飲食店開業において経営成功のカギを握るのは約7割が立地で決まるといわているほど、出店場所はとても重要です。ただし、自分が希望とする立地場所が見つかったとしても、その場所で良い物件がなかなか見つからない飲食店の開業は「立地が経営成功のカギを握っている」と言われているほど出店場所はとても重要です。自分が希望とする立地に必ずしも良い物件があるとは限らないということがあります。また、その逆で良い物件を見つけたとしても自分が狙っているターゲット層がいないなど立地条件に満たない問題もあります。そのように考えると開業までの道のりが長いと嘆いてしまいたくなりますね。この記事では飲食店経営が成功に導くために良い立地選びのポイント、物件のタイプなどを解説していきます。開業を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
1.飲食店の立地の種類
飲食店の開業時に、先ず考えてほしいのが立地条件です。立地を考える上で、希望としている業態やターゲット層を満たしている場所を選ぶことが重要です。
下記の出店場所がありますが、どのよう特徴があるのかみていきましょう。
- 繁華街・駅前
- 住宅街・商店街
- オフィス街
- 商業施設内
- 裏通り(路地裏)
●繁華街・駅前
繁華街や駅前は人が集まる場所なのでターゲット層も幅広く見られ、飲食店のニーズが高いです。ただし保証金や家賃が高いことが多いので場所選びは慎重に行いましょう。
●住宅街・商店街
住宅街は基本的に地元のお客様をメインとしています。高級住宅街やファミリー層が多い場所などによってターゲット層や業態、価格などが変わってきます。また、固定客を確保することがお店を継続させていくポイントとなります。
●オフィス街
サラリーマンやOLをターゲットとしているので土日祝を休みにすることが多いです。また、ランチや仕事帰りのサラリーマンの需要が多く集客に期待が持てますが、競合店が多いため差別化を図ることが重要です。
●商業施設内
主に百貨店や複合施設、映画館、テーマパーク施設などです。商業施設の多くはフードコートや飲食店専門フロアを設けているため集客数が多く見られます。施設内で同じ業種のお店が入っていることは少なく、特に百貨店の価格はやや高めに設定しています。営業時間などは商業施設に合わせなくてはなりません。
●裏通り (路地裏)
隠れ家的なお店として独特な個性によって顧客に響くものがあれば成功率は高いです。家賃も比較的安いですが、お店の存在を知ってもらうための秘策が必要です。
上記以外でも立地はありますが、自店がどのようなお店にしたいかで変わってきます。
先ずは、物件のデータを絞って現地に足を運ぶことが大切です。そこから感じ取れる空気に触れてみましょう。
2.お店のコンセプトを具体化にする方法
店舗の物件選びは、100%希望通りの物件を見つけることは非常に難しいです。
先ずは希望通りの事業計画やコンセプトを作り、どのようなお店にしたいかをしっかり固めてから物件を探すことが重要です。コンセプトを作成する際、よくビジネスの新規事業を計画的に進める時に活用している「5W2H」を飲食店で当てはめて考えてみるのもよいでしょう。(5W2Hは、ビジネスで用いられる5W1Hに1つHを足したものです)
- Why⇒なぜ?何のためにお店を開業するのか
- Who⇒誰に?メインターゲットとなる年代、性別などの客層をイメージする
- Where⇒どこで?どんな場所でどんな物件にするか
- When⇒いつ?営業時間の設定と定休日を決める
- What⇒どんな?業態や業種を決め、料理やメニューのイメージを考える
- How⇒どうやって?どんな方法で料理の提供やサービスをするか
- How Much⇒いくらで?客単価や売上目標を決める
以上の項目をひとつずつ自分が作りたいお店のイメージをメモに書き出してみましょう。アイデアがたくさん浮かび上がったら全てを書き出し、最後に自分のやりたいことと顧客のニーズに合ったお店を照らし合わせながら絞り込み、需要と供給が一致するようになればコンセプトが具体化されます。その後、具体化されたコンセプトに見合った立地と物件を探してみると新たなお店のイメージが湧いてきます。
3.立地選びのポイント
立地が飲食店を経営していく上で、とても重要だと理解していただけたと思います。コンセプトが出店する地域の雰囲気と合っているか、選定した立地にターゲットとなるお客様が来店してくれるかなど様々な観点から調査をしなければなりません。ここではお店を出店する際の立地選びのポイントを解説します。
3.1 お店の業態によって立地条件は変わる
飲食店の良い立地条件とは、業態によって変わります。たとえばラーメンのように回転率を重視する飲食店であれば、日中に通行人が多い場所を選ぶことによって見込み客の来店も期待できます。逆に客単価重視したレストランやダイニングバーなどのように来店客の滞在時間を長くして注文数を増やし売上を伸ばす目的であれば、人通りのある道から一本離れた静かな裏通りのほうが適していると言えます。このように業態によって立地条件を満たしているのが好立地といえます。
どのようなタイプのお店を目指すかで立地条件が以下のように変わります。
- 客単価重視である程度の長時間滞在であれば駅から離れた静かな場所
- 回転率を上げたい場合は人通りの多い路面店
- ランチ重視や日祝を休日にする場合はオフィス街
- 常連客重視であれば大通りから離れた隠れ家的(住宅街)な場所
3.2 ターゲット層に見合った場所
お店を出店する場所にターゲットとする人が集まっていることも好条件の立地と言えます。たとえば地元住民をメインターゲットにして地域に根ざした飲食店を目指すのであれば、商店街や住宅街を重点に場所を探し、サラリーマンやOLをターゲットにするならビジネス街に絞るという、それぞれお店のターゲット層に見合った立地を探すのがポイントです。立地を決める前には、どのような人が集まっているのか必ず下調べは必要です。
3.3 出店する立地の調査
出店場所を決めたら、実際に足を運んで現地調査をしましょう。その立地にはどのような飲食店が出店しているのか、また店舗周辺のターゲット層の確認などを把握しておくことが大切です。
以下、現地調査で確認すべきポイントをいくつかあげてみました。
- 看板の位置と見やすさや、入口付近の装飾、お店の外観による入店のしやすさ
- 店舗周辺のターゲットとする人通りのチェック、昼と夜・平日と休日などの時間帯による通行量の調査
- 立地周辺の雰囲気がコンセプトに合っているか、お店の場所は駅に近いか
- 競合店が集中している場所での出店を希望とする場合、直接店舗に足を運び、提供している料理の味やメニュー、サービスなど、どんなスタイルのお店なのかを確認する
以上のような調査を確認することで、適切な準備ができます。
4.物件のタイプを選ぶ
飲食店を出店する際の物件探しとして、居抜き物件やスケルトン物件があります。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。開業資金も考慮した上で、居抜き物件とスケルトン物件のどちらかを選択するのもよいでしょう。
4.1 居抜き物件
居抜き物件とは前のお店が使用していた内装設備や厨房設備、什器、備品などが残っている状態で退去した物件のことをいいます。そのまま使用できるので大幅にコストが抑えられるのが大きなメリットです。業態によっては前のお店のお客様がそのまま引き継いて来店してくれる可能性があります。
ただし、居抜き物件は設備や什器などを前借主から買い取る費用として造作譲渡料がかかります。残った設備などが故障した場合、撤去費用や設置費用がかかり二重払いになってしまうというデメリットもあります。またレイアウトの制限があり、大幅な変更は難しいということも覚えておきましょう。
4.2 スケルトン物件
スケルトン物件とは、内装や設備すべてが撤去され柱や天井、床など構造のみの状態のことをいいます。メリットはゼロからお店作りができ、明確なコンセプトを持つことでオリジナリティーのある内装が可能で、店内のレイアウトも自由に決められます。一方デメリットは内装などの費用がかかり、ゼロから工事を始めるので工事完了までの時間がかかるということです。
さいごに
いかがでしたでしょうか。今回は飲食店の立地探し・物件タイプについて解説しました。
飲食店で成功するには立地条件が整い、そして良い賃貸条件の物件であることがかなりの割合を占めています。まずはお店づくりにおいての基礎となるコンセプトを固め、それに見合った立地・物件選びをすることが重要です。立地と物件が確定すると、お店のイメージがグンと膨らみ、成功イメージもよりつかみ易くなることでしょう。