
飲食店の開業前に関係者、地元住民などを招いてリハーサルを行うことがよくあります。
これをプレオープンといいますが、本番に向けての準備段階に当たる、いわば練習のようなものです。しかしながら、プレオープンを実施するかどうか迷っていらっしゃる方も少なくありません。
ここでは、プレオオープンの目的やメリット・デメリットなどをみていきたいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
1.プレオープンの目的
飲食店経営者は念願の開業に向けて、試行錯誤しながら十分に準備を重ねてきたことでしょう。オープン日を目の前にして、「接客」「オペレーション」「集客」など、心配事はつきものです。ほとんどの経営者が不安と期待を抱えながらのスタートとなります。そこで本番前に検討したいのが、プレオープンの実施です。
プレオープンの目的を把握することで、次なる本番に向けて大きな収穫があると言えるでしょう。
★宣伝効果
- 関係者などの招待客を招いて店舗の認知度を図り、SNSなどを活用し口コミ獲得目的※店舗によって近隣住民などに声がけをして集客につなげていることもある
★オペレーションの確認
- お客様やスタッフの動線に従った店内の店舗のレイアウト確認
- 調理や接客、配膳、会計など担当役割がそれぞれスムーズに行っているか確認
★お客様によるフィードバックを得る
- メニューに関する意見や接客で感じたことのヒアリングを行い今後のヒントにする
- お客様が実際に食事をしながら、店舗雰囲気を感じ取っている反応を伺う
★コミュニティづくり
- プレオープンを実施することで各関係者をはじめ、周辺地域の住民を招くことで、これからの関係づくりが実現できる。
プレオープンは本番前のリハーサルです。良い点はそのままで、悪い点は改善するチャンスは十分にあります。うまく活用することで今後の運営に良い影響を与えることでしょう。
3.プレオープンするメリット・デメリット

プレオープンを実施することで、メリット・デメリットは発生します。ここではそれらがどこにあるのか見ていきたいと思います。
◆プレオープンするメリット
1)オペレーションの最終確認
全体的にオペレーションがスムーズに回っていっているかの最終確認ができる
- オーダーから料理提供までの時間(スピード)
- お客様への接客、サービスが適切に行われているかどうか
- 注文からバッシング作業のスピードと正確さ
- お客様の満足度が得られる
経営者および各担当スタッフがオペレーションの最終確認に感じたことを共有することで改善点を見出すことができ、本番では更に質の良い店舗として提供します。
2)認知度が上がる
プレオープンを実施している間は、スタッフや経営者など余裕をもってお客様の反応が伺えます。そのため、SNSなどの活用によって口コミ投稿を積極的に促すことができます。
反響が良い方向へ進むと、宣伝効果になり認知度が上がる確率が高くなるでしょう。
3)店内のレイアウトや不備確認
実際にお客様を招待し、リハーサルをすることで以下のような不具合または不十分などの改善事項の確認ができます。
- 調理器具や設備環境の不具合
- 備品数が足りない(おしぼりやカトラリーなど)
- お客様の待機場所や荷物の置き場所
- 動線に問題がないようなテーブル席のレイアウト
◆プレオープンするデメリット
1)ネガティブな印象の可能性も…
接客や料理提供の際に予想外の問題が発生した場合、お客様に良くない印象を与えてしまう可能性があります。また、口コミの拡散によってお店の評判が下がってしまうことも考えられます。
2)オペレーションに支障
プレオープンでは招待客はもちろん、地元住民を招く店舗では予想外の人数が多くなることがあります。そのため、オペレーションがスムーズに起動されなくなり、トラブルが発生してしまうこともあります。その結果悪い口コミが拡散されてしまうことがあります。ネガティブな口コミは良い口コミより広がりが早く、集客に影響してしまいます。
オペレーションのマニュアル化を推奨します。
3.プレオープンの準備
プレオープンを実施すると決めたら、準備をしなければなりません。ここでは、プレオープンの準備と流れを解説します。
①プレオープンの日時・期間を決める
一般的にオープンの2週間前から2~3日前、期間は2日に分けて実施されることが多いです。
1日目:各関係者や開業に向けてお世話になった方、知り合い(友人)などを招いて、メニューを全て無料で提供します。全体的なオペレーションの動きを体感し、目的を果たせるかどうかのリハーサルです。
2日目:店舗の近隣住民などにお声掛け、SNSなどで配信します。全メニューを半額サービスなどにすることで立ち寄りやすくなります。有料でのプレオープンの目的は、あくまでも利益をもたらすことではなく、本番前のオペレーション確認とお客様の反応を得ることです。
②メニュー決定と価格設定
メニューは4~6品程度で、試作品として提供すると良いでしょう。
また、ここで大事なのが、フィードバックを得ることです。
有料にてお迎えするお客様には、価格設定をしますが、特別価格として提供するので試食スタイルにします。ただし、有料の場合に無料スタイルより、価格とサービスの対価を感じ取る位置がシビアになるので、お客様の意見は参考にすることでさまざまな改善点につながります。
③スタッフ体制
プレオープンは本番前のリハーサルとはいえ、店舗のお披露目です。準備段階でスタッフ全員がトレーニングを行い、一人ひとりの役割を理解してもらうことが大切です。
- キッチンの料理はレシピ通りにできているか、提供までの時間確認など
- ホールの接客や動線による問題点がないか確認
- 有料であれば、お会計作業のミスはないか、改善点があれば報告
- 開店から閉店までの全体を通しての流れを観察
④備品・食器・設備機器などの確認
各テーブルに必要なカトラリーやお皿、グラス、おしぼりなどの数が足りているか確認します。本格的に営業が始まると多くのお客様が来店する場合もあります。
備品・食器は席数の1.5倍~2倍は用意しておくと良いでしょう。
設備器機は、厨房で必要となるシンクやガスレンジ、製氷機、食器洗浄機などです。プレオープン当日になったら食器洗浄機が作動しない、空調が効かないということもあります。全ての機器は前以て動作チェックが必要です。
⑤衛生面・安全面の確認
飲食店は安全衛生管理体制を整備することが必要です。
- ゴミの分別や回収スケジュールを確認
- 衛生管理マニュアル作成し、スタッフとの共有
- 食品安全に関する許可を取得しているかの再確認
衛生面、安全面に関する法的要件は前以て確認はしておきましょう。
⑥宣伝・告知・フィードバック
プレオープンの情報を発信するには、SNSやLINEの活用をはじめ、チラシや広告、DMなどを通じて告知します。また、参加の有無を返信するようなシステムにすることで、参加者に対してフィードバックを必ず行うことが大事です。フォローアップをすることで次回にも繋がる可能性があり、口コミに有利となります。
- 参加していただいたお客様へのお礼のメールやDMをする。
- 次回来店されたお客様に割引クーポンやサービスなどメリット性のあるものを掲載する
- アンケートを用意し、回答をしてくれたお客様へのプレゼント用意
4.プレオープンの成功術

プレオープンの成功は、お店に興味をもって頂いたお客様への宣伝効果、ファン獲得につながります。成功させるためにはどのようにしたらいいでしょうか。
★明確な目的設定
- プレオープンの目的をスタッフ全員で目的を共有する。(接客、サービス、調理、SNS拡散、オペレーション全体)
- 本番前の問題点と改善点は細かい部分でいいのでアンテナを張っておくとよい
★ターゲットを絞る
- どのようなお店にしたいのか明確であれば、ターゲット層が自然と決まる
- 特別な関係者、近隣住民、友人、親族などを招くとターゲット層が広がることがある
★特別感を与える
- 特に招待客には特別感を与えることで、印象がよくなる
- SNSやDMの配信はメリットのある項目掲載は必須
★グランドオープンに繋げる
- LINE登録やQRコードなどの活用を活かす(お客様に促す)
- 次回のクーポンやキャンペーン告知などを配る
★反省会は必ず必要
- スムーズに運営できた際には、そのまま本番を迎え、更にはレベルアップのための施策を検討する
- 問題点は一人ひとりが解決策を考えること
さいごに
いかがでしたか。プレオープンは本番前のリハーサルです。ここで成功することで、参考にすることが理解できるので、グランドオープンの成功への一歩ちかづけることでしょう。
先ずは、一歩一歩進むことを考えていきましょう。