飲食店を経営する上で欠かせないのがクレンリネスの実施です。
実はお客様が店内に入って最初に注視することは清潔で衛生的なお店かどうかということです。
店舗経営者であれば、誰もがお店を繁栄させたいと思いますね。しかし、具体的にクレンリネスを「どのように実施したらいいのか分からない」「どのような効果をあるのか」など不安や疑問を持たれている方もいらっしゃいます。そこで今回は、クレンリネスを習慣化させるための実施手順と得られる効果を解説していきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
1.クレンリネスとは?クリンリネスの違い
飲食店にとってクレンリネスは非常に重要です。繁盛しているお店で共通しているのがクレンリネスの習慣化です。
お客様が直接口にするものを扱っている飲食店は健康と安全を守ることを意識しなければなりません。飲食業界の基本となる行動指針は「QSC」という頭文字3つをとって構成されています。
以下の3つの指針をバランスよく保つことで経営が成り立っていると言っても良いでしょう。
- Quality(クオリティ)=料理の品質
- Service(サービス)=接客の質
- Cleanliness(クレンリネス)=店内の清潔さ
- Quality(クオリティ):料理の質を上げることでお客様の満足感が得られます。
- Service(サービス):サービスが良いとお店の印象が良くなりますが、料理が美味しくてもサービスが悪いとイメージダウンに繋がってしまいます。
- Cleanliness(クレンリネス):店内の清潔さを保つことで、お客様を気持ちよく迎えることができます。不衛生なお店は信用度が低くなり、経営に悪影響を及ぼします。
また、クレンリネスによく似た言葉でクリンネスがありますが、少し異なります。
- クレンリネス:店内を清潔な状態に保ち、衛生的であること
- クリンネス:店内を清潔にする
クリンネスは掃除してきれいな状態にすることを目的としていますが、クレンリネスはきれいな状態にする行為の結果で、「清潔・安全・衛生的」な状態を維持させることです。意味合いは同じように見えますが、明確に分けて実施することでクリーンな環境が保たれると考えて良いでしょう。
2.クレンリネスを習慣化させるポイント
ここでは飲食店にとって最も重要なクレンリネスを維持していくためのポイントを解説していきます。
2.1 マニュアル化の共有
クレンリネスを習慣化させるためには、実施手順(清掃方法)のマニュアルを作成します。
そして作成したマニュアルをスタッフ全員と共有することで、効果が得られるようになります。マニュアルを作成するときのポイントは下記の項目を押さえておくと良いです。
- 清掃方法の統一化(清掃工程を記載)
- 必要な掃除道具を書き出す
- 注意すべき箇所(場所)を明確にどのような方法で清掃すれば良いのか記載する
- 最後に清掃で気が付いたことなど、スタッフの意見を取り入れることを伝える
クレンリネスの習慣化は一人ひとりの意識が大切です。マニュアルには、清掃工程などの記載はもちろんですが、清掃している人が気付いたことを提案として取り入れることを記載しましょう。
また、共有することで各個人が考えるクレンリネスの意識が変わり、最終的には清掃の見直しができるようになります。
2.2 チェックリストの作成
チェックリストは誰がいつ、どこを清掃するのか(あるいは終了したのか)を項目別にまとめた表です。清掃すべき箇所を設け、下記項目を記載した一覧表で作成します。
- 清掃した日付と時間
- 掃除するべき場所(箇所)
- 清掃担当者
とてもシンプルなので自店で作成する、もしくは無料テンプレート「掃除」の書式テンプレート/フォーマットの無料ダウンロード|bizocean(ビズオーシャン)なども用意されているのでこちらをダウンロードして使用しても良いでしょう。
チェックリストが完成したら、目の入りやすい場所に貼っておきます。
チェックリストは大きく分けて「トイレ」「ホール」「厨房」の3つの場所があります。特にトイレや客席はお客様が目にする場所なので毎日掃除を行います。トイレを見ればそのお店の考え方や姿勢がわかると言われています。
厨房に関しても毎日実施したほうが良いのですが、店舗によって使用頻度の差があり汚れにくい設備機器もあるので、清掃箇所によって1日おきにするなど工夫すると良いです。
3.3 教育の徹底化
クレンリネスの徹底化はスタッフの意識を高めるために教育することが必要です。飲食店として意識を高めることは決して難しいことではありません。
- 身だしなみを整える(長髪の場合はまとめる、着衣に汚れはないかなどのチェック等)
- こまめな手洗い、殺菌・消毒
- 店内・外回りにゴミなどがないかなどのチェック(トイレはこまめにチェックする)
- 食器や調理器具、テーブルなどに付着した汚れの除去
店内をクリーンな状態にするということは飲食店にとって非常に重要で、徹底した衛生管理に繋がります。クレンリネスによる清潔さ・衛生管理の維持は、そのお店で働くスタッフ一人ひとりが意識することで実施できるのです。スタッフの意識・モチベーションを高めていくためにもクレンリネスの徹底化に繋がる教育システムを構築していくと良いでしょう。
3.クレンリネスが決定付けるお店の評価
飲食店の顧客満足度は、前述したQSC(クオリティ・サービス・クレンリネス)の充実化で確立されます。
ここではクレンリネスにおいて、お店の評価を上げるために取り組むべき項目を挙げていきたいと思います。
- 料理を提供する際にカップやカトラリーなど、口に触れる部分は触れない。
- テーブルを拭く布巾の使いまわしは避ける。一度使用した布巾は必ず洗ってから他のテーブルを拭く。
- 必要以上に髪に触れないようにする。着衣に付いた髪が料理に混入する恐れがある。
- お客様が目に入る場所に粗大ごみや大きな段ボールなど不要なものは置かない。
クレンリネスを実施するにあたり注意すべき項目やNG行為を知っておくことで、更に習慣化が身に付きます。
4.クレンリネスの効果
店内の多くの場所でルーティン作業としてクレンリネスを習慣化させることで得られる効果は多く存在します。ここで言う習慣化とは、スタッフ一人ひとりがクレンリネスの重要性を理解した上で意識を向けて正しい清掃・衛生管理を継続的に実施することです。
そうすることで効率の良い清掃が期待され、クレンリネスの効果が期待されます。
また、店内の清潔な状態以外にもお客様やスタッフの心理的効果も得られています。
〈お客様視点から見た店内状態〉
- 清潔感のある店内(特にトイレ)は安全であり、安心できる
- クリーンな状態であることは清潔さの配慮が行き届いている
- 従業員のモチベーションが高く感じられ、サービスに期待が持てる
- 落ち着いた環境=快適空間のため再来したくなる。
- 飲食店に欠かすことのできない「気づき」を伴っているため信頼感が得られる
〈従業員の心理に効果が表れる〉
- きれいな状態を維持することで、更に磨き上げようとする
- ゴミや汚れなどを見つけると習慣で直ぐにきれいにする。クレンリネス活動に繋がる
- 無意識のうちに継続力が身に付く
- 従業員の心理が良い方向へと変化することで店内が明るくなり、サービス向上に繋がる
清掃後のきれいな状態を維持させることは、徹底することで初めてクレンリネスの効果が得られます。お客様視点から見た効果は顧客満足の向上に繋がり、そして店内で働くスタッフ全員の心理まで成長させるといった効果が得られます。
さいごに
クレンリネスは飲食店の基本でもある「おもてなし」でもあり、働くスタッフにとっても大切な仕事の一環です。ポイントを押さえたマニュアルを作成し、それに沿った実施手順で取り組みましょう。習慣化することで効果が得られ、更に良い快適な環境作りへの意識が高まります。