飲食店で起こるクレームはあらゆる場面で発生しています。店舗側の不注意で発生するクレームからお客様による理不尽なクレームまで接客業に携わっている人にとっては避けて通ることは難しいですね。クレームの対応によってはSNSなどでお店の評判を落とすような口コミが集中してしまうケースもがあります。
ここでは、お店を守るための正しいクレーム対応、そして悪質なクレームの対処法などを解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
1.飲食店の半数がクレームを受けている
飲食店を経営していると何らかの原因でお客様からクレームを受けることが多々あります。料理・接客・衛生面などクレームの対象になりうる要素が多いため、店舗側は一つひとつ気を配りながら業務を進めていかなければなりません。
また、経営に悪影響を及ぼさないためにも、クレーム対応のマニュアル化をおすすめします。
以下は、苦情・クレームを言った人、クレームを受けたスタッフにどのような内容で発生したのか、アンケート調査を行った結果です。
消費者が苦情やクレームを言ったことがある人は「食べ物に異物が混入していた」(32.4%)が最も多く、次いで「商品が不良品」(31.4%)、「注文した料理が出てこない/出てくるのが遅い」(30.4%)でした。食べ物を提供している飲食店の料理に異物混入は消費者にとってはクレームを言いやすいことでもあると伺えます。
また、実は不満を持っていても、実際に言わないサイレントクレーマーという人が95%以上もいると言われています。これはクレームに至らなかったというのではなく、その場で言えなかったということなのでSNSなどを利用して悪評やネガティブな口コミ投稿などで不満を解消している可能性が高いです。
また、お店側では「商品が不良」(38.4%)、次いで「注文した料理と出てきたものが違う」(34.5%)、「注文した料理が出てこない/出てくるのが遅い」(34.3%)となっています。注文してから料理がでてくるまで(出てきたとき)の空腹状態のときにクレームが起こりやすいことが伺えます。
2.クレームの主な原因と対処法
飲食店では大きく分けて料理と接客に対してのクレームが多くあります。
食べ物を扱う仕事だからこそ気を配っていても、どうしてもクレームが発生する可能性が高い傾向にあります。
2.1 料理に対するクレーム
料理に対するクレームは「食べ物に異物混入」が多いと先述した表でわかりましたが、これは髪の毛や虫などの混入によるものです。異物混入の事実を指摘されてしまうことは、飲食店にとって非常に大きなダメージを受けてしまいます。
以下のような迅速な対応が必要です。
先ずは丁寧に謝罪しましょう。その後の対応として新しく調理した料理を提供します。
ただし、何らかの理由で新しい料理を拒むお客様には代金を頂かないことが基本です。
最後に再び謝罪をしますが、帰り際にお詫びとしてクーポン券などを渡しましょう。
オーダーミスによるものは他の注文より優先して早急に作り直しましょう。ここで待たせてしまうと度重なるクレームが発生してしまいます。もし多少の時間がかかる場合は待ち時間の間にサービスとして代わりになる料理を提供しましょう。
2.2 接客に対するクレーム
接客・サービスに対するクレームは態度に問題があると捉えられてしまいます。ここでも早急に不愉快な思いをさせてしまったことへのお詫びをしましょう。その後、お客様の言い分を聞いて店舗側に問題がある場合はスタッフと共有し改善するようにします。ただし、お客様の理不尽なクレームも少なからずあるので、その際は感情的にならず必ず責任者を呼びます。
3.クレーム対応の手順
クレームに直面したときには直ちに対応しなければなりません。
ここでは基本となる対応法を紹介したいと思います。
3.1 先ずはお詫びをする
クレームを言うお客様は冷静な人であっても対応に反論・逃げ腰になると怒りを引寄せてしまいます。どんな理由であっても最初にはお詫びをしましょう。
ここでお詫びをするときのポイントをいくつか挙げます。
- 業務の途中でも手を止め、立ち止まってお詫びをする ⇒手を動かしながらあるいは歩きながらの謝罪は本気度がなく余計イラつかせます。
- お客様の正面に立ち、目を見て謝罪する(ジッと見ない程度に) ⇒お客様に対して横向き・よそ見をしての謝罪は心がこもっていないと思われます。
- ・お詫びに気持ちを込める ⇒謝罪の安売りに見られ、本気で詫びていないと見破られてしまいます。
謝罪ひとつにしても丁寧に心がこもっていれば、次のステップにいくときには落ち着きを取り戻す可能性が高くなります。
3-2 クレームが発生した経緯を聞く
謝罪した後は、クレームがなぜ発生したのか詳しくヒアリングします。クレームの言い分を聞くときは非常に重要です。
- 相手の怒りや不満を聞いているときは、適度に相槌を打つ ⇒ちゃんと聞いることへの安心感を与えるため。ただし相槌の入れすぎは逆効果です。
- クレームの内容によっては要望を聞き入れられる場合は解決法として提案をする ⇒話をしたことでお客様は落ち着き始めることが多く、応えられる要望は双方が不利にならないように問題の解決策として提案をしてみましょう。
3.3 直ぐに対応ができない場合は責任者を呼ぶ
クレームの内容によってはスタッフでは対応が出来ないことがあります。その際は直ぐに責任者を呼びましょう。
また、最初にパートやアルバイトにクレームを言うお客様が多く、話をしていても進展しない又は気が収まらないなどの場合は店長・責任者を出してほしいという要望があります。
- お客様に店長や責任者を呼ぶことを伝える ⇒ここでは待たせずに迅速に責任者を呼ぶ。
- 責任者にはなぜクレームが発生したのか先に伝える ⇒お客様に2度同じクレームを言わせないために前もって要点をまとめて素早く伝える。
4.悪質なクレーム(カスタマーハラスメント)の内容と対応方法
飲食店におけるクレームはお店側の不手際によるものだけではありません。昨今では理不尽で無理難題の要求を求めてくる悪質クレーマー「カスタマーハラスメント」が年々増加しており、半数以上の飲食店が「カスハラ(略)」を受けた経験があると言われています。
ここで注意しておきたいのが通常のクレームは、サービスや商品(料理)を正当な主張として苦情・改善要求を訴えるものですが、カスタマーハラスメントは理不尽なクレーム、嫌がらせ、そして悪質な要求を行うことです。このようなカスハラ(略)、いわゆる悪質なクレーマーに対しての対応を間違えてしまうと問題が発生する可能性もあります。
ここでは、上手に対応するためのポイントを解説します。
▼先ずはカスタマーハラスメントをどのような内容で受けていたのかアンケート結果を見てみましょう。
▼悪質なクレーマーの対応方法
理不尽な苦情による要求と一般的なクレームは当然ながら違います。
たとえばスタッフによるミスで料理をお客様の服にこぼしてしまった場合、一般的なクレームは最終的には容赦しますが、悪質クレーマーは土下座や利用代金の免除などの不当な要求をします。そのようなクレーマーは見た目だけでは判断することが難しいのですが、特徴として誤ったのにも関わらず「何度も話を蒸し返す」ことが多いです。
悪質クレーマーに対してどのような対処をしたらいいのかみていきましょう。
■一般的なクレームと同じく、謝罪してから言い分を聞く
ここでは通常のクレームと同様に先ずはお詫びをします。ただし、対応の態度や一言から変貌する可能性があるので、十分注意しましょう。
②怒鳴る迷惑行為、無理難題な要求をしてきた場合はきっぱりと断る
例)「他のお客様に迷惑です、これ以上は対応出来かねます」
「これ以上無理な要求をされると、警察を呼びます」
また、お客様で「訴える」と脅してきても行動にでることはないので、「構いません」とはっきり言っても問題ありません。
■ひとりで解決しようとせず責任者を呼ぶことを伝える
悪質クレーマーは対応者への威嚇、業務妨害することが目的なので解決してもらいたいという要求はありません。そのため、アルバイトやパートスタッフなどを見つけて怒鳴ることが多いです。問題が大きくならないよう早めに店長や責任者にSOSを発信したほうが良いです。また、クレーマー自ら責任者を呼べという人もいますが、実際に上司や店長を前にすると静かになることが多いです。
■他のスタッフとクレーム情報を共有する
クレームの内容をメモするなどして後日に他のスタッフと情報共有を図りましょう。
悪質クレーム(カスハラ)対策を検討するときの参考にしてマニュアル化し、スタッフ全員が対応できるような体制づくりをすることが重要です。
さいごに
いかがでしたでしょうか。飲食店におけるクレームは避けて通れませんが、正当なクレームによってお店側の問題点に気づかされることも多々あります。しかしながら悪質なクレームが年々増加している昨今、特に2020年からのコロナウィルスの影響で「カスタマーハラスメント」の被害が多くなり、厄介なクレームの対応に非常に困っている飲食店が多くあります。お店で働くスタッフ、そしてお店を守るためにも今回の対応方法を参考にしながら再検討をしていただけたらと思います。