近年、防犯カメラを設置している飲食店が増えています。
窃盗や強盗、店内での迷惑行為などによるトラブル防止のため開業にあたっての必須項目といっても良いでしょう。
今回は飲食店の防犯カメラ導入について、設置ポイントや注意点などを解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
1.防犯カメラの役割
近年、防犯カメラを設置する飲食店が全体の76%程度と増加傾向にあります。
ここでは、なぜ防犯カメラの重要性に気づき始めているのか、改めて役割について解説します。
◆犯罪抑止
防犯カメラは、犯罪が起きた時リアルタイムに映像に映しだします。服装や背丈など人物像の一部始終の記録ができます。防犯カメラがなければ、トラブルとなる行動を起こしてしまうことがあります。しかし、防犯カメラの存在に気が付くことで、思い止まることが考えられます。防犯カメラは犯罪・トラブルなどを抑止できます。
◆証拠の撮影
犯罪や店内トラブルを証拠として残すためには、撮影することが必須条件となります。ただし、設置場所によって映り方が変わる可能性があるので設置前に試し撮りすることをお勧めします。スマホなどの動く撮影とは違い、防犯カメラは基本的に固定されているので十分に証拠能力があります。
◆安心・安全を図る
店舗で起こるトラブルなどの危険性を遠ざける、そしてスタッフ全員の身を守るための防犯カメラでもあります。営業時間外でも起こりうる不審者侵入など、予測できないトラブルを未然に防ぐためには防犯カメラが必要です。スタッフが安心して働ける環境を整えることが大切です。
また、お客様へのサービスやキッチンの様子など、従業員の行動を監視できるといった点で教育の向上や食の安全性にカメラ(この場合は監視カメラという)は活用できます。
※ただし、必要以上に監視してしまうと、従業員は仕事のやりづらさを感じてしまうので注意しましょう。
2.防犯カメラの設置ポイント
飲食店で防犯カメラを導入する際、どこに設置したらいいのか迷ってしまうという方がいらっしゃいます。お客様から見た場合の目障りさ、スタッフが業務しづらい場所など設置場所に相応しくない場所があります。
ここでは、防犯カメラの設置ポイントを解説していきます。
2.1 レジ周辺
レジ周辺は人の動きが映し出される場所です。レジ周りに設置する防犯カメラは必須といってもよいでしょう。
- お店の出入口はレジの配置が多いので全てのお客様が映る
- 金銭トラブルの防止(従業員の不正や会計時のトラブル発生)
レジ周辺は、トラブルが起きやすい場所でもあります。
現在、キャッシュレス化に伴い、現金の動きが少なくなりましたが、まだまだ金銭は存在していてトラブルは無くなりません。従業員の不正や釣銭の渡し間違い、お客様とのトラブルなど、さまざまな場面が映し出されます。
2.2 客席
ホールに設置する防犯カメラは客席全体を見渡せるので、スタッフも含めさまざまな確認ができます。
- お客様の食事の進み具合によって料理を出すタイミングが確認できる
- 店内の混雑や従業員の接客状況を見渡せる
- お客様の間でトラブルが発生した際に仲裁ができる
- 迷惑行為における記録証拠を収集できる
2.3 キッチン
キッチンに防犯カメラを設置するということは、飲食店の軸として働いている調理人が適切な作業をおこなっているか確認できます。
また、調理人にとってもスムーズな調理現場であれば続けていくという認識ができ、逆にオペレーションが悪かった際には見直し改善に活用できます。
キッチンでは衛生管理を怠ったときでも防犯カメラがとらえています。食のトラブルが発生しないように未然に防ぐことができるのでキッチンへの設置も検討しておきましょう。
2.4 バックヤード
飲食店のバックヤードとはお客様の目に触れない場所で、休憩所や物置、倉庫、事務処理をするスペースなどを指します。このエリアは、当然従業員のみ使用することになりますが、部外者の侵入によるトラブルが起こり得ないとは言いきれません。事務所荒らしや盗難などの発生を避けるよう、防犯カメラは設置しておいたほうが良いでしょう。
2-5.屋外
飲食店の屋外に防犯カメラを設置することも検討しましょう。
- 店舗の出入口(店裏の出入口含む):出入口は侵入経路を映しだす場所なので、監視も可能で高い防犯効果が期待できます。また、お店の営業時間外に裏口から侵入するための下調べをすることがあるので、人物を映しだす防犯カメラの設置を検討しておきましょう。
- 駐車場:特に郊外にある大きい店舗などは、駐車場を用意しています。人の目に入りづらい駐車場は車上荒らしやケンカ、交通事故、車の破損などあらゆるトラブルが発生しやすい場所でもあります。
トラブルおよび犯罪はどこにでも潜んでいると考えらますが、特に店舗外の死角に入らない屋外は注意しておいたほうが良いでしょう。
犯罪は防犯カメラがあっても気にせず犯行に及ぶことがありますが、カメラの存在によって犯行をやめることもあります。
駐車場や裏の出入口の設置は店内と同じように、犯罪を抑止する効果が得られます。
3.防犯カメラ設置においての注意点
飲食店に防犯カメを設置する際に気を付けておかなければならないことがあります。
ここでは、注意点を解説します。
3.1 法的問題を検討
防犯カメラを設置は、従業員を含む来店されたお客様を撮影することになります。
- 各個人を識別できる映像はプライバシーの侵害になってしまう可能性があるので、「個人情報保護法」で規定されている法律に基づいた管理を行う必要があります。
- 防犯カメラの配置は従業員やお客様に「防犯カメラ作動中」などの掲示をしなければなりません。
- 店舗によってマーケティングを目的とした撮影をする場合も少なくありません。
その際は、防犯目的ではないのでカメラ付近に「商用目的」と掲示する必要があります。
3.2 設置場所の選定
店内や屋外に設置する防犯カメラには、種類が幾つかあります。場所によってカメラを選ぶと良いです。例えば屋外であれば防水機能に優れたタイプ、レジ周辺であれば場所をとらないコンパクトタイプなど目的や機能に応じたカメラを選定します。
店舗デザインを重視するためワイヤレスタイプを選ぶ方がいらっしゃいますが、配線工事は必要(一部を除く)です。
また、壁に穴をあけたくないという方も多くいらっしゃいますが、対応天井に吊るさない棚などに置くタイプなどあります。ただし、この場合はコンパクトなタイプになるので置く場所が限られてしまいます。
3.3 保存期間と保存先
一般的に店舗用の防犯カメラの保存期間は、1週間から1ヶ月程度です。
防犯カメラは保存先の種類(SDカード、HDDレコーダー、クラウドストレージなど)があり、費用やストレージの容量によっても期間・時間が異なります。設置場所や目的によって適切な保存期間を設定することが大切です。
■SDカード
メリット:コストが低くコンパクトなのでスマホでも映像が見られる。
デメリット:容量が少ないので長時間の録画に適さないことと盗難のリスクがある。
■HDDレコーダー
メリット:最近では性能が進化され、大容量でも費用が安い。
デメリット:防犯カメラと別にレコーダーが必要となるのでスペースが必要
■クラウドストレージ
メリット:録画機器が不要で長時間の保存が可能で、ネットワーク上のスマホで映像が見られる。
デメリット:ネットワーク環境が必要、月々の通信料が必要
さいごに
いかがでしたか。飲食店に必要な防犯カメラの設置ポイントや注意点などを解説しました。今や飲食店に限らず数多くの店舗が防犯カメラを導入しています。
防犯カメラは犯罪防止だけではなく、従業員の育成、食の衛生管理、マーケティング効果などにも活用されています。
目的によって設置場所や機能は異なるので、防犯アドバイザーに相談することをお勧めします。ぜひ安全で安心な防犯カメラを導入してみてはいかがでしょうか。