領収書に貼る収入印紙の必要性とは?消費税との関係も交えて解説

  • 領収書を作成した時、なぜ収入印紙が必要なの?
  • 領収書に貼る収入印紙の金額がわからない。

こうした疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
飲食店で働いていれば、会計時に「領収書をください」とお客様からよく言われ、手書きの領収書を渡すことがあるかと思います。そこで気になるのが領収書に収入印紙を貼付することです。しかも領収書に記載する金額によって、貼る印紙代も変わってきます。今回は、収入印紙に関する役割やルールについて解説をしていきます。

1.収入印紙とは

収入印紙とは「印紙税」という税金のことで、国が収入となる税金を徴収するため政府が法律に基づいて発行した証票のことです。印紙税の納税義務者は、文書(契約書等)や領収書などの作成者になります。その作成者が課税対象となる文書や領収書に定められた金額の収入印紙を貼り付け、消印(割印)をして納付するという仕組みになっています。ちなみに押印の目的は、印紙の偽造や再利用を防ぐためです。課税の対象となる領収書に印紙を貼っただけで、消印(割印)がないと印紙税の納付を怠ったとみなされるので注意が必要です。収入印紙は郵便局や法務局で購入でき、200円などの額面が小さいものはコンビニエンスストアや書店でも購入可能です。必要となった場合に備えて、まとめて数枚程度の購入をしておくとよいでしょう。

2.領収書の金額によって印紙代が異なる

領収書に記載する受取金額によって、収入印紙の金額は異なります。 
領収書の金額が5万円以上の場合は、課税対象となり収入印紙が必要です
5万円未満の場合は、非課税なので収入印紙は必要ありません。

領収書の金額による収入印紙代は以下の通りとなっています。

領収書の金額収入印紙代
5万円未満非課税
5万円以上~100万円以下200円
100万円超え~200万円以下400円
200万円超え~300万円以下600円
300万円超え~500万円以下1,000円
500万円超え~1,000万円以下2,000円
(以下省略)

<消費税と収入印紙>
ここで注意しておきたいのが領収書の記載方法です。通常、印紙の課税対象は消費税を除いた売上金額です。例えば、税込の売上金額5万円のみ(税抜45,455円、消費税4,545円)を領収書に記載した場合、消費税を明記していなので200円の収入印紙の貼付が必要となります。しかし、領収書の内訳欄に消費税額4,545円を明記すると、税抜き金額45,455円の取引があったとみなされ、収入印紙の貼付は必要ありません。領収書に消費税額を明記することで印紙税の金額も大きく変わります。また、内訳に消費税を明記することで、二重課税防止にも繋がります。
※以下の課税文書(領収書)について参考にしてください
参考:国税庁HP:「No.7124 消費税等の額が区分記載された契約書等の記載金額」

3.収入印紙を貼らないとどうなる?

飲食店でお客様から領収書の発行を依頼されることはよくありますが、あわてて収入印紙を貼らずに渡してしまったというケースがよくみられます。これは残念ながら税金を納めなかったということで脱税になってしまいます。罰則として、領収書の発行側で本来貼付するはずだった印紙代の3倍の金額を納めなくてはならない場合もあります。一方、領収書を受け取った側は、印紙の貼付がなくても領収書の効力がなくなるといった問題はありません。もちろん再発行して印紙を貼ってもらう必要もありません。

4.領収書に収入印紙が必要または不要なケース

文書や領収書に貼ることが多い収入印紙ですが、領収金額よって貼付する必要があるとき以外に不要なケースもあるのでみていきましょう。

4.1 領収書の再発行

通常、領収書の紛失などの理由でお客様から再発行の依頼があったときは原則として拒否できます。しかし、再発行を強く要請され、お客様との関係性を考慮した上で応じるといったケースもあります。その際、再発行であっても金額が課税対象である以上、あらためて収入印紙を貼る必要があります。領収書は再発行でも金銭の取引である証拠に変わりありません。領収書の二重発行を防ぐためにも、必ず領収書には「再発行」と記載しましょう。

4.2 クレジットカード払い

クレジットカードを使用した場合は、直接現金でのやり取りは発生しません。信用取引となるので課税対象の5万円以上であっても収入印紙を貼る必要はありません。

4.3 電子データ

PDFなどの電子データによる領収書は、課税対象の金額であっても収入印紙を貼る必要はありません。たとえ、FAXやメールで受け取って領収書をプリントアウトしたものでも収入印紙は不要です。電子データは実際に文書が交付されないため、課税文書は存在しません。よって、印紙税の課税原因は発生しないということです。

さいごに

領収書の金額によって収入印紙代が細かいルールで定められています。何気なく貼っていた収入印紙も基礎知識を理解しておくことで、お客様への対応で悩むこともなく、領収金額を記載するときに迷いが生じることもないかと思います。また、領収書を作成する時は、内訳の消費税を明記することを従業員にも徹底してもらうとよいでしょう。節税効果も高まります。その際、課税対象金額には収入印紙を貼付した後、消印(割印)をしてはじめて納税することになるので、押印も忘れずに行いましょう。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人