飲食店のバッシングについて【覚えておきたいテクニックのコツと注意点】

飲食店のバッシングとは、食事が済んだ空いた皿やグラスなどを下げることです。飲食店において、とても大切な業務のひとつとなり、顧客満足度や回転率を高める役割となっています。今回は、そのバッシングについて解説したいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。

1.バッシングとは

飲食店におけるバッシングとは、主にお客様の食事や飲み物が済んだ皿やグラスを下げることです。また、下げ物の回収をするだけではなく、店内における入退の動きやお客様の状況を見ながら判断するといった細かい作業まで行わなければなりません。
具体的には以下のようなパターンによって作業を行うことになります。

  • 空いた食器やグラス、使い終わったカトラリーなどを回収する
  • タイミングを見計らいながら食べ残しの皿・グラスを下げる
  • お客様が退店したテーブル席の後片付けをした後、新規お客様の受け入れ準備をする
  • 開店・新規お客様へのテーブル準備(メニューや調味料などのセッティング)

バッシングは効率良く行うことで、回転率が上がるので売上UPに繋がります。
繁栄している店舗は、バッシングが無駄なくスムーズに行われ「お客様を待たせない」「素早いリセット」といった飲食店の基本がしっかりと教育されています。
ぜひ繁盛店をお手本としてみてはいかがでしょうか。

2.バッシングの役割とポイント

バッシングには押さえるべきポイントがあり、あらゆるシーンによって活かされることで売上UPに繋がります。
飲食店におけるバッシングのシーンには、食事中による中間バッシングと食後の最終バッシングの2通りあります。これらのバッシンに適切なタイミングを把握することで回転率を上げることができます。
ここで、パッシングの役割とポイントを解説します。

2.1 中間(食事中)のバッシング

中間バッシングとは、食事中のテーブル席で既に空いた皿やグラスなどを下げる作業です。
この作業をすることで、店舗のイメージが良くも悪くもなるのでとても大切です。
さらに中間パッシングは、適切なタイミングと気遣いによって十分な役割を果たすことができます。

  • 空いた食器やグラスを下げるときに「お下げいたします」とひと声かける
  • 少し残した状態で長時間経った皿は「お下げしてもよろしいでしょうか」と確認する
  • 洋食コースでフォークとナイフを揃って皿に置いてあれば下げる※皿が空いていればフォークとナイフがハの字に置いてあっても、カトラリーを揃えて皿と同時に下げる
  • 中間バッシンをすることで最終バッシングの手間が省ける役割がある

中間バッシングをすることで、テーブルにあった食器などが無くなり追加オーダーをしやすい状態になるメリットがあります。また、お客様の追加オーダーがないままで食器を下げることで、お客様は滞在時間の長さに気付きます。したがって会計する行為へ誘導することができ、新規のお客様を迎えられます。
中間バッシンをスムーズに行うことで、回転率が上がります。

2.2 最終(食後)のバッシング

最終バッシングは、お客様が食事を終えて空いた食器やグラスはもちろん、使用済みのおしぼりやペーパーナプキンなどを下げる(片づける)ことまでです。また、次のお客様の入店準備をするため、店内の回転を意識しなければなりません。お客様が席に着いている中間バッシングとは異なり、特にスピーディさを求められます。

  • お客様が退店した後のテーブルにある食器などの後片付け
  • 待っているお客様、または新規で入店予定のお客様のためにテーブルセッティングをする
  • 卓上にある調味料やカトラリー等のセッティング、テーブルや椅子の汚れをキレイにする
  • 適切な判断、尚且つスピーディな動きによって好印象を得る役割がある

最終バッシングは、退店した席を元のキレイな状態に戻す作業となり、次のお客様へ繋げるための準備をします。回転率を上げるためにはスピーディさが求められ、非常に重要な作業となっています。

3.テクニックを高めるコツ

基本的には、中間と最終のバッシンの役割は異なる部分があります。ただし、回転率を上げて客数を増やし売上UPといった一連の流れは、両方のバッシングのテクニックを活かされていることが前提となります。
効率的なバッシングをするには中間と最終のテクニックを高めることが大切です。
ここではそれぞれに分けて、テクニックを高めるコツを解説します。


〈中間バッシング〉
◆タイミング
数人で来店されているお客様は、食べるのが早い人もいれば遅い人もいます。コース料理の場合には遅い人に合わせた方が良いでしょう。大切なのは、お客様全体の様子を見ながら食器を下げることです。

◆気遣いの一声
居酒屋などで多いのですが、長時間でも料理やドリンクが少し残っている場合は下げてもいいか必ず確認をとりましょう。後で飲食するために残してあることもあります。

◆下げる優先順位
中間バッシングではオーダーが入りやすい順に食器やグラスを下げるようにします。
例えば、店舗によってビールグラスが不足してしまうこともあるので、空いたら優先して下げるようにしましょう。


〈最終バッシング〉
◆スピーディな動きで後片付け
スピードを求められる飲食店には、退店後の食器類を下げるときのコツがあります。
空いた食器とグラス、おしぼり、ペーパーナプキン、カトラリー等に分けてからそれぞれ下げると効率が良いです。また、食べ残しは、大きな皿に全部まとめて下げると後始末が短縮されます。

◆退店後の忘れ物確認
退店後の最終バッシングですが、後片付けをする前に「テーブルの上・下」「椅子」「荷物入れ」「テーブルと椅子の周り」に忘れ物がないか必ず確認します。

◆店内の状況を把握
飲食店はスピードと正確さが重要です。退店したテーブルにウェティングされているお客様が早く席に着けるように、素早い後片付けと気持ちよく迎えられるようにキレイにすることが大切です。

4.バッシングの注意点

バッシングの作業は、店内にいるお客様の状況を見ながら動くことも大切です。今までバッシングの役割・テクニックを高めるコツを解説しました。
ここでは注意点を幾つか挙げてみたいと思います。


▼料理などの提供時

料理を運ぶ時

  • 他のスタッフとぶつからないように周りの動きを見ながら運ぶ
  • 皿などに指紋を付かないように持つ
  • できる限りトレーを使って運ぶ
  • お客様と衝突しそうになった時には、料理を手前に引きお客様の通り道を優先する

料理などを出す時

  • テーブルに置くときは音を出さないように丁寧に置く
  • 日本料理の魚などを提供する際に、頭と尻尾の向きを把握する(食器やカトラリー等含む)
  • 無言のままテーブルに置かない

▼料理を下げるとき

中間バッシング

  • 空いた皿やグラスは無言のまま下げない
  • 料理が残ったまま長い時間が経っている場合は、下げてもいいか確認する
  • 食事の途中でもペーパーナプキンやおしぼりの袋などゴミになるものが目立ってきたら片づける

最終バッシング

  • 退店したテーブルの周辺にお客様がいたら、消毒液はテーブルではなく布巾にかけて拭く※周りにお客様がいる場合、消毒液がかかってしまう場合がある
  • 退店後に忘れ物があった場合、1週間程度保管しておく(スマホや財布など貴重品は警察に届ける)
  • お預かりしていたコートや手荷物を渡し忘れていないかの最終確認
  • テーブルと椅子に汚れがないか、セッティングに不足がないか確認する

さいごに

いかがでしたか。飲食店は料理とサービスを提供していますが、スピードが加わることで「回転率」「顧客満足度」「店舗評価」がさらに高めることができます。そのためには注意点を把握し、効率の良い中間・最終バッシングを行うように心がけることです。
そうすることで他店との差別化に期待が持てて選ばれる飲食店となることでしょう。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人