な役割があり、多くの患者さんにとっても欠かせない存在なのです。
ここでは、歯医者において歯科衛生士の必要性を解説します。
2.1 歯科医師の補助業務
歯科衛生士は国家資格を保有しています。歯科医師が行うような治療はできませんが、医師からの指示のもとで一部の診療補助は国家資格を有している歯科衛生士が担当します。(歯科助手はできません)また、医師のサポートとして患者さんの口腔内のクリーニングや予防指導を行います。
歯科医師は、患者さんの歯・口腔内の症状を診て治療法を判断し、器具や機械を使用し治療します。サポートとはこれらの行為のための処置・準備をすることです。つまり、医師が治療に専念できるようにスムーズに進めることが補助業務となります。
また、次に解説する予防処置・診療補助・保険指導などは補助業務とは異なり、歯科衛生士の専門性を発揮できる業務になります。
2.2 歯科衛生士しかできない業務
歯科衛生士が行う代表的な業務は、①歯科予防処置、②歯科診療補助、③歯科保健指導となっています。これらを「三大業務」と言われ、医師のもとでの補助とは別で重要な業務です。
①歯科予防処置
虫歯や歯周病を防ぐために定期的な歯石除去、クリーニングをします。専門性のある歯科衛生士の業務なので高い技術力が必要とされます。
この業務は患者さんの口腔内に直接触れる処置となり、医師もしくは歯科衛生士しかできない業務となっています。
②歯科診療補助
歯科医師の指示のもとで直接患者さんの口腔内の診察を行います。ただし、任せられる範囲が医師によって多少異なりますが、以下の内容の診療補助はできません。
- 歯を削る(器具用品の使用は限られている)
- 麻酔
- 抜歯や抜粋、切開など
- 歯の詰め物やかぶせ物など
このような診療は全て医師が行うことですが、医師が治療を行うためには準備する器具などの専門的な判断力はかかせません。
③歯科保健指導
歯や口腔、全身の健康の保持および増進することの重要性を患者さんに指導します。
生活習慣病の改善をしたい、または予防したいなど多くの患者さんが定期的に来院します。
また、年齢に合わせた口腔ケア法の指導を適切に行えるのが歯科衛生士の大きな役割でもあります。
上記の項目は専門性のある歯科衛生士の高い技術力が必要とされます。歯医者にとっても組織全体のパフォーマンスで大きく影響することでしょう。
歯科衛生士は歯科医院にとって欠かせない存在であることがわかります。
2.3 患者さんとのコミュニケーション
歯医者で歯科衛生士が求められているのがコミュニケーション能力です。来院する患者さんは不安・心配という人が多くいますが、歯科衛生士との会話で気が楽になった、歯の仕組が理解できたという方もいらっしゃいます。
歯医者は治療するだけの場ではなく、「聞く」「伝える」といった会話も大切です。
その役割を果たしているのが歯科衛生士で、医師と患者の間に入って歯の健康についての価値を提供しているのです。
コミュニケーション能力が高ければ高いほど信頼関係が築き、集患にもつながります。患者さんに寄り添うことが来院しやすい歯医者といえるぐらいです。歯科衛生士の必要性が十分理解できますね。
3.患者さんからみた歯科衛生士不在の歯医者

患者さんにとって歯科衛生士とはどのような存在なのでしょうか。また、歯科衛生士が不在の歯医者にどのような印象を持っているのでしょうか。
ここでは、患者さんの視点で歯科衛生士の存在、そして在籍していない歯医者の印象をみていきます。
◆患者さんからみた歯科衛生士とは
患者さんにとって歯科衛生士は、歯や口腔内の治療に至るまでの予防法など、細かい指導をしてくれる大切な存在です。以下のような適切なアドバイスや提供をしてくれる役割が考えられます。
- 歯や口腔内を守り健康維持のためのサポートをしてくれる
- 治療への恐怖や不安をコミュニケーションによって安心感をあたえてくれる
- 歯の症状が悪くなる前の予防歯科として患者さん自身の予防法や定期的な検診の重要性を提供してくれる
- 医師には質問できなかったこと、疑問に思ったことの相談に気軽に応えてくれる
患者さんからみた歯科衛生士は「健康維持のためのサポート」「安心感と信頼感」などを含め、「予防歯科の重要性」を教育し、より豊かな生活を送るためのサポートをしてくれる存在のようです。
◆患者さんからみた歯科衛生士不在の歯医者
- 予防歯科の指導や重要性が十分に伝わらない
- 医師による治療法が簡単な説明であることが多い。時間短縮になるが質問・相談などしづらい雰囲気になる
- 医師のみの治療メインになりがちのため、予防歯科に対して重要性の意識が薄れてしまう
- 歯や口腔内のケア法の指導を希望としていることが多いので、歯科衛生士在勤の歯医者に変更したくなる、あるいは変更する
- 医師の業務に負担がかかり、治療の丁寧さなどに影響が及ぶ
歯科衛生士不在の歯医者は「予防ケアの提供が不十分」「質問・相談ができない」「医師の負担増」などの印象を受けやすくなります。医師の丁寧な対応をしている歯医者も存在していますが、多くは治療法の説明です。予防ケア法を重視したい患者さんにとっては、歯科衛生士のいる歯医者を選ぶことが多いです。
さいごに
いかがでしたか。歯医者における歯科衛生士の必要性を解説しました。歯科衛生士は歯や口腔ケアの専門的な知識や技術を得た上で患者さんに適切な指導・アドバイスをすること江お仕事としています。歯科医師のサポートも歯科衛生士が全て熟し、治療をスムーズに進行させています。
また、患者さんに寄り添ったコミュニケーションをとることで、存在が大きな影響を与えています。多岐にわたった業務はどれをとっても重要性のある業務です。歯医者にとっての歯科衛生士が欠かせないのがわかりますね。
