飲食店経営者が知っておきたい、消費税の仕組から納税義務・納税額まで

飲食店をスタートして初めて納税するので、消費税の仕組みを知りたい。
飲食店を開業する予定だけど消費税は免除される?赤字だった場合はどうなる?
消費税の納税額はどのような計算方法があるのか?

飲食店経営者あるいは飲食店を開業される予定の方に、このような質問・疑問をお持ちの方が多くいらっしゃいます。飲食店を経営すると、さまざまな税金の支払いが発生しますが、そのなでも先ず知っておかなければならないのが消費税についてです。個人経営・法人経営のどちらにも関係する消費税なので理解しておいたほうがよいでしょう。今回は、消費税の納付・仕組みを触れながら納税額の計算方法まで解説します。

1.消費税の納付・仕組み

基本的に消費者は、商品やサービスを購入した際、価格に上乗せした消費税を負担します。そして事業者は、消費者が負担した消費税を一旦預かって国に納めることになります。

・消費税を負担する=消費者
・消費税を申告、納付する=事業者


消費税を納付する際、店舗に必要な仕入れ等で支払った消費税を売上として消費税から控除することができます。また、預かった消費税より仕入れなどで支払った消費税のほうが多い場合は、超過分として還付されます。ただし還付されるには条件があり、原則として一般課税を採用している課税事業者が対象です。※一般課税と課税事業者についての解説は後述します。

2.課税事業者または免税事業者になるケースとは?

一般的に、「課税事業者」は消費税を納付する義務がありますが、一定の条件に満たしている場合には、納付が免除になるケースもあります。これを「免税事業者」といいます。それでは、課税事業者と免税事業者について解説したいと思います。

① 1年目について
法人の場合、設立時の資本金が1,000万円以上の場合は、自動的に課税事業者となります。
個人の場合は免税事業者となります。

② 2年目について
下記のように特定期間に課税売上高と人件費ともに1,000万円を超えた場合は2年目で課税事業者の対象となります。特定期間とは、前年の上半期1月1日から6月30日までの6ケ月間 
※特定期間参照⇒特定期間の判定

<納税が免除されないケース>

1年目2年目
特定期間 / 売上・人件費1,000万円超課税事業者(消費税は納付)

また、法人の場合、期首の資本金が1,000万円以上である場合も課税事業者となります。

③3年目以降について
基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで、納税義務を判断します。

<消費税の課税・免除の判断例>

1年目2年目3年目
開業後2年間は免税事業者開業後2年間は免税事業者
課税売上高1,000万円超課税事業者(消費税を納付)
課税売上高1,000万円以下免税事業者(消費税は免税)

3.一般(原則)課税か簡易課税の計算で納税額が変わる

消費税には、一般課税と簡易課税の2通りの計算方法があります。仕入れ控除額の計算方法が異なるため納税額に差が生じるので、納税額に着目してどちらか一方を選択するのもひとつの方法です。また、通常飲食店の消費税は10%が殆どですが、テイクアウトや出前、そして一部を除く仕入れに関しては消費税軽減税率の対象となるので8%になります。仕入れ等の税額計算をする際、軽減税率8%と標準税率10%に適用される商品を分けて帳簿に記載しておくと良いでしょう。では、この一般課税と簡易課税にどのような違いがあるのか、計算式を交えてみていきましょう。

<一般課税>
一般課税とは、課税売上高にかかる消費税から仕入れにかかる消費税を控除して納税額を求めた計算式です。仕入れ等にかかった消費税8%と10%の区分けする必要があるので注意しましょう。たとえば消費税10%の場合、売上高10,000円のうちお客様から預かった消費税は1,000円、仕入高5,000円のうち消費税は500円、よって納税額は500円になります。
(預かった消費税1,000円)
(支払った消費税500円)=500円(納税額)


<簡易課税>
簡易課税は課税売上高にかかる消費税に「みなし仕入れ率」を掛けた計算式になります。みなし仕入れ率とは業種ごとに定められている仕入れ率のことで、納税すべき消費税を計算するための簡易的な制度です。飲食店の「みなし仕入れ率」は、第4種に分類され60%になりますが、テイクアウトや宅配専門などは70%になります。
(預かった消費税1,000円)―(預かった消費税1,000円×60%)=400円(納税額)
仕入れの消費税を計算する必要がないので事務作業の手間がかからないのは、簡易課税計算式のほうで、しかも税額が低く有利になる場合もあります。ただし、簡易課税の適用を受けるには次の制約があります。

①基準期間(2年前)の課税売上高が5,000万円以下の事業者であること
(基準期間とは、納税義務者になるかどうかの判定の期間を指し、個人事業主は前々年度)

②課税期間の開始日までに簡易課税の届け出を提出すること
消費税簡易課税制度選択届出書
(課税期間とは、消費税の確定申告の対象となる期間で、個人事業者については1月1日~12月31日の1年間)
※注意点として、簡易課税制度の適用は、2年間継続しなければなりません。

以上のように一般課税と簡易課税の計算方法がありますが、どちらを選択すれば有利なのかは実際のところ計算してみなければわかりません。ただ、原価率が低い場合は簡易課税のほうが有利で、高くなるほど一般課税のほうが有利になることもあります。実際、納税額を試算して検討してみるのもよいでしょう。

さいごに

いかがでしたでしょうか。特例を除いては、課税売上高によって課税事業者または免税事業者になります。

・課税対象の判断は2年前が基準
・納税額を計算するには、一般課税・簡易課税のどちらかを選択するかにとって、納税額は変わる。

以上の2つは、飲食店経営者として最低限習得しておくべき内容です。消費税を納税する際、どのくらいの金額になるのか不安な方もいらっしゃいます。できれば顧問の税理士にアドバイスをもらい、納税金額の確認をしておいたほうが良いでしょう。

この記事を書いた人

広田 淳